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ベトナム南中部沿岸のファンティエット(Phan Thiết)と中部高原の人気観光都市ダラット(Đà Lạt)を結ぶ国道28号線上のザーバック峠(đèo Gia Bắc)が、大雨による土砂崩れの復旧工事のため、2025年5月20日午前5時から全面通行止めとなった。この区間はビントゥアン省(Bình Thuận)とラムドン省(Lâm Đồng)を直接つなぐ幹線道路であり、物流ルートや観光動線への影響が懸念される。
何が起きたのか——大雨が引き起こした土砂崩れと全面封鎖
ベトナム南部では5月に入り本格的な雨季が到来しており、各地で豪雨が続いている。国道28号線のザーバック峠は、標高差のある山岳路で急カーブと急勾配が連続する難所として知られる。今回の大雨により道路脇の斜面が崩壊し、路面が土砂で覆われるなどの被害が発生した。当局は安全確保と復旧工事を理由に、5月20日早朝から車両の通行を全面的に禁止する措置をとった。
復旧工事の完了時期については、現時点で明確なスケジュールは公表されていない。雨季のさなかであるため、二次災害のリスクも踏まえた慎重な施工が求められる状況である。
ザーバック峠と国道28号線の重要性
国道28号線は、南シナ海に面した沿岸都市ファンティエットから内陸部の高原都市ダラットへ至る最短ルートの一つである。ファンティエットはビントゥアン省の省都であり、ムイネー(Mũi Né)ビーチリゾートの玄関口として外国人観光客やベトナム人旅行者に広く知られる。一方のダラットはラムドン省の省都で、フランス植民地時代に避暑地として開発された歴史を持ち、年間を通じて涼しい気候から「永遠の春の街」とも称される人気観光地である。
両都市間の距離は約160〜170kmだが、山岳地帯を抜けるためザーバック峠のような険しい区間が含まれる。この峠が通行できなくなると、迂回ルートとして国道20号線(ホーチミン市方面経由)や国道27号線(ニントゥアン省方面経由)を利用する必要があり、大幅な時間増と輸送コスト増が避けられない。
ベトナムの雨季インフラリスク——繰り返される土砂崩れ
ベトナム中部から中部高原にかけての山岳地帯では、毎年雨季になると土砂崩れや洪水が頻発する。国道28号線のザーバック峠も過去に複数回にわたって土砂崩れによる通行止めが発生しており、慢性的なインフラの脆弱性が指摘されてきた。
ベトナム政府は近年、高速道路網の整備に力を入れており、南北高速道路の延伸や各地方を結ぶ新規高速道路の建設を推進している。しかし、山岳部の国道や省道については予算面の制約もあり、抜本的な改良が進んでいない箇所が少なくない。特にザーバック峠のような急峻な地形を通る区間は、法面補強や排水設備の強化が追いついていない現状がある。
なお、ファンティエットとダラットの接続性を大幅に改善するプロジェクトとしては、ファンティエット〜ダラット間高速道路の構想が以前から浮上している。実現すれば、山岳路に頼る現状からの脱却が期待されるが、巨額の建設費や地形的な困難から具体的な着工時期はまだ見通しが立っていない。
観光・農産物輸送への直接的影響
通行止めの影響が最も大きいのは観光業と農産物物流である。5月下旬から6月にかけてはベトナム国内旅行のシーズンでもあり、ムイネービーチとダラット高原を組み合わせた周遊ルートは定番の旅行コースとなっている。峠の封鎖により、旅行会社やバス事業者はルート変更を余儀なくされ、所要時間の増加は旅行商品の魅力低下につながりかねない。
また、ラムドン省は花卉(かき)・野菜・コーヒー豆などの一大産地であり、ダラット産の農産物はファンティエットを経由して南部沿岸地域やホーチミン市方面へ出荷されるケースも多い。国道28号線が使えなくなれば、輸送コストの上昇が農産物価格に転嫁される可能性がある。
投資家・ビジネス視点の考察
今回の土砂崩れと峠の封鎖は、短期的にはベトナム株式市場全体への直接的なインパクトは限定的と考えられる。しかし、以下の観点から注視すべきポイントがある。
1. インフラ・建設セクターへの示唆:ベトナム政府が進める高速道路整備やインフラ強靭化の必要性を改めて浮き彫りにするニュースである。今後、山岳区間の改良工事や新規高速道路建設に予算が振り向けられれば、建設・資材関連銘柄にとって追い風となり得る。
2. 観光・サービスセクター:ムイネーやダラットに拠点を持つホテル・リゾート運営企業にとっては、復旧の長期化がネガティブ要因となる。一方で迂回ルート上のサービスエリアや宿泊施設には一時的な需要増が見込まれる。
3. 日本企業への影響:ビントゥアン省やラムドン省には日系の農業関連企業や観光開発企業が進出しているケースがある。物流の遅延やコスト増は短期的な事業リスクとなるため、サプライチェーンの代替ルート確保が重要である。
4. ベトナム経済全体のトレンドとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向け、ベトナムは資本市場改革だけでなく、インフラ整備を含めた投資環境の総合的な底上げが求められている。こうした自然災害リスクとインフラ脆弱性の問題は、中長期的な投資判断において「カントリーリスク」の一部として認識しておく必要がある。
復旧工事の進捗や迂回ルートの状況については、引き続き現地情報を追っていきたい。
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出典: 元記事












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