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ベトナム・ニンビン省が「グリーン観光」モデル都市へ——世界遺産チャンアンを軸に持続可能な観光戦略を本格始動

Ninh Bình lựa chọn phát triển du lịch xanh bền vững
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
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ベトナム北部の観光名所ニンビン省が、世界遺産チャンアン(Tràng An)を核に据えた「グリーンツーリズム(du lịch xanh)」の推進を本格化させている。2025年5月21日、ベトナム観光協会とニンビン省観光協会が共同で座談会を開催し、同時に「ニンビン省グリーン観光支部(Chi hội Du lịch xanh tỉnh Ninh Bình)」が正式に発足した。自然保全と持続可能な価値を観光開発の基盤に据えるこの動きは、ベトナム観光産業全体の方向性を象徴するものとして注目される。

目次

ニンビン省はなぜ「グリーン観光のモデル」になり得るのか

座談会の冒頭、ベトナム観光協会のヴー・テー・ビン(Vũ Thế Bình)会長は、世界の観光産業がグリーン・持続可能な発展モデルへと急速にシフトしている現状を強調した。同氏は「グリーン観光はもはや選択肢ではなく、各国・各観光地・各企業にとって必然の要件となった」と述べ、環境保護や排出削減にとどまらず、文化的価値の保全、遺産の維持、地域住民の生活水準向上、そして責任ある観光地イメージの構築までを含む包括的な概念であると定義した。

ニンビン省は、ハノイから南へ約90キロに位置し、石灰岩のカルスト地形が織りなす壮大な景観で知られる。2014年にユネスコの世界複合遺産(文化遺産と自然遺産の両方)に登録されたチャンアン景観複合体(Quần thể Danh thắng Tràng An)を筆頭に、石灰岩の山々、湿地林、伝統工芸の村落、仏教寺院群など多様な観光資源を有する。ビン会長はこれらの条件を踏まえ、「ニンビン省はベトナムにおけるグリーン観光の模範となるすべての条件を備えている」と太鼓判を押した。

1990年代から続く「保全と観光の両立」戦略

ニンビン省観光局のブイ・ヴァン・マイン(Bùi Văn Mạnh)局長によれば、同省は1990年代後半からすでに「遺産保全と一体化した観光開発」という戦略を一貫して追求してきた。この長期的なビジョンが功を奏し、タムコック・ビックドン(Tam Cốc – Bích Động)やチャンアンといった観光地は国際的な知名度を獲得するに至った。

マイン局長は、ニンビン省観光の成功は「国家・企業・地域コミュニティ」という三本柱の連携によって成り立っていると分析する。国が戦略と政策を策定し、企業が持続可能な思考で事業を展開し、住民が遺産と観光地の主体として機能する——この三者の有機的な結びつきが不可欠だという。

具体的な環境保全策としては、遺産エリアでのエンジン付き車両の使用制限、手漕ぎ舟や徒歩による体験型観光の優先などが挙げられる。特筆すべきは、過去にロープウェイ建設の投資提案があった際、景観保護と地域コミュニティの長期的利益を理由にこれを拒否した実績である。観光収入の短期的最大化よりも、遺産価値の長期的維持を優先する姿勢が明確に示されたエピソードだ。

グリーン観光支部の発足と「VITA GREEN」認証

ニンビン省観光協会のズオン・ティ・タイン(Dương Thị Thanh)会長は、同省が「資源の搾取型」から「保全・価値発揮型」へと観光開発の思考を転換していると説明した。新たに発足したグリーン観光支部は、グリーン観光に携わる企業・団体・個人を結集し、プラスチックごみの削減や責任ある観光の推進を図る役割を担う。

同日、ベトナム観光協会とニンビン省観光協会は、複数の代表的な観光地・宿泊施設に対し「VITA GREEN(ベトナム観光協会グリーン観光基準)」の認定プレートを授与した。認定を受けたのは、チャンアン・エコツーリズム地区、タムコック・ビックドン観光地区、バイディン文化地区(Khu Văn hóa Bái Đính、ベトナム最大級の仏教寺院複合体)、そしてエメラルダ・リゾート・ニンビン(Emeralda Resort Ninh Bình)の4カ所である。

投資家・ビジネス視点の考察

ニンビン省のグリーン観光推進は、以下の点でベトナム株式市場および日系企業に示唆を与える。

観光関連銘柄への影響:ベトナムでは観光セクターがコロナ後の回復局面にあり、2025年の外国人観光客数は過去最高を更新する勢いである。グリーン観光認証の拡大は、環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視する国際的な投資マネーの流入を後押しする可能性がある。ホーチミン証券取引所に上場する観光・ホテル関連銘柄にとって、VITA GREENのような認証制度はブランド価値の向上に直結する。

日本企業への示唆:日本はベトナムの観光分野における主要な協力パートナーであり、JICAを通じた遺産保全支援の実績もある。グリーンツーリズムの潮流は、日系ホテルチェーンや旅行代理店にとって差別化戦略の好機となる。また、環境技術(水処理、廃棄物管理、再生可能エネルギー)を持つ日本企業にとっては、観光地向けのソリューション提供という新たな市場が開ける。

FTSE新興市場指数格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向け、ベトナムは国際基準への適合を各分野で加速させている。観光分野での持続可能性への取り組みは、国全体のESGスコア向上に寄与し、格上げ後の海外機関投資家の投資判断にもプラスに作用するだろう。

マクロ経済上の位置づけ:ベトナム政府は製造業依存からサービス業・観光業の高付加価値化へと経済構造の転換を図っている。ニンビン省の事例は、地方経済の振興と環境保全を両立させるモデルケースとして、今後他省にも波及する可能性が高い。地方分散型の観光開発はインフラ投資(高速道路、鉄道)とも連動しており、建設・不動産セクターへの波及効果も注視すべきである。


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出典: 元記事

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