こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。
ベトナムに住んでいると、「日本人観光客向けのお土産」がここ数年でどれだけ変わったか、肌で感じることがあります。一昔前は、ドライフルーツやカシューナッツをビニール袋に詰めて売っているだけだったのに、今はパッケージがきれいで、日本の品質基準に寄り添った商品がどんどん出てきている。
そのなかで一際存在感を増しているのが「STAR KITCHEN(スターキッチン)」です。2026年5月、ホーチミンのベンタイン市場そばに4店舗目となる旗艦店「STAR KITCHENベンタイン市場店」をオープンしました。
実は、このブランドの直営店はハノイにもあります。旧市街のĐường Thành通りの店舗で、私もときどき前を通るのですが、常に観光客が立ち寄っていて日本語が飛び交っています。バインミーラスクという少し珍しい商品を軸に据えた展開が、日本人受けしているのだなと肌で感じていました。そのSTAR KITCHENが、今回さらに攻勢に出た形です。
今回のベンタイン市場店で注目したいのは、「場所」と「コンセプト」の両方が計算し尽くされているという点です。
立地は、ベンタイン市場から徒歩5分、ホーチミン高島屋から徒歩8分、地下鉄ベンタイン駅から徒歩3分というホーチミン観光の動線のど真ん中。旅行者が移動しながら自然に立ち寄れる位置です。
コンセプトは「Old Saigon Market Reimagined(サイゴンのレトロな時代を再現)」。テラコッタ色の床、ヴィンテージタイル、ローカル看板、屋台カート、プラスチック椅子——昔のサイゴンの街角を象徴する素材を使いながら、日本品質の丁寧さで「小さなマーケット」を再現しています。設計を担当したのはベトナム拠点の建築設計事務所studio anettaiです。
私が面白いと思うのは、単に「きれいなお土産屋さん」を作るのではなく、「体験として持ち帰れる空間」にしているところです。入口前には大型のバインミーラスク屋台カートが鎮座していて、それ自体がフォトスポットになっている。店内も棚に並べるだけの一般的なレイアウトではなく、複数の商品島を配置した「Micro Market」構造で、来店から購入まで5〜10分で完結させる導線になっている。観光客の行動パターンを徹底的に研究した設計だと思います。
そもそもなぜSTAR KITCHENがここまで伸びているか。ホーチミン高島屋のギフトスイーツ部門で2024年・2025年と2年連続で年間売上1位を獲っているわけですが、これは偶然ではないと見ています。
日本人観光客がベトナムで何を買いたいかというと、「日本のホームセンターやスーパーで買えないもの」でありながら「品質が信頼できるもの」という二つの条件を同時に満たす商品です。ベトナム産コーヒーやカシューナッツはすでに定番化していますが、バインミーラスクという切り口は独自性があって、「このブランドでしか買えない」という希少価値を作ることに成功しています。
2026年4月時点の累計販売数は80万箱。ホーチミン2店舗、ハノイ1店舗、ダナン1店舗の4店舗体制は、ベトナムを訪れる日本人観光客の主要な動線をほぼカバーする形になっています。
ベトナムの観光業は近年回復が著しく、日本人観光客数も戻ってきています。そのなかで「日本人に刺さるベトナムらしさ」を商品化して高品質で提供するというビジネスモデルは、観光消費の構造変化をうまく捉えているように見えます。
ハノイ在住の私からすると、旧市街のĐường Thành通りにあるSTAR KITCHENの店舗は「ベトナムのお土産産業の今」を象徴するような存在です。かつてのドンスアン市場のような雑然とした土産物店と、今のSTAR KITCHENのような体験型ブランドショップが同じ旧市街エリアに共存しているのですが、観光客が吸い込まれていく先は明らかに変わってきている。
そういうことなんです。ベトナムのお土産産業は今まさに「品質と体験のブランド化」という転換点にある。それを一つの民間ブランドが先行して体現しているのが、STAR KITCHENです。
いかがでしたでしょうか。今回のSTAR KITCHEN旗艦店オープンについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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