金価格が過去18年間で最大の上昇幅を記録、1オンス5,000ドルに迫る急騰劇の背景と今後の見通し

2026年2月3日(火)、国際金価格が1日で約287ドル(6.16%)上昇し、2008年以来18年ぶりの上昇幅を記録した。金価格は4,947.8ドル/オンスで取引を終え、一時は4,995ドル近くまで上昇、心理的節目である5,000ドルに迫る展開となった。この急騰は、直前2営業日の激しい売り崩しからの反発であり、底値買い需要とドル安が追い風となった。

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18年ぶりの急騰、その背景にある市場の激動

米Kitco取引所のデータによると、米国市場の金スポット価格は287.1ドル上昇し、4,947.8ドル/オンスで引けた。銀スポット価格も7.47%上昇の85.28ドル/オンス、プラチナは約4.6%高の2,226ドル/オンスと、貴金属全般が大幅高となった。COMEX(ニューヨーク商品取引所)の2026年4月限金先物も6.1%上昇し、4,935ドル/オンスで取引を終えている。

この急反発は、金曜・月曜の2営業日で展開された激しい売り崩しへの反動である。金価格は史上最高値の約5,600ドル/オンス付近から一時4,400ドル台まで急落しており、投資家の間に底値買いの機運が広がったことが急騰の主因となった。

売り崩しの引き金となったFRB議長人事と市場環境の変化

先週末からの急落は、ケビン・ウォーシュ氏がジェローム・パウエル現議長(2026年5月任期満了)の後任としてFRB(米連邦準備制度理事会)議長に指名されたことがきっかけだった。市場では、ウォーシュ氏が利下げ継続には前向きながらも、FRBのバランスシート縮小を推進するとの観測が広がった。加えて、CMEグループ(シカゴ・マーカンタイル取引所運営会社)が貴金属先物の証拠金率を引き上げたことも、売り圧力を強める要因となった。

ドイツ銀行のレポートは、今回の売り崩しが数カ月間にわたり積み上がった投機的なロングポジション(買い持ち高)の巻き戻しという短期的要因に起因すると分析。投機筋のポジションが過度に膨らんでいたところに、FRB議長人事とドル高が重なり、売りが加速したと指摘している。

専門家は長期上昇トレンドの維持を予測

Zaner Metalsのシニアストラテジスト、ピーター・グラント氏はロイター通信に対し、「今回の下落は長期的な上昇トレンドにおける調整と見ている。金価格は4,400ドルを重要なサポートライン、5,100ドル付近をレジスタンスとする保ち合い局面に入る可能性がある」と述べた。

CPM Groupのファンドマネージャー、ジェフリー・クリスチャン氏もCNBCに対し、「投資家は依然として経済・政治情勢への懸念を抱えており、金価格はより持続可能なペースで長期上昇トレンドを再開すると予想している」とコメントした。

ドイツ銀行も「1980年代から2013年にかけて金価格が低迷した時期とは状況が異なり、長期的な上昇トレンドが持続的に反転する条件は見当たらない」と分析。地政学リスク、各国中央銀行による金買い増し、脱ドル化の動き、FRBの利下げ継続期待といったファンダメンタルズが金価格を下支えし続けるとの見方を示している。

世界最大の金ETF「SPDR Gold Trust」は売り越しも冷静な対応

世界最大の金ETF(上場投資信託)であるSPDR Gold Trustは3日、3.7トンの金を売却し、保有量は1,083.4トンに減少した。ただし、同ファンドは価格が激しく変動する局面でも大規模な売買は控えており、保有量をほぼ維持する慎重な姿勢を続けている。アナリストの間では、これは長期投資家が依然として金の上昇基調を信じている証左と受け止められている。

銀価格にも強気の見通し、産業需要が下支え

eToro社のアナリスト、ザヴィエ・ウォン氏は「短期的には投機が銀価格に大きく影響している。銀市場は金市場よりも個人投資家の参加が多いためだ」と指摘しつつも、「銀が投機だけで動いていると考えるのは誤りだ。銀はデータセンターやAIインフラなど急成長分野での産業用途が拡大している」と述べた。

最新の報告書によれば、世界の年間銀需要は4万8,000〜5万4,000トンに達する一方、供給量は3万4,000トンにとどまり、需要の62〜70%しか賄えない状況だ。特に太陽光発電分野だけで年間1万〜1万4,000トンを消費し、これは世界供給量の41%に相当する。

翌朝のアジア市場と日本円換算

4日早朝(ベトナム時間6時20分)のアジア市場では、金スポット価格は米国終値から6.5ドル安の4,941.3ドル/オンス(0.13%安)、銀は1.03ドル安の84.25ドル/オンス(1.22%安)と小幅に調整した。

ベトナム大手銀行ベトコムバンクの為替レート(1ドル=26,180ドン)で換算すると、金価格は1両(約37.5グラム)あたり約1億5,600万ドン。前日比で600万ドンの上昇となった。

日本への示唆と今後の注目点

今回の金価格急騰は、世界的な地政学リスクの高まりと金融政策の不透明感を反映したものだ。日本の投資家や企業にとっては、円安・ドル安の為替動向と合わせて、金や銀への資産分散の重要性が改めて浮き彫りになった。特に、脱炭素関連のインフラ投資が進む中で銀の産業需要が拡大している点は、関連サプライチェーンに携わる日本企業にとっても注視すべきトレンドである。FRB新議長の政策方針、中央銀行の金購入動向、そして米中関係を含む地政学リスクの行方が、今後の貴金属市場を左右する鍵となる。

出典: VnEconomy

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