2025年2月3日(火)の米国市場は、テクノロジー株への売り圧力が強まり主要3指数が揃って下落した。同時に暗号資産ビットコインは2024年11月以来の安値を記録し、原油市場では米イラン間の緊張再燃を受けて価格が反発するなど、グローバル市場が激しく揺れ動いた。
米国株式市場:テクノロジー株が全面安
この日の取引終了時点で、S&P500種株価指数は前日比0.84%安の6,917.81ポイント、ダウ工業株30種平均は166.67ドル(0.34%)安の49,240.99ポイントで引けた。なお、ダウ平均は取引時間中に史上最高値を更新する場面もあったが、終値では下落に転じた。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は1.43%安の23,255.19ポイントと、3指数の中で最も大きな下げ幅を記録した。
下落の主因はテクノロジーセクターである。米国株市場を牽引してきた大型テック7銘柄「マグニフィセント・セブン」のうち、2025年第4四半期決算を発表した企業の株価が軒並み下落した。マイクロソフトとメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)はともに2%超の下落、アップルも小幅安となった。AI(人工知能)向け半導体で圧倒的シェアを持つエヌビディアは3%超の下落となり、年初来の軟調な値動きが続いている。巨額のAI投資に対する収益化の見通しが依然として不透明であることが、投資家心理を冷やしている。
明るい材料:ウォルマートが時価総額1兆ドル突破
一方で、すべてのセクターが売られたわけではない。米小売最大手ウォルマートの株価は約3%上昇し、時価総額が1兆ドル(約150兆円)の大台を突破した。景気敏感株への資金シフトが鮮明となり、JPモルガン・チェースやシティグループといった大手銀行株も上昇して取引を終えた。
テクノロジーセクターの中で唯一の例外となったのがパランティア・テクノロジーズである。同社は2025年第4四半期決算が市場予想を上回り、今四半期の業績見通しについても強気の予測を示したことから、株価は約7%急騰した。データ分析と政府向けAIソリューションを強みとする同社への期待が改めて高まった形だ。
ビットコイン:2024年末以来の安値圏に沈む
暗号資産市場では、ビットコインが激しい売り圧力にさらされた。一時は7万3,000ドルを割り込み、2024年11月以来約3カ月ぶりの安値を記録した。わずか1週間前には8万ドルを割り込んだばかりであり、下落ペースが加速している。ベトナム時間2月4日午前8時(日本時間同日午前10時)時点で、ビットコイン価格は7万5,500ドル前後で推移しており、24時間前と比べて約3.8%安、1週間前と比べると15%超の下落となっている。
ビットコインは2024年に米国でのスポット型ETF承認を追い風に史上最高値を更新していたが、直近では利益確定売りや世界的なリスク回避姿勢の強まりを受けて調整局面に入っている。
原油市場:米イラン緊張で反発
エネルギー市場では、原油価格が反発した。北海ブレント先物は1.03ドル(1.55%)高の1バレル67.33ドル、米国産WTI原油先物は1.07ドル(1.72%)高の63.21ドルで取引を終えた。
上昇のきっかけは、ホルムズ海峡付近で米海軍艦艇に接近したイランの無人機を米軍が撃墜したとの報道である。この事態は、進行中とされる米イラン間の核協議交渉が暗礁に乗り上げる可能性を示唆しており、中東情勢への警戒感が高まった。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約2割が通過する戦略的要衝であり、同地域の緊張は原油価格に直結する。
エネルギー調査会社リスタッド・エナジーのホルヘ・レオン首席アナリストはロイター通信に対し、「イランの石油市場における重要性は産油量だけにとどまらない。その地政学的影響力は戦略的な地理的位置、地域の安全保障力学への影響、そしてエネルギーインフラや重要な輸送ルートを混乱させる能力に由来している」と指摘した。
なお、前日の月曜日には両原油とも4%超の急落を記録し、1月26日以来の安値をつけていた。これは米国とOPEC(石油輸出国機構)第3位の産油国であるイランが核協議を再開するとの報道を受けた動きであった。
米印貿易協定と原油需要への期待
原油価格を支えたもう一つの材料が、米国とインドの貿易協定合意である。この協定により、米国がインド製品に課す関税は50%から18%に引き下げられ、インド側は大部分の米国製品への関税をゼロにするとともに、ロシア産原油の購入を停止することを約束した。インドは世界第5位の経済大国であり、世界有数の原油輸入国でもある。同国がロシア産原油から他の供給源にシフトすれば、世界の原油需給バランスに大きな影響を与える可能性がある。
ウクライナ情勢:和平交渉の行方は不透明
ロシア・ウクライナ戦争に関しては、和平交渉の進展が依然として見通せない状況が続いている。ウクライナ側の発表によると、ロシア軍の空爆により首都キーウ(キエフ)を含む複数の都市で暖房システムが破壊された。この攻撃は、ウクライナの交渉団がアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで開催される米国仲介の3カ国協議に向けて出発するタイミングで行われた。協議は2月4日と5日の2日間にわたって行われる予定である。
ロシアに対する西側諸国の経済制裁は原油輸出にも及んでおり、戦争の長期化は原油価格を高止まりさせる要因となりうる。米エネルギー情報局(EIA)のデータによれば、2025年時点でロシアは米国、サウジアラビアに次ぐ世界第3位の原油生産国である。
日本への示唆
今回の市場変動は、日本の投資家や企業にも複数の示唆を与える。第一に、米国テクノロジー株への過度な依存はリスクを伴うことが改めて浮き彫りとなった。第二に、中東情勢の緊迫化はエネルギー輸入大国である日本のコスト構造に直接影響する。第三に、米印貿易協定はインド市場への参入を検討する日本企業にとって競争環境の変化を意味する可能性がある。グローバル市場の連動性が高まる中、複合的なリスク管理の重要性が増している。
出典: VnExpress












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