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ベトナム銀行業界、給与格差が拡大中――TPBankが「ビッグ4超え」を達成した理由

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

ちょっと面白いデータが出てきたのでご紹介したいと思います。

2026年第1四半期のベトナム銀行セクターの「従業員一人当たりの給与」ランキングで、首位に立ったのがTPBankでした。Vietcombank、BIDV、VietinBank、MBバンクというベトナムを代表する国有系メガバンク群、いわゆる「ビッグ4」を抑えての1位です。

ハノイに13年住んでいると、TPBankのATMやデジタルバンキングアプリをよく目にするようになったここ数年の変化を肌で感じてきました。「あ、テクノロジーに強い銀行だな」という印象は持っていたのですが、今回の給与データを見て、その変化が数字にも如実に表れてきたと感じています。

目次

月41万円超、ビッグ4を超えたTPBankの給与水準

今回、27行の銀行の連結財務報告をもとに集計された数字によると、TPBankの2026年第1四半期における従業員一人当たりの月平均人件費は6,800万VND超(約41万円)で、調査対象銀行の中でトップでした。

参考までに他行の水準を並べると、2位のVietcombankが5,660万VND(約34万円)、3位のVietinBankが5,330万VND(約32万円)、MBバンクが4,750万VND(約28万円)、BIDVが4,350万VND(約26万円)。業界全体の平均は3,550万VND(約21万円)です。

TPBankとビッグ4の差が広がっているのも注目点で、Vietcombankとの差は1,000万VND以上あります。

さらに興味深いのは、TPBankの総人件費の動きです。2026年3月末時点の従業員数は約7,960人で、年初より138人減少しました。にもかかわらず、2026年第1四半期の従業員関連費用の総額は約1兆6,300億VND(約98億円)で、前年同期比29%増加しています。

「人員が減っているのに、コスト総額は増えている」。これが今回のデータが示す最も重要なメッセージだと私は見ています。

AIが給与構造を変え始めている

なぜこんなことが起きているのか。TPBankの経営陣が株主総会で明確に説明しています。「反復的な業務プロセスの自動化により、間接労働が大幅に削減された」とのことです。同時に、ビジネス、テクノロジー、データ、AIの分野で優秀な人材を積極的に採用している。

つまり、単純作業をこなすためのスタッフを減らし、高度専門職に対しては惜しみなく報酬を出している、ということです。

TPBankの会長であるド・ミン・フー氏は「AIは金融業界において避けられない潮流だが、人間の役割を完全に代替することはできない」と述べました。これは単なる建前ではなく、今回の人件費データがその戦略の実行を裏付けています。少ない人数で高い生産性を出せる人材を高報酬で確保する。デジタルトランスフォーメーションが「人の構造」まで変えてきたということです。

ベトナムの金融業界でもこういう変化が起きているのか、と思いますよね。ハノイの街中でスーツ姿のエリート層がTPBankのアプリをいじっているシーンは珍しくなくなっています。

銀行間の給与格差は「戦略の格差」

もう一方で注目したいのが、給与の「下位」グループです。

BVBank、LPBank、Saigonbank、Bac A Bankなど11行は、一人当たりの月平均支出が3,000万VND(約18万円)を下回りました。特にBac A Bankは約2,060万VND(約12万円)で最下位圏にあり、TPBankの約3分の1という水準です。

また、SHB、Nam A Bank、LPBankなどは前年同期比で人件費が減少しているデータも出ています。預金獲得競争や資本コストの圧迫で利益率が厳しい中、コスト削減を優先せざるを得ない状況が続いています。

今後、テクノロジーへの投資余力がある銀行とない銀行で、この給与格差は更に広がっていく可能性があります。そういうことなんです。

ベトナム銀行株を見る際のひとつの視点として

今回のデータは投資家として読むと、ひとつのシグナルになり得ます。

「高度人材への投資を継続できている銀行か、否か」という視点です。デジタルバンキングの競争が激化するベトナムで、テクノロジーとデータ人材を確保できている銀行は中長期的な競争力で優位に立つ可能性があります。TPBankの29%という人件費増加率は一見コスト増に見えますが、「選択と集中」による投資とも解釈できます。

もちろん、株価水準や財務指標も含めて総合的に判断する必要がありますし、投資判断はご自身の責任でお願いします。ただ、「給与データ」という切り口でセクターを読む視点は、意外と見落とされがちだと感じています。

次回は、こうした銀行セクターの変化をさらに深掘りした内容もメンバーシップ内で配信予定です。

いかがでしたでしょうか。今回のTPBankの給与首位トピックについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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本記事で提供される情報は、執筆者の個人的な分析と見解に基づくものであり、投資判断の最終的な決定は読者ご自身の責任において行ってください。ベトナム株式投資は価格変動が大きく、元本割れのリスクを伴います。

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