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ファム・ニャット・ヴオン氏の映画会社V-Filmが大規模採用。ベトナムに「ソフトパワー産業」が生まれる予感

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

ハノイに住んでいると、ヴィングループという名前はあらゆる場所で目に入ります。VinHomesのタワーマンション、VinFastのEV、VinMecの病院、VinSchoolの学校バス。正直なところ、この国でフアム・ニャット・ヴオン氏が手を出していないセクターを探す方が難しいと思うことすらあります。

そのヴォン氏が、今度は「映画」に本腰を入れ始めた、という話です。

目次

V-Filmとは何か、そして今何が起きているのか

V-Film Development Joint Stock Companyは2025年9月末に設立された、まだ生まれたての会社です。ハノイのVinhomes Riverside Urban Areaに本社を構え、資本金は100億VND(日本円で約6億円)。株主構成を見ると、ファム・ニャット・ヴオン氏本人が定款資本の45%を握り、残りをファム家の家族とヴィングループが分け合っています。実質的に「ヴォン氏のファミリープロジェクト」と言っていいでしょう。

そのV-Filmが今週、ハノイで大規模な採用活動を発表しました。目を引いたのは、マーケティング&ディストリビューションマネージャーのポジションで、月給の上限が6,000万VND(約36万円)に設定されていること。ベトナムの民間企業の給与水準としては、かなり強気な数字です。マーケティングマネージャーやコンテンツマネージャーでも最大4,500万VND(約27万円)と、タレントを確保しにいく本気度が伝わってきます。

会社のCEOに就任したのが、トラン・ドゥック・ヴィエット氏、ニックネームはJVevermind。ベトナムでは知らない人がいないほど有名なYouTuberで、ベトナム人として初めてYouTubeのゴールドボタンを獲得した人物です。2016年にはForbes 30 Under 30 Asiaにも選ばれています。このキャスティングは、V-Filmが「従来のベトナム映画業界の外側」から人材を集めようとしているシグナルだと私は読んでいます。

最初のプロジェクトは「陳王朝」

V-Filmが第一弾として発表したのは、ベトナムの陳王朝(チャン王朝)を題材にした10話構成の映像シリーズです。モンゴル軍の侵攻に抵抗した戦争と、宮廷内の権力闘争を描く内容で、脚本はすでに完成。2026年7月に撮影開始、同年12月の公開を目指しています。

歴史的・文化的正確性を担保するために、ベトナムの歴史家や文化専門家を多数起用しているとのこと。JVevermind氏が語った「ベトナムの文化や歴史の物語を現代的な言語で国際的な視聴者に届けたい」というビジョンは、なかなか本気に聞こえます。

さて、ここで少し立ち止まって考えてみたいことがあります。

ベトナムに「ソフトパワー産業」が育つ条件は整っているか

韓国がKポップとドラマで世界を席巻したこの10年は、ベトナムの企業・政府関係者の間でも頻繁に参照されます。実際、私がハノイで暮らしていると、若い世代の消費行動が明らかに変わっていることを感じます。ストリーミングサービスへの支出が増え、自国コンテンツへの関心が高まっている。

ただ、韓国モデルとの違いも正直に言わなければなりません。コンテンツ産業で世界を取るには、資金力だけでなく、流通インフラ、著作権の管理体制、海外展開のノウハウが必要です。V-Filmの資本金100億VNDは「スタート地点」であって、本格的なグローバル展開にはこの何倍もの投資が続くことになるはずです。

それでも、ヴォン氏が個人で45%を持ちファミリーで手掛けるプロジェクトとして動かしているという構造は重要です。ヴィングループの看板企業であるVinFastが赤字を垂れ流しながらも上場を果たし、世界市場で存在感を示そうとしているのと同じ発想——「ベトナムというブランドをつくる」という意志が、ここにも貫かれているように見えます。

投資家として気になるVinGroup(VIC)への間接的インパクト

V-Film自体は非上場です。ただ、ヴィングループ(VIC)の株主として見れば、この動きをどう評価するかは一考の価値があると思います。

V-Filmのヴィングループ持分は10%に過ぎず、財務インパクトは現時点では限定的です。ただ、文化・エンターテインメントセクターへのエクスポージャーを持つコングロマリットとして、中長期的なブランド価値向上に寄与する可能性は否定できません。

一方でリスクも明示しておきます。映画・コンテンツ産業は回収期間が長く、ヒット作なしには収益化が困難です。ヴィングループ本体がVinFast関連の資金繰りや不動産市況の影響を受けている現状を踏まえると、V-Filmへの追加投資余力には注目が必要です。

VICは現在も私の継続観察対象の銘柄ですが、このV-Filmニュース単体での判断変更はありません。引き続き財務の変化を見守っていきたいと思います。

そういうことなんです

ベトナムという国は、安い労働力で工場を動かす国から、ブランドとコンテンツを輸出する国へと変わろうとしています。その動きが民間の最大財閥によって起動されているという事実は、それ自体が大きな「シグナル」だと私は受け取っています。

陳王朝の映像シリーズが2026年12月にどんな形で出てくるか。それが面白ければ、ベトナムのコンテンツ産業に対する世界の見方は確実に変わる。そういうことなんです。

いかがでしたでしょうか。今回のV-Film採用・プロジェクト発表について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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本記事で提供される情報は、執筆者の個人的な分析と見解に基づくものであり、投資判断の最終的な決定は読者ご自身の責任において行ってください。ベトナム株式投資は価格変動が大きく、元本割れのリスクを伴います。

本記事の情報の正確性、完全性、最新性については最大限の注意を払っていますが、保証するものではありません。本記事の情報に基づいて行われた投資による損失や損害について、執筆者は一切の責任を負いません。

投資判断に際しては、金融商品取引業の登録を受けた専門家への相談を強く推奨いたします。本記事は法的、税務的、財務的なアドバイスを提供するものではありません。

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