ベトナム南部の経済都市ホーチミン市に、アジア太平洋地域における航空金融の中核拠点となる新センターが設立された。同センターは設立と同時に61億ドル(約9,100億円)の資金調達に成功しており、ベトナムの国際金融センター構想が具体的な一歩を踏み出したことを示している。
「アジア太平洋航空金融センター」とは何か
今回設立されたのは「アジア太平洋航空金融センター」で、ホーチミン市が推進する国際金融センター(IFC)の傘下に位置づけられる専門機関である。航空機のリース取引やファイナンス、保険といった航空関連の金融サービスを集約し、アジア太平洋地域における航空金融のハブを目指す。
航空金融センターの設立は、これまでアイルランドのダブリンやシンガポールが世界的な拠点として知られてきた航空機リース・金融市場において、ベトナムが新興プレイヤーとして名乗りを上げたことを意味する。61億ドルという調達額は、国際的な航空金融市場においても相当規模の資金であり、同センターへの期待の高さを物語っている。
背景にあるホーチミン市の国際金融センター構想
ベトナム政府は2020年代に入り、ホーチミン市を香港やシンガポールに並ぶ国際金融センターへと育成する構想を本格化させてきた。人口1,000万人を超えるホーチミン市は、ベトナムGDPの約25%を生み出す経済の中心地であり、外資系金融機関や多国籍企業が集中する。
同構想では、税制優遇措置や規制緩和を通じて海外の金融機関や投資家を誘致し、フィンテック、オフショア金融、そして今回の航空金融といった専門分野でのクラスター形成を目指している。航空金融センターの設立は、この構想における最初の大型プロジェクトの一つと位置づけられる。
急成長するベトナム航空市場との連携
ベトナムは東南アジアでも有数の航空市場成長国である。ベトジェット航空やバンブー航空といったLCC(格安航空会社)の台頭に加え、国営ベトナム航空も路線網を拡大。国内線・国際線ともに旅客数は右肩上がりで推移してきた。
こうした航空需要の拡大は、新規航空機の調達ニーズを高め、リース取引や航空機ファイナンスの市場も急速に拡大している。航空金融センターの設立は、自国の航空産業を支える金融インフラを国内に構築し、これまで海外に流出していた金融取引を取り込む狙いがある。
日本企業・投資家への示唆
日本の航空機リース大手やメガバンクは、すでにアジアの航空金融市場で存在感を示している。ホーチミン市の航空金融センターが本格稼働すれば、日本勢にとっても新たなビジネス機会が生まれる可能性がある。
また、ベトナムの国際金融センター構想全体が軌道に乗れば、資産運用やフィンテック分野での日越連携も加速すると予想される。今後の制度整備や優遇措置の詳細に注目が集まる。
出典: VnExpress












コメント