こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。
6月相場が幕を開けました。
その初日、VN-Indexは19ポイント下落して1,844ポイントで引けました。「6月に入れば何か変わるかな」と期待していた方には、少し残念なスタートだったかもしれません。私もハノイの自室でスクリーンを眺めながら、正直ため息の一つはついた気がします。
ただ、数字を丁寧に読み解いていくと、単純に「弱い」とも言い切れない。今日はそのあたりを整理してみます。
外国人売り越し6,340億VND──その中身を読む
6月1日の外国人投資家の動きは、市場全体で売り越しが約6,340億VND(日本円換算で約38億円)でした。
もう少し内訳を見ていきましょう。売りの主役はACB(銀行)が約1,090億VND、BSR(石油・ガス)が約880億VND、MSB(銀行)が約870億VND。銀行と石油・ガスに売り圧力が集中しているわけです。
ここには一つの文脈があります。特にACBはここ数週間、外国人持ち株比率が上限に近いこともあり、需給的に重い状態が続いています。BSRについては、原油価格の先行き不透明感が背景にあると見ています。これらは「ベトナム固有の問題」というより、グローバルな資金の動きが反映されている部分が大きい。
一方で、流動性全体は約12兆4,000億VND(≒7,440億円)とかなり低水準にとどまりました。これは「積極的に売った」というよりも「大半の投資家が様子見で動かなかった」という解釈が自然です。参加者が少ない中で外国人が売り越したため、数字の見た目は悪いが、実態は「嵐」ではなく「凪」に近い。
MWGが唯一の明るい光だった理由
外国人の買いで際立ったのはMWG(モバイルワールドグループ、ディエン・マイ・サイン運営会社)で、約890億VNDの買い越しとなりました。FPTが約690億VND、VCBが約460億VNDで続きます。
MWGが買われた背景について私なりの読みを述べると、家電小売の業績回復期待が根底にあります。消費回復サイクルの初期段階で外国人機関投資家がポジションを積み始める動きは、2023年後半から何度か見られたパターンです。今回もその延長線上にある動きなのか、あるいは単発の需給なのか——判断はもう少し日数が必要ですが、注目に値する動きであることは間違いないと考えています。
余談になりますが、MWGの旗艦ブランドであるディエン・マイ・サイン(Điện Máy Xanh)は、ハノイ市内のいたるところで見かけます。あの青い看板が増えた街角を歩くたびに、「これはただの小売店ではなく、ベトナムの中間層の拡大そのものだな」と実感します。数字より先に、街の変化が教えてくれることがあるんです。
6月の外国人動向、どう見るか
ハノイ証券取引所(HNX)では、外国人投資家は逆に220億VNDの小幅買い越しでした。これはCEOへの約290億VND買いが牽引したものです。小規模とはいえ、HNXでプラスが出たことは一つの材料です。
UPCoM市場では約80億VNDの売り越しでしたが、ACVへの売り圧力が約110億VNDと目立ちました。ACV(アエロポーツ・デュ・ベトナム、空港運営会社)は長らく外国人投資家に人気の銘柄でしたが、昨今の評価見直しが続いています。
そういうことなんです。今日の相場で大事なのは「売り越し」という一面的な事実ではなく、「誰が何を売って、何を買ったか」という構造です。銀行・石油が売られ、小売・テクノロジー・一部銀行が買われた——この選別の動きは、外国人が市場全体から逃げているのではなく、セクターローテーションの文脈で動いていることを示唆しています。
6月は例年、夏季に向けたポジション調整が入りやすい月です。FTSEセカンダリー・エマージング市場への組み入れが9月21日からはじまることを見据えると、この数ヶ月間の外国人の動向は「前哨戦」として注意深く見ていく必要があります。引き続き毎週のデータを追いかけていきます。
いかがでしたでしょうか。今回の外国人投資家動向について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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