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ベカメックス(BCM)が国有比率を95%から65%へ引き下げへ――ベトナム民営化の潮目が変わるか

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

ベトナム株をウォッチしていると、ときどき「ああ、この国はまだここにいるんだな」と感じる瞬間があります。上場しているのに国が株の95%を握っている。そういう企業が、今もHoSEに普通に存在している。

BCM、つまりベカメックス・グループがまさにそれです。

今回、このベカメックスが動きました。国有比率を現在の95.44%から2030年までに65%強まで引き下げる計画をホーチミン市人民委員会に提案した、というニュースです。これを読んで「やっと動いたか」と思った投資家は、私だけではないはずです。

目次

上場しているのに「実質的に非上場」という矛盾

少し背景を整理しましょう。

ベトナムの証券法(法律56/2024/QH15)では、2021年1月以前に上場した公開会社に対し、「議決権株式の少なくとも10%を、主要株主ではない100人以上の投資家が保有しなければならない」という条件を定めています。期限は2026年1月1日。

BCMの現状はどうかというと、一般株主は9,221名いるものの、その保有比率はわずか4.56%です。残りの95.44%は国(ビンズオン省を通じたホーチミン市人民委員会系)が持っている。つまり、形式上は上場企業でも、実態としては国有企業そのものです。

ハノイで13年間、ベトナムの経済現場を見てきた私からすると、これは決して珍しい話ではありません。VCB(ベトコムバンク)もACV(空港公社)もGASもBSRも、国有比率の高い上場企業は市場に多数存在します。上場はしているが流動性は低く、機関投資家が入り込む余地も限られている。これがベトナム市場の「分かっているけどなかなか変わらない問題」のひとつでした。

2026〜2030年で一気に30ポイント下げる計画

今回BCMが提案した内容は、国家の保有比率を現在の95.44%から「2026〜2030年の間に65%強まで引き下げる」というものです。株式を新たに一般向けに放出することで、浮動株比率を引き上げ、証券法の株主構成要件を満たすことを目指しています。

この計画が実現すれば、市場に出回るBCM株は大幅に増加します。現在の浮動株比率4.56%が、理論上は30〜35%近くまで跳ね上がることになる。規模感でいえば、BCMは南部ベトナム最大級の工業団地開発・インフラ企業です。ビンズオン省を中心に工業団地の造成・管理、住宅・商業不動産、インフラ建設と幅広く展開しており、機関投資家から見たとき「BCMに投資できない」という状況は長らく続いてきました。

浮動株が増えれば、そのボトルネックが解消される可能性があります。

足元の業績は「プレッシャーが大きい」現実

ただし、投資家として冷静に見ておくべき数字もあります。

BCMは2026年通期目標として、連結総収益1兆230億VND(前年比+4%)、税引後純利益3,883億VND(前年比+10%)を掲げています。ところが2026年第1四半期の実績を見ると、純収益は1,105億VND(前年同期比▲40%)、純利益は約280億VND(前年同期比▲22%)でした。2024年第2四半期以来、8四半期で最低の水準です。

通期計画に対する進捗率は、売上高で約12%、利益で約7%。第1四半期でこの数字というのは、残りの3四半期でかなりの挽回が必要なことを意味しています。

会社側の説明では、経過措置として公開会社の地位は引き続き維持されるとのことです。2025年8月施行の国家資本管理法には、国有企業が株式会社に転換して上場している場合、再編計画の実施期間中は公開会社としての地位を取り消されないという経過規定が含まれています。つまり、当面の間は法的に守られた状態で計画を進める時間的余裕がある。その点は評価できます。

「民営化の潮目」が変わるとしたら、どういう意味を持つか

BCMの動きを単独のニュースとして見るよりも、ベトナム市場全体の流れの中で捉えると意味が大きくなります。

今年2026年9月21日には、FTSEラッセルによるベトナムの「セカンダリー・エマージング・マーケット」への昇格が段階的に始まります(4月8日に正式確認済み)。指数への組み入れが本格化すると、パッシブ資金が市場に流入してきます。そのとき、浮動株が少ない銘柄は組み入れられにくい。BCMが今から浮動株の拡大に動いているのは、この文脈でも理にかなっています。

また、アナリストが指摘するように、大企業の国有比率が下がれば市場に「質の高い株式」が供給される効果があります。VCBやGASのような巨大企業が少しずつ民営化を進めれば、ベトナム市場の厚みと流動性は格段に増すはずです。BCMがその先陣を切れるかどうかは、2026〜2030年の計画実行次第ということになります。

ハノイで見ていると、ビンズオン省を中心に工業団地への外資誘致はいまも続いています。BCMの本業である工業団地事業の地力は、足元の業績数字だけで判断するには慎重さが必要です。第1四半期の落ち込みが一時的なものなのか、構造的な問題の始まりなのか、6月25日開催予定の定時株主総会での経営陣の発言に注目したいと思います。

そういうことなんです。BCMの今回の発表は「規制対応」と片づけることもできますが、背景にあるFTSE昇格・外資流入・民営化の波という構造的な変化と結びつけて読むと、ベトナム市場の次のステージを予感させる動きに見えてくる。投資家として記録しておきたい一手です。

いかがでしたでしょうか。今回のベカメックス(BCM)国有比率引き下げ計画について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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本記事で提供される情報は、執筆者の個人的な分析と見解に基づくものであり、投資判断の最終的な決定は読者ご自身の責任において行ってください。ベトナム株式投資は価格変動が大きく、元本割れのリスクを伴います。

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