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ベトナム国家財政、5カ月で49.5兆ドン超の黒字──歳入15.4%増も公共投資の遅れに課題

Ngân sách nhà nước thặng dư hơn 495.000 tỷ đồng sau 5 tháng
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
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ベトナム財政省の発表によると、2026年1〜5月の累計で国家財政は約495兆6,000億ドンの黒字を記録した。歳入が前年同期比15.4%増と好調に推移する一方、公共投資の執行率はわずか20.3%にとどまり、財政の「質」には依然として課題が残る構図が浮かび上がっている。

目次

歳入:5カ月で約1,341兆ドン、年間予算の53%を達成

5月単月の歳入は約2,163億ドン(216.3兆ドン)で、年間予算の8.6%に相当する。ただしこの水準は前年同月を下回り、また1〜4月の月平均と比べても約76.9%の水準にとどまった。5月は季節的に徴税のペースが落ちやすい時期であるが、それでも累計では年間予算の53%を消化しており、まずまずの進捗と言える。

歳入構造を見ると、国内税収が約1,168兆2,000億ドン(年間予算の53.1%、前年同期比15.8%増)と全体の87.2%を占め、圧倒的な主柱となっている。ベトナムの財政構造が製造業・サービス業を中心とした内需型の税収基盤へと移行していることを如実に示すデータである。

原油収入:価格高騰が生産量の不振を補う

原油関連収入は約24兆8,000億ドンで、年間予算の57.7%を達成し、前年同期比15.4%増となった。注目すべきは、原油の生産量が約350万トン(年間計画の43.9%)と低調であるにもかかわらず、原油価格が平均91.4USD/バレルと予算想定を21.4USD/バレル上回ったことが収入を押し上げた点である。中東情勢の緊迫化が原油高の背景にあるとされるが、これは同時にベトナムの製造業コストを押し上げる「両刃の剣」でもある。

輸出入関連収入とVAT還付の増加

輸出入関連の財政均衡収入は約147兆2,000億ドン(年間予算の52.9%)。輸出入分野の総収入は約212兆3,000億ドンで前年同期比15.3%増だが、付加価値税(VAT)の還付額が約65兆1,000億ドン(前年同期比23.2%増)に達しており、輸出企業への還付負担が拡大していることがわかる。

減税措置:5カ月で約72兆8,000億ドンの減収要因

ベトナム政府は景気下支えのため、環境保護税、VAT、ガソリン・軽油・航空燃料に対する特別消費税など広範な減税・免税措置を継続している。5カ月間の減免総額は約72兆8,000億ドンに上り、短期的な歳入の下押し要因となっている。地政学リスクの高まりや世界経済の不透明感を踏まえ、企業・国民の負担軽減を優先する政策方針が鮮明であるが、財政均衡との両立が今後の焦点となる。

歳出:公共投資の執行率20.3%が最大のボトルネック

5月単月の歳出は約186兆6,000億ドン。累計では約845兆4,000億ドンで年間予算の26.8%、前年同期比わずか3.3%増にとどまった。歳入の伸び(15.4%)と比べ歳出の伸びが大きく抑制されていることが、黒字幅拡大の主因である。

最大の課題は公共投資の執行率である。開発投資支出は約206兆2,000億ドンで国会決定予算の18.4%、首相が割り当てた計画に対しては20.3%の消化率にとどまる。ベトナムでは毎年、年前半の公共投資執行が遅れ年末に集中する傾向が常態化しているが、2026年も例外ではない。財政省は、進捗の遅いプロジェクトから実行可能性の高いプロジェクトへの予算振り替えを各省庁・地方に指示している。

一方、債務利払いは予算の約43%、経常支出は約32.4%が執行済みで、給与・年金・手当の支払いは予定通り実施されている。中央予算からは約5,605億ドンの予備費が自然災害・疫病対応等に充当されたほか、テト(旧正月)や端境期の食糧支援として国家備蓄米1万5,000トン超が放出された。

国債発行は安定推移

2026年5月27日時点で、政府国債の発行額は159兆2,000億ドン。平均償還期間は9.5年、平均利率は年4.09%と、比較的長期・低利での資金調達が継続されている。財政の信認が維持されていることを示す指標と言えるだろう。

投資家・ビジネス視点の考察

①株式市場への影響:財政黒字の拡大は、マクロ経済の安定性を示すシグナルとして市場にはポジティブに受け止められやすい。ただし、公共投資の遅れは建設・インフラ関連銘柄(例:ホアファット・グループ〈HPG〉やコテコンズ〈CTD〉など)の業績の下振れリスクとなる。年後半に公共投資が加速すれば、これら銘柄への資金流入が期待できる。

②減税政策と内需関連:ガソリン・燃料への減税継続は、物流コストの抑制を通じて小売・消費関連セクターを下支えする。一方、減税幅が大きいほど将来的な増税リスクや財政引き締めの可能性を織り込む必要がある。

③FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に最終判断が見込まれるFTSE新興市場への格上げにおいて、財政の健全性は重要な評価項目の一つである。黒字基調の財政運営はプラス材料だが、公共投資の執行力や歳入の持続可能性(減税の出口戦略)が海外投資家の注視ポイントとなるだろう。

④日本企業への示唆:ベトナムに製造拠点を置く日本企業にとって、VAT還付の増加はキャッシュフロー面でプラスである。また、公共投資が年後半に加速する場合、インフラ関連のODA案件やPPP(官民連携)事業への参画機会が広がる可能性がある。一方、原油高が続けば電力料金や輸送コストの上昇圧力となるため、コスト管理への留意が必要である。


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出典: 元記事

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