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ベトナム株式市場の代表的指数であるVN-Indexが取引時間中に一時30ポイント近く急落し、心理的節目である1,800ポイントを割り込む場面があった。しかし後場にかけて押し目買いが急速に膨らみ、終値は前日比わずか7.46ポイント安の1,819ポイントまで回復。国内機関投資家は板寄せベースで700億2,000万ドンの買い越しを記録し、市場の下支え役として存在感を示した。
VN-Index、一時1,800割れから劇的に切り返す
直近の調整局面でVN-Indexは高値から約100ポイント下落しており、この水準が割安感を意識させる「バーゲンハンティング」の呼び水となった。場中には1,800ポイントを明確に下回る場面もあったが、引けにかけて買いが急増し、終値は1,819ポイント。値上がり銘柄数173に対し値下がり銘柄数133と、市場全体の騰落比率も改善した。3市場合計の売買代金は約2兆2,000億ドンに達し、流動性も十分な水準を維持している。
銀行株がけん引、ビングループ関連が重し
回復を主導したのは銀行セクターである。時価総額上位のVCB(ベトコムバンク、ベトナム最大の国有商業銀行)、BID(BIDV)、TCG(テクコムグループ)などが堅調に推移した。証券セクターもMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)の市場格上げウォッチリスト入りへの期待感から続伸し、SSI、VIX、HCM、VND、VCIといった銘柄が買われた。エネルギー・石油ガスセクターではGAS(ペトロベトナムガス)が2.8%高、IT(情報技術)セクターも2.27%上昇するなど、幅広いセクターに資金が流入した。
一方、指数の重しとなったのはビングループ(Vingroup、ベトナム最大手のコングロマリット)関連銘柄である。VIC(ビングループ本体)が3.56%安、VHM(ビンホームズ、不動産開発)が1.59%安、VRE(ビンコムリテール、商業施設運営)が3.05%安、KSF(KSFグループ)はストップ安となった。VIC・VHM・VREの3銘柄だけでVN-Indexを約15ポイント押し下げており、これがなければ指数はプラス圏で引けていた計算になる。
投資主体別売買動向—国内機関が積極買い、外国人は売り継続
国内機関投資家は総額676億6,000万ドンの買い越し、板寄せ(マッチング)ベースでは700億2,000万ドンの買い越しとなった。買い越し上位銘柄はACB、VIC、NVL(ノバランド)、TCB(テクコムバンク)、MWG(モバイルワールド)、VNM(ビナミルク)、KDC、CTG、VHM、EIBなど。売り越しはFPT、HPG(ホアファットグループ、鉄鋼最大手)、SHB、HDB、MBBなどIT・銀行の一部に集中した。
外国人投資家は607億1,000万ドンの売り越し(板寄せベース559億8,000万ドン)を継続。売り越し上位はACB、VHM、VIC、VPB、TCB、VND、GMD、VNM、CTGと銀行株が目立つ。一方で買い越し上位にはFPT、SHB、VIX、NVL、MBB、DBC、GEX、SAB、HPG、LPBとIT・素材系が並び、セクター間で選別が進んでいることが読み取れる。
個人投資家は247億5,000万ドンの買い越し。不動産セクターを中心にVHM、VIC、VPBなどを拾う動きが見られた一方、FPTやVIXなどを売却する動きも確認された。自己売買部門は232億4,000万ドンの売り越しであった。
注目の大口相対取引
相対取引(ブロック取引)の総額は4,124億5,000万ドンで前日比21.8%増加し、市場全体の売買代金の18.6%を占めた。特に目を引くのがVJC(ベトジェット航空)の385万株・約700億ドン規模の相対取引と、HCM(ホーチミン証券)の2,100万株超・583億6,000万ドン規模の取引で、いずれも国内個人投資家間で行われた。大口の持ち分移動は今後の需給に影響を及ぼす可能性があり、動向を注視する必要がある。
資金フローの変化—大型株に回帰の兆し
セクター別の資金流入比率を見ると、不動産、証券、IT、食品・飲料、小売、倉庫・物流、航空で増加した一方、銀行、建設・資材、鉄鋼、電気設備、石油ガス、化学、公益、海運、パーソナルケアでは低下した。時価総額別では大型株のVN30への資金流入比率が上昇し、中型(VNMID)・小型(VNSML)では低下しており、リスク回避局面で大型株への回帰が始まっている兆候とも読める。
投資家・ビジネス視点の考察
今回の相場展開で注目すべきポイントは大きく3つある。
第一に、国内機関投資家の継続的な買い越しである。外国人の売り越しが続くなかで国内勢が受け皿となる構図は、2024年後半以降の繰り返しパターンだが、その規模が拡大している点は市場の底堅さを示唆する。特にACBやTCBなど銀行株を選好している点は、2025年の業績回復期待を織り込む動きと考えられる。
第二に、MSCI格上げ期待が証券セクターを押し上げている点である。ベトナムはFTSE(フッツィー)の新興市場指数への格上げが2025年9月の判定、2026年9月の正式決定というスケジュールで進んでおり、同時にMSCIのウォッチリスト入りの可能性も意識されている。格上げが実現すれば、パッシブ資金の大規模な流入が見込まれ、証券会社は取引量増加の直接的な恩恵を受ける。SSI、HCM、VNDといった大手証券株が買われている背景にはこの思惑がある。
第三に、ビングループ関連の下落が長期化するかどうかである。VIC・VHM・VREの3銘柄はVN-Indexに占めるウェイトが大きく、これらが反転しない限り指数の本格回復は難しい。不動産市場の回復ペースやビングループのEV(電気自動車)事業の進捗が鍵を握る。日本企業にとっては、ビングループのサプライチェーンに参画する部品メーカーや、ベトナムの不動産開発に関与するデベロッパーへの間接的な影響にも留意が必要である。
ベトナム経済全体としては、GDP成長率8%超を目標に掲げる政府の積極的な財政・金融政策が続いており、中長期的な成長ストーリーに変化はない。短期的な調整局面は、中長期投資家にとってはエントリーポイントを検討する好機ともなり得るだろう。
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