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ビットコインが週間ベースで約13%下落し、2022年11月以来最大の週間下落幅を記録した。引き金となったのは、上場企業として世界最大のビットコイン保有量を誇るStrategy社(旧MicroStrategy)が3年超ぶりにビットコインを売却したことである。暗号資産市場全体に動揺が広がるなか、個人投資家のAI関連株への資金シフトも重なり、市場の構造的な転換が進んでいる可能性がある。
Strategy社、3年ぶりのビットコイン売却
6月4日、Strategy社の創業者マイケル・セイラー氏は、同社が前週に32ビットコイン(総額約250万ドル)を売却したと発表した。同社が2020年8月にビットコイン購入を開始して以来、売却はわずか2回目であり、前回は2022年12月に税務上の理由で実施されたものであった。
今回の売却理由は、優先株主への配当支払いに充てるためである。同社は5月31日付で米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書でこの方針を明らかにしている。セイラー氏は過去10カ月間で「Stretch」と呼ばれる永久優先株を発行し、105億ドルを調達してきた。この優先株は年率11.5%の配当を支払う一方、株価上昇の恩恵は享受できない設計となっている。
売却前の時点で、Strategy社は110回の取引を通じて合計843,738ビットコインを購入しており、総投資額は約640億ドルに達していた。転換社債やその他の株式連動型金融商品を活用した大規模な資金調達により、同社は多額の負債を抱える構造となっている。
ビットコイン価格の急落
6月4日の取引で、ビットコインは一時5.5%下落し61,344ドルまで値を下げた後、やや回復した。ベトナム時間6月5日午前9時時点では、24時間前比で約2.3%安の63,466ドルで推移していた(Coinmarketcap.comのデータによる)。
なお、2025年2月初旬にもビットコインは17カ月ぶりの安値となる60,000ドル超の水準まで下落しており、2024年11月のトランプ大統領再選時の約67,000ドルを大きく下回る状態が続いている。その後、5月の直近高値まで約35%上昇したものの、再び下落に転じた形である。
市場関係者の見方
著名な暗号資産懐疑論者であるピーター・シフ氏は、英フィナンシャル・タイムズ紙の取材に対し、今回の売却は単なる小規模な動きにとどまらず、今後さらに大規模な売却が続く兆候である可能性があると指摘した。Strategy社の方針転換は、ビットコイン投資家にとってさらなる損失を予告するものだとの見解を示している。
一方、セイラー氏自身は依然として強気の姿勢を崩さず、今回の価格下落を「チャンス」と表現している。
個人投資家のAI株シフトが追い打ち
暗号資産市場への逆風はStrategy社の売却だけではない。暗号資産取引会社Wintermute(ウィンターミュート)のストラテジスト、ジャスパー・デ・マエレ氏は「個人投資家は完全に市場から離脱し、株式市場に回帰している」と述べている。
AI(人工知能)ブームに牽引されたテクノロジー株の急騰が個人投資家の関心を奪っている。イーロン・マスク氏率いるSpaceX(スペースX)が史上最大規模となる可能性のあるIPO(新規株式公開)を開始したほか、Anthropic(アンスロピック)やOpenAI(オープンAI)といったAIスタートアップも年内の上場計画を進めている。
さらに、米国ではデジタル資産規制法案が米銀行業界の反対により上院で停滞しており、制度面での追い風も期待しにくい状況である。デ・マエレ氏は「ビットコインやその他の暗号資産に対する将来の需要源を特定するのは非常に困難だ。方向性の予測は難しい」と語っている。
投資家・ビジネス視点の考察
今回のビットコイン急落は、ベトナムの投資家にとっても無関係ではない。ベトナムは世界有数の暗号資産普及率を誇る国であり、個人レベルでのビットコイン保有者が多い。価格の急落は消費マインドの冷え込みを通じてベトナム国内経済にも間接的な影響を及ぼし得る。
また、個人投資家の資金がAI関連株へシフトしている点は、ベトナム株式市場にとっては二面性がある。ベトナムのIT・テクノロジーセクター(FPT等)にはAIブームの恩恵が波及する可能性がある一方、暗号資産関連の資金流出がベトナム株市場全体の流動性に影響を与えるリスクも存在する。
2026年9月に見込まれるFTSE新興市場指数への格上げを控え、ベトナム市場への海外資金流入が期待されるなか、グローバルなリスク資産の動向——暗号資産市場の混乱を含め——がベトナム市場のセンチメントにどう波及するか、引き続き注視が必要である。Strategy社のビジネスモデルが持続可能かどうかという問いは、レバレッジを活用した投資戦略全般に対する警鐘でもあり、ベトナム市場で信用取引を活用する投資家にとっても示唆に富む事例といえるだろう。
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