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VN-Indexは週末の取引で前日比+0.4%(+7.35ポイント)の1,838.9ポイントで引け、2日連続の上昇を記録した。しかし実態は「青い皮に赤い中身(xanh vỏ đỏ lòng)」――上昇銘柄89に対し下落銘柄203と、下落が2.3倍に達する極めて歪な相場であった。さらに日中ベースでは大量の銘柄が「ブルトラップ(偽の上昇シグナル)」を形成しており、個人投資家にとって危険な地合いが続いている。
指数を支えたのはVinグループ系2銘柄のみ
今回の指数上昇を実質的に支えたのは、VIC(ビングループ、ベトナム最大のコングロマリット)の+3.4%と、VHM(ビンホームズ、同グループの不動産開発子会社)の+1.33%の2銘柄だけである。この2銘柄だけで指数に13ポイント超の押し上げ効果をもたらしており、仮にこれを除けばVN-Indexは実質的にマイナス圏に沈んでいた計算になる。
VN30構成銘柄を見ても、青(上昇)はわずか7銘柄に対し赤(下落)は17銘柄。VJC(ベトジェットエア)+6.95%、TPB(TPバンク)+1.57%、SHB(サイゴン・ハノイ銀行)+1.45%など個別に健闘した銘柄もあるが、時価総額が限定的で指数への寄与は小さい。一方、時価総額トップ10ではBID(BIDV、国営大手銀行)が-1.52%と弱く、LPB(リエンベト・ポストバンク)-1.72%、GVR(ベトナムゴム・グループ)-1.56%、FPT(ベトナム最大手IT企業)-1.45%、BSR(ビンソン精油)-1.38%、MSN(マサングループ)-1.22%と、主力銘柄が軒並み下落した。
約44%の銘柄が日中高値から1%超下落――「ブルトラップ」の実態
今回の相場で最も警戒すべきポイントは、日中の値動きにおける「ブルトラップ(bull-trap、偽の上昇局面)」の頻発である。取引が成立した銘柄のうち約44%が、日中の最高値から1%以上のスリッページ(下落)を記録した。つまり、寄り付きや前場で上昇を見て買いを入れた投資家が、後場にかけて一転した下落で損失を被るパターンが大量に発生したということである。
終値ベースで前日比を見るだけでは、この日中の損失は捕捉できない。参考価格(前日終値)との比較で「横ばい」や「微減」に見える銘柄でも、実際には場中に高値で買い、その後の急落で大きな含み損を抱えたケースが多数あったと推察される。
売買代金が過去最低を連日更新――投資家の「参加拒否」
もう一つの深刻なシグナルが、売買代金の急減である。この日のHoSE(ホーチミン証券取引所)とHNX(ハノイ証券取引所)の合計マッチング売買代金はわずか1兆2,928億ドンにとどまり、前日の1兆3,579億ドンをさらに下回って過去最低を更新した。VN-Indexが2日連続で上昇しているにもかかわらず、投資家が市場への参加を拒否している格好であり、リスク回避姿勢の強まりを如実に示している。
売買代金が極端に細る中では、本格的な売り崩しこそ起きていないものの、逆に言えば買い手不在の状態でもある。1%超の下落となった90銘柄のうち、売買代金が1,000億ドンを超えたのはわずか7銘柄にすぎない。FPTが8,402億ドンで-1.45%、GEX(ジェレックス・グループ)が2,476億ドンで-2.29%、VND(VNダイレクト証券)が2,176億ドンで-1.12%、MSNが2,103億ドンで-1.22%、BSRが1,750億ドンで-1.38%、CII(ホーチミン市インフラ投資)が1,531億ドンで-1.82%、NVL(ノバランド、大手不動産デベロッパー)が1,390億ドンで-2.17%であった。
逆行高銘柄は限定的、流動性に乏しい
Vinグループ系と前述の一部ブルーチップを除けば、逆行高を演じた銘柄の流動性は極めて低い。MSB(軍隊商業銀行)が+1.72%(1,107億ドン)、PNJ(フーニュアン・ジュエリー)が+1.08%(438億ドン)、HSLが+6.92%(81億ドン)、FCNが+1.22%(69億ドン)、CREが+6.08%(39億ドン)と、大半が数十億ドン規模の薄商いに過ぎず、資金の本格流入とは言い難い。
唯一の好材料――外国人投資家が買い越しに転換
「青い皮に赤い中身」が続く中で、数少ない明るい材料が外国人投資家の動向である。この日、外国人は前場に694億ドンの小幅買い越し、後場にさらに2,374億ドンを買い越し、合計で明確な買い越しに転じた。買い越し上位はVIC +2,722億ドン、ACB(アジア商業銀行)+2,551億ドン、FPT +1,262億ドン、VIX(VIX証券)+865億ドン、MBB(MBバンク)+378億ドン、TPB +276億ドンなどである。一方、売り越し上位はMSN -721億ドン、HPG(ホアファット・グループ、鉄鋼最大手)-559億ドン、VPB(VPバンク)-529億ドン、TCB(テクコムバンク)-430億ドン、FRT(FPTリテール)-406億ドン、PHR(フオックホア・ラバー)-361億ドンであった。
投資家・ビジネス視点の考察
現在のベトナム株式市場は、指数の見た目と個別銘柄の実態が大きく乖離する「インデックス・イリュージョン」の状態にある。VIC・VHMという時価総額トップクラスの2銘柄が指数を支えているが、市場全体の需給は明らかに悪化しており、売買代金の過去最低更新がそれを裏付けている。
この状況は、2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数への格上げ判断を前にして、やや不安な材料と言える。FTSE格上げが実現すれば外国人資金の本格流入が期待されるが、現時点では国内投資家のセンチメントが極度に冷え込んでおり、格上げ期待だけで相場が持ち上がる地合いではない。むしろ、外国人の買い越し転換は格上げを見据えた先行的なポジション構築の可能性があり、今後の継続性が注目される。
日本からベトナム株に投資している個人投資家にとっては、VN-Indexの数字だけを見て「底打ち」と判断するのは極めて危険である。指数が微増していても、ポートフォリオの大半を占める中小型株は下落しているケースが多く、実質的な損益は指数以上に悪化している可能性が高い。ブルトラップが頻発する相場環境では、短期の逆張りは特にリスクが大きい。売買代金が回復し、上昇銘柄数が下落銘柄数を上回る「本物の反転シグナル」が出るまでは、慎重な姿勢が求められる局面である。
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ハノイ在住13年日本語で毎日配信。
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