ベトナムのファム・ミン・チン首相は、同国に進出している日本企業の業績向上に強い期待を示し、黒字企業の比率を現在の67.5%から90%まで引き上げることを目標に掲げた。この発言は、日越両国の経済関係がさらなる深化の局面を迎える中、ベトナム政府が外資誘致戦略において日本企業を最重要パートナーと位置づけていることを改めて印象づけるものである。
現状の「67.5%黒字」は高評価だが、首相は更なる高みを求める
日本貿易振興機構(JETRO)などの調査によれば、ベトナムに進出している日系企業のうち、黒字を計上している企業の割合は67.5%に達している。この数字は、ASEAN(東南アジア諸国連合)域内でも相対的に高い水準であり、一般的には「非常に積極的(ポジティブ)な結果」として評価されている。
しかし、ファム・ミン・チン首相はこの結果に満足せず、「さらに努力を重ね、90%の達成を目指すべきである」との見解を示した。首相の発言は、ベトナム政府が日系企業の事業環境改善に向けて、行政手続きの簡素化、インフラ整備、人材育成などの分野で一層の支援策を講じる意向を示唆するものと受け止められている。
日越経済関係の深まりと「脱中国」の受け皿としての期待
ベトナムには現在、約2,000社を超える日系企業が進出しており、製造業を中心に同国の経済発展に大きく貢献してきた。特に近年は、米中対立の激化やサプライチェーンの多元化(いわゆる「チャイナ・プラスワン」戦略)を背景に、中国から生産拠点を移転する日本企業の受け皿としてベトナムへの注目が高まっている。
2023年に日越両国は外交関係樹立50周年を迎え、関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げした。半導体やレアアース、脱炭素といった戦略分野での協力も加速しており、両国の経済的結びつきはかつてないほど強固なものとなっている。
日本企業への影響と今後の展望
首相が具体的な数値目標を掲げたことは、ベトナム政府内で日系企業の満足度向上が重要課題として認識されていることを示している。今後、電力供給の安定化、通関手続きの迅速化、熟練労働者の確保といった日系企業が長年指摘してきた課題に対し、より踏み込んだ対応が期待される。
一方で、90%という野心的な目標達成には、ベトナム国内の法制度の透明性向上や、急激な賃金上昇への対応など、構造的な課題の克服も不可欠である。日本企業にとっては、ベトナム政府の姿勢を注視しつつ、中長期的な視点で投資判断を行うことが求められるだろう。
出典: VnExpress












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