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ベトナム国内の金価格が6月1日から8日まで7営業日連続で急落した後、9日午前の取引でようやく下げ止まりの兆しを見せた。SJC金地金の売値は1ルオン(約37.5グラム)あたり1億4,380万ドンで安定し、国際価格との差はわずか約424万ドン(約3%)にまで縮小している。南部の一部業者では国際価格を下回る水準で取引される異例の事態も発生した。
7連続下落からの「踊り場」——9日午前の市場動向
6月8日の取引終了時点で、各販売業者は買取価格を1ルオンあたり740万ドン、売値を640万ドンと大幅に引き下げた。この激しい値動きの後、9日午前は一転して横ばいとなった。
9時30分時点で、SJC社の金地金は買取価格1億3,880万ドン/ルオン、売値1億4,380万ドン/ルオンと、前日終値から変動なし。DOJI、PNJ、バオティン・ミンチャウ(Bảo Tín Minh Châu)、バオティン・マインハイ(Bảo Tín Mạnh Hải)、フークイ(Phú Quý)といった大手各社も同水準を提示した。
南北で広がる価格格差——ミーホン・ゴックタムの動き
注目すべきは南北間の価格差である。北部の大手各社が1億3,880万〜1億4,380万ドン/ルオンで横並びとなる一方、南部の業者は北部より最大200万ドン/ルオン安い水準で取引されている。
ホーチミン市のミーホン(Mi Hồng)では午前中に買取価格を200万ドン、売値を100万ドン引き上げ、9時30分時点で買取1億4,000万ドン/ルオン、売値1億4,200万ドン/ルオンとなった。同社の買値・売値のスプレッドは200万ドン/ルオンと、北部大手の500万ドン/ルオンに比べ大幅に狭い。
同じく南部のゴックタム(Ngọc Thẩm)は買取・売値をそれぞれ50万ドン引き上げ、1億3,650万〜1億4,150万ドン/ルオンで取引。市場全体で最も安い水準となっている。
買値・売値スプレッドが史上最大の500万ドンに拡大——買い手に不利な構造
6月8〜9日の2営業日で、買取価格が売値より大きく下落した結果、北部大手各社の金地金スプレッドは史上最大の500万ドン/ルオンにまで拡大した。これは、直近の高値で金を購入した投資家が売却しようとした場合、1ルオンあたり500万ドンの差損を即座に被ることを意味する。6月1日の売値1億5,850万ドン/ルオンで購入した場合、9日午前の買取価格1億3,880万ドンとの差は実に1,970万ドン/ルオンに達する。
金のリング(nhẫn vàng「4 số 9」=純度99.99%の金リング)についても同様で、購入時期によっては1,600万〜1,970万ドン/ルオンの含み損を抱える計算となる。
金リング市場も下げ止まり——ただし業者間で大きな価格差
金リング「4 số 9」も7営業日連続の急落を経て、9日午前は大半の業者で横ばいとなった。DOJI、PNJ、バオティン・ミンチャウ、バオティン・マインハイ、フークイはいずれも1億3,880万〜1億4,380万ドン/ルオンを維持。SJC社の金リングは買取1億3,860万ドン、売値1億4,360万ドンと微差ながらやや低い設定である。
一方、ゴックタムの金リングは買取1億3,250万ドン、売値1億3,700万ドン/ルオンと市場最安値で、スプレッドも450万ドン/ルオンと相対的に狭い。
国際金価格との差が劇的に縮小
9日10時時点の国際金価格は1オンスあたり3,339ドル(前日比0.5%超上昇)。ベトコムバンク(Vietcombank)の為替レートをもとに税・手数料を含めて換算すると、SJC金地金の売値と国際価格の差はわずか424万ドン/ルオン(約3%)にまで縮小した。
かつてベトナム国内の金価格は国際価格を1,500万〜2,000万ドン/ルオン以上も上回る「異常なプレミアム」が常態化していた。今回の急落により、この構造的な歪みが急速に是正されつつある。金リング「4 số 9」については、大手各社でなお972万〜992万ドン/ルオンのプレミアムが残るが、ゴックタムでは逆に国際価格が国内価格を約256万ドン上回る「逆プレミアム」が発生している。
投資家・ビジネス視点の考察
1. 金市場の正常化と政策効果:ベトナム国家銀行(中央銀行)は2024年以降、金地金の供給拡大や輸入規制の見直しを段階的に進めてきた。今回の価格急落と国際価格との収斂は、こうした政策が実効性を発揮し始めたことを示唆する。国内外価格差の縮小は、金の密輸インセンティブを低下させ、外貨市場の安定にも寄与する。
2. 株式市場への波及:金価格の急落は、金から株式や不動産など他の資産クラスへの資金シフトを促す可能性がある。特にベトナム株式市場(VN-Index)は2026年9月にFTSE新興市場指数への格上げが決定される見通しであり、海外からの資金流入期待と相まって、金市場から流出した国内資金が株式市場に向かう展開も考えられる。PNJ(フーニュアンジュエリー、HOSE上場)やDOJI(未上場)など金販売大手の業績には、販売マージン拡大(スプレッド500万ドン)というプラス面と、取引量減少・在庫評価損というマイナス面が交錯する。
3. 為替・マクロ経済への影響:金プレミアムの縮小はドン安圧力の一因を除去する効果がある。金密輸のための外貨需要が減少すれば、ベトナムドンの安定に寄与し、輸入コストの抑制を通じてインフレ率の安定にもつながる。日系企業を含むベトナム進出企業にとっては、為替リスクの低減という点でポジティブな材料である。
4. 個人投資家への教訓:わずか8営業日で1ルオンあたり最大1,970万ドンもの損失が生じた今回の急落は、ベトナムの金市場が持つ流動性リスクとスプレッドリスクを改めて浮き彫りにした。買値・売値のスプレッドが500万ドンに達する状況では、短期売買による利益確保は極めて困難であり、金投資はあくまで長期的な資産保全手段として位置づけるべきである。
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