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ベトナム・ドンア銀行事件第2弾、企業幹部4名を起訴—被害総額3,153億ドン超の全容

Vụ án Ngân hàng Đông Á: Truy tố 4 lãnh đạo doanh nghiệp gây thiệt hại hơn 3.153 tỷ đồng
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ベトナムの金融史に残る大型不正事件「ドンア銀行(DAB)事件」の第2段階として、最高人民検察院が企業幹部4名を正式に起訴した。信用契約を悪用した債務の付け替え(いわゆる「ダオノー(đảo nợ)」)により、銀行に3,153億ドン超の損害を与えたとされる。主犯格とされる2名が逃亡中という異例の展開も注目を集めている。

目次

事件の概要と起訴内容

2025年6月12日、最高人民検察院はタイティン株式会社(Công ty CP vốn Thái Thịnh、以下TTC)およびタイティン・ダラット株式会社(TTC Đà Lạt)で発生した銀行業務規定違反事件について、4名の被告を起訴する起訴状を発布した。

起訴された4名は以下の通りである。

  • グエン・ティエン・ニャン(Nguyễn Thiện Nhân)—TTC取締役会会長(主犯格)
  • グエン・ゴック・ミン(Nguyễn Ngọc Minh)—TTC Đà Lạt総経理
  • グエン・タイン・トゥイ(Nguyễn Thanh Thủy)—レ・ミン MC株式会社取締役会会長
  • グエン・ダック・ヒエップ(Nguyễn Đắc Hiệp)—ラム・ヴィエン社取締役会会長

4名とも「信用機関の貸付に関する規定違反」の罪で起訴されている。

1億ドルの投資スキームと破綻の経緯

起訴状によると、事件の発端は2007年に遡る。主犯格のグエン・ティエン・ニャンは、ヴィナランド・エスペロ・リミテッド(VNL)およびベトナム・インフラストラクチャー・ホールディング・リミテッド(VIHL)と投資協力契約を締結した。この契約に基づき、VNLとVIHLはTTCに対し、対象企業の株式・出資持分の取得資金として1億ドル(100 triệu USD)を拠出することとなった。

見返りとして、TTCは対象企業における自社の全株式・出資持分をドンア銀行(DAB)に担保として提供する仕組みであった。2007年12月20日、DABの当時の総経理チャン・フオン・ビン(Trần Phương Bình)がVNL・TTCおよびVIHL・TTC間の口座管理契約・投資協力契約に署名。同年12月28日にはVNLとVIHLがDABに開設した口座へ1億ドルを送金し、翌2008年1月4日にDABが1億ドル(1兆6,022億ドン相当)をTTCへ融資実行した。

債務の付け替えと損害の拡大

しかし2008年、TTCはVNL・VIHLへの返済能力を喪失する。ここからが事件の核心である。

チャン・フオン・ビンは部下に指示し、複数の企業・個人名義で11件・計1,820億ドン超の融資を実行させ、さらに77億7,000万ドン超を拠出してTTCグループの資産を買い取らせた。これらの資産をDABでの融資の担保に充て、TTCへの貸付金回収を図るという構図であった。

続いてビンの指示により1,735億ドン超がTTCへ送金されたが、TTCがVNL・VIHLへの返済に充てたのはわずか719億ドンにとどまった。902億ドン超はTTCグループ内のDABにおける別の借入返済に流用され、残額もその他の目的に使われた。

2008年から2010年にかけて、ビンはさらにTTCグループへ904億ドン超を追加融資。返済不能に陥ると、元利金の一部返済のためにさらに融資を重ねる——典型的な「ダオノー」(債務の付け替え・自転車操業)の構図が続いた。

3,153億ドン超の損害と逃亡中の主犯

2018年12月24日(第2段階の刑事事件として立件された時点)において、TTCグループの6件の融資残高は3,153億ドン超に達していた。しかも担保資産はすべて消失し、関連企業も既に活動を停止している状態であった。

捜査当局は、グエン・ティエン・ニャンを主犯と認定。同人がTTCグループを組織・指揮し、チャン・フオン・ビンと共謀して債務付け替えのための融資を実行させ、銀行に3,153億ドン超の損害を与えたと結論づけた。残る3名はニャンの指示に従い、融資書類に署名してニャンによる資金の目的外使用を可能にした共犯とされている。

なお、グエン・ティエン・ニャンとグエン・ゴック・ミンの2名は現在逃亡中であり、公安省捜査警察機関が指名手配を発令している。最高人民検察院は、2名に対し最寄りの公安機関または検察院への自首を呼びかけるとともに、逃亡を続ける場合は弁護権を放棄したものとみなし、法律の規定に基づき起訴・裁判を進めると通告した。

なお、本件に関連するDABの幹部・行員による6件の融資をめぐる違反行為については、既に2020年の一審、2022年の控訴審で起訴・審理が行われている。チャン・フオン・ビン元総経理は先行する第1段階の裁判で既に厳しい判決を受けており、本件はその「借り手側」の責任を問う構図となっている。

ドンア銀行事件の全体像

ドンア銀行(DongA Bank、旧証券コード:非上場)は、かつてベトナム南部を中心に広く展開した民間商業銀行である。2015年にベトナム国家銀行(中央銀行)の管理下に置かれ、事実上の経営破綻状態となった。チャン・フオン・ビン元総経理による巨額の不正融資・横領が発覚し、ベトナム金融史上最大級のスキャンダルとなった。第1段階の裁判ではビンに終身刑が言い渡されている。今回の第2段階は、融資を受けた企業側の責任追及という位置づけである。

投資家・ビジネス視点の考察

本件は直接的に上場銘柄の株価に影響するものではないが、ベトナム金融セクター全体の信頼性に関わる重要な事案として以下の点に注目すべきである。

1. 銀行セクターのガバナンス改善の進展:ベトナム当局がドンア銀行事件を「借り手側」まで徹底追及していることは、金融規律の強化を内外に示すシグナルである。2025年に入りSCB(サイゴン商業銀行)事件の審理も進むなど、過去の不正に対する「清算」が加速している。これはベトナム金融セクターの中長期的な健全化にとってポジティブな動きと言える。

2. FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げにおいて、金融市場の透明性・法の支配は重要な評価項目である。こうした大型金融犯罪の徹底追及は、ベトナムが制度的な成熟を進めているという実績になり得る。

3. 日系企業への示唆:ベトナムで事業展開する日系企業にとって、現地パートナーや取引先の信用リスク管理の重要性を改めて認識させる事例である。特に不動産・金融関連の合弁事業においては、相手方の資金の流れと担保の実態を精査することが不可欠である。

4. 逃亡中の被告への対応:主犯格が海外逃亡しているとみられるケースは、ベトナムの司法制度における国際捜査協力の課題を浮き彫りにしている。今後、犯罪人引き渡し条約の活用や国際手配の動向も注視すべきポイントである。


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出典: 元記事

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