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ベトナム・フエが観光DX推進へ、2026年上半期の観光客数430万人・収入1兆300億ドン突破

Huế thúc đẩy chuyển đổi số, nâng cao sức cạnh tranh du lịch
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ベトナム中部の古都フエ(Huế)が、デジタルトランスフォーメーション(DX)を軸に観光競争力の強化に本格的に乗り出している。2026年6月11日に開催されたシンポジウムでは、「価値の漏出」という構造的課題が指摘されるとともに、Grab(グラブ)との連携事例など具体的な成果も共有された。

目次

フエ観光の現状——数字は好調、しかし課題も

フエ市観光局の統計によると、2026年上半期にフエは430万人の観光客を受け入れる見込みで、前年同期比30%増となる。観光収入は1兆300億ドンに達し、56.2%の大幅増が見込まれている。フエはユネスコ世界遺産を8件擁するベトナム屈指の歴史文化都市であり、阮朝(グエン朝、1802〜1945年)の都として栄えた宮殿群や王陵、宮廷音楽「ニャーニャック」などが国際的に高く評価されている。

しかし、フエ市観光局観光管理課のヴォー・ホアン・リエン・ミン課長は、フエ観光の構造的な弱点として「価値の漏出(rò rỉ giá trị)」を指摘した。これは、観光客が主要スポットを駆け足で見学した後すぐに他都市へ移動してしまい、滞在時間と一人当たり消費額が低いままにとどまっている現象を指す。豊かな文化遺産を有しながらも、観光客との深いインタラクションを生む仕組みが不足しており、遺産の経済的ポテンシャルを十分に引き出せていないという。

さらに、夜間経済(ナイトエコノミー)の弱さも大きな課題として挙げられた。毎日20時以降に楽しめる文化・エンターテインメントコンテンツが乏しく、宿泊日数の延長や消費額の拡大を阻む要因となっている。ダナンやホイアンといった近隣の観光都市と比較すると、この点でフエは後れを取っている。

DXによる4つの解決策

フエ市発展研究院のクン・チョン・クオン院長は、DXを観光客の体験向上と遺産価値の発揮における重要な推進力と位置づけている。ミン課長は行政の立場から、以下の4つの施策グループを提案した。

  1. 保全・活用・再投資——遺産を経済資源に転換するサイクルの構築
  2. DXの推進——データ基盤の整備と観光サービスのデジタル化
  3. プロモーションの革新——SNSやデジタルマーケティングを活用した新たな情報発信
  4. 観光のグリーン化——持続可能な観光モデルへの移行

フエ市観光専門学校のファム・バー・フン校長は、海外の先進事例を引き合いに出し、チケット予約・決済・サービス利用をすべて統合データシステムに接続することで、顧客行動の分析に基づくターゲット別の商品・サービス開発が可能になると述べた。

Grabとの連携——シクロのデジタル化が象徴する変革

具体的な成功事例として注目されたのが、フエ名物のシクロ(人力三輪車)のデジタルプラットフォーム化である。配車アプリ上でシクロを予約できる仕組みにより、運行管理の効率化、サービス品質の担保、料金の透明性確保が実現した。

Grab Vietnam(グラブ・ベトナム)のマー・トゥアン・チョン最高経営責任者(CEO)は、「フエでの協業は、Grabが他都市へモデルを展開する際の成功事例かつ原動力だ」と述べ、デジタルサービスの社会経済的インパクトの広がりに自信を示した。フエ市とGrabの提携開始から1年で、観光客が川沿いのベンチに座りながらアプリでフエ料理を注文するといった新しい観光体験が生まれており、クオン院長はこれを「テクノロジーと伝統的文化空間の融合」と評した。

投資家・ビジネス視点の考察

フエのDX推進は、ベトナム観光セクター全体のデジタル化トレンドを象徴する動きである。以下の点に注目したい。

関連銘柄への影響:ベトナム株式市場では、観光・ホスピタリティ関連銘柄(サイゴンツーリスト傘下企業やフエ地域のホテル事業者など)にとって、滞在日数・消費額の向上は直接的な業績押し上げ要因となる。また、FPTやVNG(ベトナム大手IT企業)など、自治体向けDXソリューションを提供するテクノロジー企業にも商機が広がる。

日本企業への示唆:フエは日本のODA(政府開発援助)による遺産保全支援の実績が深い都市であり、観光DX分野でも日本企業の技術・ノウハウが活かせる余地は大きい。特にスマートシティ関連技術、多言語対応の観光アプリ開発、キャッシュレス決済インフラなどは参入可能性の高い領域である。

FTSE新興市場指数との関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場への格上げが実現すれば、海外からの投資資金流入が加速する。観光セクターの近代化・DX化は、ベトナム経済全体の「制度の透明性」「データ基盤の整備」というFTSE格上げの評価軸とも合致しており、間接的にポジティブな材料と言える。

フエが掲げる「遺産の経済資源化」は、文化資本を持ちながら十分にマネタイズできていない新興国の観光都市に共通する課題であり、その解決モデルとしてのフエの取り組みは今後も注視に値する。


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出典: 元記事

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