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ベトナム株式市場のVN-Indexが再び心理的節目である1800ポイントを割り込み、1791.65ポイントで取引を終えた。週内で3度目の1800ポイント割れとなる。午後の取引終盤わずか15分間でブルーチップ銘柄が総崩れとなり、午前中かろうじて維持していた水準を一気に突き破った格好である。
VHM急落が引き金—午後の売り圧力が爆発
最大の下押し要因となったのはVHM(ビンホームズ、ベトナム最大手不動産デベロッパーでビングループ傘下)である。午前の取引終了時点では+0.07%とわずかにプラス圏を維持していたが、午後1時45分以降に激しい売りが入り、終値では-4.01%と急落した。午後のVHMの出来高は午前の3.7倍に膨らんでおり、突発的な売り圧力が発生したことが数字で裏付けられている。VHMは市場で時価総額第2位の大型株であり、これだけでVN-Indexを約4.8ポイント押し下げた。
VN30構成銘柄の25/30が午前比で悪化
ただし、今回の急落をVHM単独の責任に帰すことはできない。ブルーチップ30銘柄で構成されるVN30のうち、実に25銘柄が午前の引け値より悪化し、9銘柄が1%超の下落を記録した。具体的には以下の動きが目立った。
- LPB(リエンベト・ポストバンク):午後2時頃から急落し、終値-1.19%。午前引け値比では-2.88%の大幅反転。
- ACB(アジア商業銀行):午前中の+2.03%の上昇分をすべて吐き出し、参照価格(前日終値)まで下落。
- GEX:-3.28%、出来高3,105億ドン。
- VRE(ビンコム・リテール):-1.89%、出来高1,230億ドン。
- DXG:-1.16%、出来高1,167億ドン。
- HCM(ホーチミン市証券):-1.64%、出来高1,132億ドン。
- KDH:-1.07%、出来高1,124億ドン。
- GEE:-2.93%、出来高941億ドン。
VN30-Indexの終値は-0.15%で、14銘柄が上昇、12銘柄が下落した。午前終了時点では22銘柄が上昇し4銘柄のみが下落していたことと比べると、午後の地合いの急変ぶりが際立つ。
GASが唯一の「光」—しかし孤立した上昇
GAS(ペトロベトナム・ガス、ベトナム最大のガス供給企業)は午後1時40分時点で+5.58%まで急騰し、この日最も印象的な値動きを見せた。しかしその後は売りに押され、終値は+3.15%に縮小した。VN30全体で午後に値を上げることができたのはGASのほか、BSR(+0.18%に反転上昇)とPLX(+0.5%)のわずか3銘柄にとどまった。
時価総額上位10銘柄の明暗
VHMを除く大型株の動きを見ると、VIC(ビングループ本体)が-0.26%、BID(BIDV、国営大手銀行)が-0.85%、HPG(ホアファット・グループ、ベトナム最大の鉄鋼メーカー)が-0.43%。一方でVCBとVPBは参照価格で横ばい、CTGが+0.15%、TCB(テクコムバンク)が+1.3%、MBB(MBバンク)が+0.4%と底堅さを見せた銘柄もあった。しかし全体としてはVN-Indexの支えには力不足であった。
市場全体の「幅」が急速に悪化
VN-Index全体の騰落銘柄数は、午前終了時の137対123から、大引けでは114対175へと大幅に悪化した。1%超の下落銘柄数も46から67に増加している。注目すべきは、出来高が大きく増えた銘柄がさほど多くないことである。これは積極的な売りというより、買い支えの資金が極端に細っていることを意味する。HoSE(ホーチミン証券取引所)全体で、日中高値から1%以上下落した銘柄の割合は午前の37%から大引けには49.9%へ急上昇した。
外国人投資家は売り越し継続
外国人投資家は午後に2,760億ドンの売り越しを記録し、午前の-2,150億ドンと合わせて終日で売り越し基調が続いた。売り越し上位はVIC(-888億ドン)、VHM(-771億ドン)、MBB(-585億ドン)、MWG(-583億ドン)、VPB(-555億ドン)。一方、買い越し上位にはSHB(+532億ドン)、FPT(+508億ドン)、ACB(+500億ドン)、VNM(+467億ドン)、MSB(+448億ドン)が並んだ。特定銘柄への集中売りではなく分散的な売りであった点が特徴的である。
専門家の見解—定量面では「割安」だが確認待ち
MoneyGain JSC(マネーゲイン)のグエン・ミン・コイ分析部門長は、市場の基調は方向感のない「もみ合い」状態にあり、明確なリード役となる資金フローが不在であると指摘する。同氏によれば、中長期的な視点では市場の実質的なバリュエーションは指数の見た目以上に魅力的である。特にビングループ系銘柄(VIC、VHM、VREなど)を除外して計算すると、残りの市場のPER(株価収益率)は約11.3〜11.5倍にとどまり、これは2025年4月初旬の関税ショック時に近い「非常に割安」な水準だという。今年の利益成長率が15〜20%(特に非金融セクター)と見込まれることを考慮すれば、予想PER(フォワードPER)は9.5〜10倍程度まで低下する計算となる。ただし、この割安さが実際の投資機会に転じるためには、出来高と大口資金の流入による「確認シグナル」が必要だと同氏は強調している。
投資家・ビジネス視点の考察
今回の下落で改めて浮き彫りになったのは、ベトナム市場におけるビングループ系銘柄の指数への影響力の大きさである。VHMとVICだけで時価総額の相当部分を占めており、この2銘柄の値動きがVN-Index全体を歪める「構造的問題」は以前から指摘されてきた。逆に言えば、ビングループ系を除いたベトナム市場の実力値はPER11倍台と、ASEAN域内でも際立って低い水準にある。
2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げは、こうした割安な市場に海外からの大量の資金流入をもたらす可能性がある。現在の外国人の売り越し基調はその格上げ前の「仕込み期間」と捉える見方もある一方、足元の流動性不足が格上げ審査にネガティブに作用するリスクも無視できない。
日本企業にとっては、ベトナムの内需関連株(不動産、小売、銀行)が調整局面にあることは、中長期的な提携・出資の好機となり得る。特にFPTやMBBなど外国人が買い越している銘柄は、日系資本との親和性が高い分野でもあり、今後の動向を注視する価値がある。
短期的には、VN-Indexが1800ポイントの心理的節目を週3回割り込んだことで、テクニカル面での下値支持が弱まっている。次の注目ポイントは1780〜1790ポイント近辺での買い支えの有無、そして出来高を伴った反発が出るかどうかである。
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