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英大手銀行スタンダードチャータード(Standard Chartered)が、ビットコインが59,000ドルまで下落し史上最高値から半値以上を失ったことをもって「暗号資産の冬(クリプトウィンター)は終了した」との見解を発表した。同行は、この水準が底値(ボトム)形成に成功したことを示しており、今後市場は上昇局面に入ると予測している。暗号資産市場に高い関心を持つベトナムの投資家層にとっても、極めて重要なシグナルである。
スタンダードチャータードの見解:59,000ドルが「底」
スタンダードチャータードは、グローバルに展開する英系メガバンクであり、特にアジア・中東・アフリカ地域に強固なプレゼンスを持つ。同行のデジタル資産リサーチ部門は近年、暗号資産に関する積極的な分析レポートを発信しており、機関投資家の間でも注目度が高い。
今回の発表によれば、ビットコインは史上最高値から50%以上の下落を経験し、59,000ドル付近まで値を下げた。この大幅な調整局面は、いわゆる「暗号資産の冬」と呼ばれる長期的な弱気相場を象徴するものであった。しかし同行は、この59,000ドルの水準で明確な「底打ち」が確認されたと分析。ここから市場は反転し、上昇トレンドに転じるとの見通しを示した。
暗号資産の冬とは、2022年以降に顕著となった市場全体の低迷期を指す。米国の利上げサイクル、テラ(Terra/LUNA)の崩壊、FTXの経営破綻といった一連のネガティブイベントが重なり、ビットコインをはじめとする主要暗号資産は軒並み大幅な下落を記録した。スタンダードチャータードが「冬の終わり」を宣言したことは、機関投資家のセンチメント転換を象徴する出来事として受け止められている。
ベトナムと暗号資産:世界有数の「クリプト大国」
ベトナムは、世界でも最も暗号資産への関心が高い国の一つとして知られている。ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)が毎年発表する「グローバル暗号資産普及指数」において、ベトナムは過去数年にわたりトップ5以内に位置し続けている。特に若年層を中心に、ビットコインやイーサリアムだけでなく、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)への参加率も極めて高い。
その背景には、ベトナム特有の事情がある。まず、銀行口座の普及率が先進国に比べて低く、伝統的な金融サービスへのアクセスが限られていた層が暗号資産を代替手段として活用している点がある。また、ベトナムドンは国際市場での流動性が限定的であり、海外送金や資産の国際分散を志向する個人投資家にとって、暗号資産は魅力的な選択肢となってきた。さらに、ベトナムはIT人材の層が厚く、ブロックチェーンゲーム「アクシーインフィニティ(Axie Infinity)」を開発したスカイメイビス(Sky Mavis、ホーチミン市拠点)のような世界的なブロックチェーン企業を輩出している。
一方で、ベトナム政府の暗号資産に対する法的枠組みはいまだ整備途上にある。ベトナム国家銀行(中央銀行)は暗号資産を合法的な決済手段とは認めていないものの、保有や取引自体を明確に禁止してはいない。政府は2024年から2025年にかけて、暗号資産に関する法整備の検討を進めており、今後の規制の方向性が市場に大きな影響を与える可能性がある。
底打ち宣言の根拠と今後の見通し
スタンダードチャータードが底打ちを宣言した根拠としては、いくつかの要因が挙げられる。第一に、米国でのビットコイン現物ETF(上場投資信託)の承認と資金流入が、機関投資家の参入を加速させている点である。ブラックロック(BlackRock)やフィデリティ(Fidelity)といった世界最大級の資産運用会社がビットコインETFを運用しており、暗号資産市場の「制度化」が着実に進んでいる。
第二に、ビットコインの半減期(ハルビング)サイクルとの整合性がある。ビットコインは約4年ごとにマイニング報酬が半減する仕組みを持ち、過去のサイクルでは半減期の前後に大きな価格上昇が観測されてきた。直近の半減期を経た現在、過去のパターンに従えば上昇局面に入る時期と重なる。
第三に、マクロ経済環境の変化である。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が高まる中、リスク資産全般に対する投資家の選好が回復しつつある。これは暗号資産にとっても追い風となる。
投資家・ビジネス視点の考察
今回のスタンダードチャータードの見解は、ベトナム株式市場や関連銘柄にも間接的な影響を及ぼす可能性がある。暗号資産市場の回復は、ベトナムのブロックチェーン関連企業やフィンテック企業にとって追い風となる。ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場するIT・テクノロジー関連銘柄の中には、ブロックチェーン技術の開発や応用に取り組む企業も含まれており、市場センチメントの改善が株価に波及する余地がある。
また、暗号資産市場の回復は、ベトナムの個人投資家の資金フローにも影響を与え得る。暗号資産で利益を得た投資家が株式市場に資金を振り向けるケースもあれば、逆に株式市場から暗号資産に資金が流出するリスクもある。ベトナムでは個人投資家の比率が全取引の約8割を占めるとされており、こうした資金フローの変動は市場のボラティリティに直結する。
2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナムの格上げとの関連で言えば、暗号資産市場の動向は直接的な影響を持たないものの、ベトナムの金融市場全体の成熟度や規制環境の整備状況は、格上げ審査において間接的に評価される要素である。暗号資産を含むデジタル資産に関する法整備の進展は、ベトナムの金融市場インフラの近代化を示すシグナルとして、国際的な投資家からもポジティブに受け止められるだろう。
日本企業にとっては、ベトナムのブロックチェーン人材やフィンテックエコシステムとの連携可能性が改めて注目される局面である。暗号資産の冬が終わり市場が活性化すれば、ベトナム発のブロックチェーンスタートアップへの投資機会や、日越間のフィンテック協業の動きも加速する可能性がある。
いずれにせよ、スタンダードチャータードのような大手金融機関が明確に「底打ち」を宣言したことは、暗号資産市場に対する機関投資家の見方が転換点を迎えたことを意味する。ベトナムの暗号資産コミュニティは世界的にも規模が大きく、この動向は同国の金融市場全体にも波及効果をもたらすことが予想される。投資家としては、暗号資産市場の回復がベトナム株式市場に与える間接的な影響を注視しつつ、規制環境の変化にも目を配る必要がある。
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出典: 元記事












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