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ベトナム建設業界のリーディングカンパニーであるCoteccons(コテッコンス、HOSE: CTD)が、2025-2026年度(2025年7月1日〜2026年6月30日)の売上高が3兆ドン(30,000億ドン)を超え、純利益は前年比50%増になるとの見通しを発表した。受注残が約6兆5,000億ドン(65,000億ドン)と過去最高水準にある一方、株価は年初来約20%下落しており、ファンダメンタルズと市場評価の乖離が注目される。
株主対話で示された成長シナリオ
6月15日午後、Cotecconsは株主対話プログラムを開催し、経営陣が今後の事業見通しを説明した。ボラット・ドゥイセノフ(Bolat Duisenov)取締役会議長は、2025-2026年度の売上高が前年比約30%増となり30,000億ドンを突破する見込みであると明らかにした。純利益は同50%増で計画を上回る水準を予想しており、営業キャッシュフローもプラスを維持する。
注目すべきは利益率の改善である。粗利益率は約4%に達する見通しで、前年の3.4%から着実に上昇している。建設業界は一般的に薄利多売のビジネスモデルであるため、0.6ポイントの改善は経営効率の向上を如実に示すものだ。
3つの成長エンジン——都市化・工業化・グローバル展開
ボラット議長は、Cotecconsの成長戦略が3つの柱で構成されていると説明した。
第一に都市化である。ベトナムでは急速な都市化が進行しており、橋梁・道路、空港、学校、病院などのインフラ・公共施設への需要が旺盛だ。ベトナムの都市化率は2024年時点で約40%台半ばとされ、ASEAN諸国の中でもまだ伸びしろが大きい。この分野がCotecconsの業績に占める比重は拡大傾向にある。
第二に工業化である。米中貿易摩擦やサプライチェーン再編の潮流を受け、ベトナムにはハイテク製造拠点やデータセンター、高度な技術要件を持つ工場の建設案件が増加している。Cotecconsはこの分野への対応能力を強化しており、近く新規プロジェクトを発表する予定だという。日系企業を含む外資系メーカーの工場建設需要も、同社にとって追い風となっている。
第三に海外展開(Going Global)戦略である。現時点で海外売上の比率はまだ小さいものの、ベトナム発の建設企業として国際市場への進出を中長期的に推進する姿勢を崩していない。
株価下落をどう見るか——P/E10倍の「割安感」
株主対話では、年初来約20%の株価下落についても質問が相次いだ。チャン・ゴック・ハイ(Trần Ngọc Hải)副社長は、現在のP/E(株価収益率)が約10倍であることに言及し、「これは企業が困難期にあるときに見られる水準であり、成長見通しを適切に反映していない」との認識を示した。
ただし経営陣は、株価の短期変動に対して直接的な介入を行う考えはなく、「運営効率の向上、財務規律の維持、顧客関係の強化」といった自社でコントロール可能な要素に注力する方針を改めて強調した。ボラット議長も「短期的な市場センチメントの変動は避けられないが、長期的には企業価値は業績・競争力・ガバナンスの質を通じて反映される」と述べている。
2027年度以降の展望——「量から質」への転換
2027年度(2026年7月〜2027年6月)以降について、ボラット議長はベトナムの建設需要が引き続き高水準にあるとの見方を示しつつ、「成長速度を追うのではなく、選別的な成長へ移行する」と宣言した。プロジェクトの質と運営効率を優先し、持続可能な成長を通じて株主価値の最大化を目指すという。これは受注残65,000億ドンという潤沢なパイプラインを背景に、利益率改善を最優先する経営判断と読み取れる。
投資家・ビジネス視点の考察
Cotecconsの現状は、ベトナム建設セクター全体のダイナミズムを映し出している。以下の観点から注目に値する。
①バリュエーションの妙味:P/E10倍は、売上30%増・利益50%増という成長企業としては明らかに割安水準である。市場全体のセンチメント悪化や建設セクターへの資金流入の細りが背景にあるとみられるが、業績が計画通りに推移すれば、株価の見直し余地は大きい。
②FTSE新興市場指数格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外機関投資家の資金流入が期待される。時価総額・流動性ともに一定規模を持つCTDは、その恩恵を受ける可能性がある銘柄の一つである。
③日本企業への示唆:Cotecconsはベトナムに進出する日系製造業の工場建設を請け負う主要ゼネコンの一つでもある。同社のハイテク工場・データセンター分野への注力は、ベトナムでの生産拠点拡大を検討する日本企業にとっても、信頼できるパートナーの選択肢が広がることを意味する。
④建設セクターのマクロ環境:ベトナム政府はインフラ投資を経済成長の柱と位置付けており、南北高速鉄道計画やロンタイン新国際空港(ドンナイ省)の建設など大型プロジェクトが目白押しである。こうした国策案件の恩恵を受けられるかどうかが、Cotecconsの中長期的な成長軌道を左右するだろう。
総じて、Cotecconsはファンダメンタルズの改善が明確であるにもかかわらず、市場からの評価が追いついていない典型的な「業績先行・株価遅行」の状態にある。短期的な株価変動に一喜一憂するのではなく、同社が掲げる「選別的成長」戦略の実行度合いを四半期ごとにモニタリングしていくことが、投資判断のカギとなるだろう。
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