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ベトナム・フエがDX(デジタル転換)で観光都市に変貌—古都が挑むスマート観光戦略の全貌

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ベトナム中部の古都フエ(Huế)が、デジタルトランスフォーメーション(DX)を観光成長のエンジンとして本格的に活用し始めている。オンラインでのプロモーションから伝統的サービスのデジタル化まで、フエは観光業の新たな成長の原動力をDXに見出している。世界遺産の街が、テクノロジーの力でどのように変わろうとしているのか。その全貌を読み解く。

目次

フエとは何か——ベトナム最後の王朝が築いた世界遺産都市

フエは、ベトナム中部トゥアティエン・フエ省(Thừa Thiên Huế)の省都であり、1802年から1945年まで続いたグエン朝(阮朝)の都として栄えた歴史都市である。1993年にはフエの建造物群がベトナム初のユネスコ世界文化遺産に登録され、宮殿、帝陵、寺院など数多くの歴史的建造物が今も残る。日本人にとっても、ダナンやホイアンと並ぶベトナム中部観光の要衝として知られている。

2024年にトゥアティエン・フエ省がベトナム6番目の中央直轄市に昇格したことで、フエの行政的な位置づけは大きく変わった。これに伴い、観光インフラの整備やデジタル化への投資も加速しており、今回のDX推進もその流れの一環と位置づけられる。

デジタル転換が観光成長を「後押し」する具体的な仕組み

フエの観光DXは、大きく分けて「プロモーションのデジタル化」と「サービス提供のオンライン化」の二軸で進んでいる。

まずプロモーション面では、SNSやウェブサイト、動画プラットフォームを通じた情報発信を強化。フエの伝統文化や祭り、グルメ、自然景観といった観光資源を、国内外の潜在的な旅行者に向けてデジタルコンテンツとして積極的に配信している。従来はパンフレットや旅行代理店経由が主流だった観光情報の流通が、デジタルチャネルへと大きくシフトしている形だ。

サービス面では、従来オフラインで提供されていた各種観光サービスをオンラインでも利用可能にする取り組みが進む。チケットのオンライン予約・決済、デジタル観光マップ、多言語対応のガイドアプリなど、旅行者の利便性を高めるデジタルツールの導入が広がっている。こうしたデジタルサービスは、特に個人旅行(FIT)が増加するベトナム国内旅行市場や、スマートフォンを使いこなす若年層の外国人旅行者へのアプローチに効果を発揮する。

ベトナム観光業全体のDXトレンドとフエの位置づけ

フエのDX推進は、ベトナム全体の観光デジタル化の潮流の中にある。ベトナム政府は2025年までに「国家デジタル転換プログラム」を推進しており、観光はその重点分野の一つに位置づけられている。ホーチミン市やダナン、ハノイなど主要都市でもスマート観光の取り組みが進む中、フエは世界遺産という唯一無二のブランド価値とDXの融合で独自の差別化を図ろうとしている。

ベトナムの観光業は、新型コロナウイルスの打撃から力強い回復を見せている。2024年には外国人観光客数がコロナ前の水準を超え、2025年以降も成長が続く見通しだ。こうした回復局面において、DXは単なる効率化ツールではなく、新たな観光客層の開拓や観光消費単価の向上につながる「成長ドライバー」として注目されている。

投資家・ビジネス視点の考察

フエの観光DX推進は、ベトナム株式市場に上場する観光・ホスピタリティ関連銘柄にとってポジティブな材料となり得る。特に、ベトナム中部でホテル・リゾート事業を展開する企業や、旅行テック企業には中長期的な追い風が期待される。

日本企業にとっても、このトレンドは注目に値する。フエを含むベトナム中部は、日本からの直行便就航(ダナン経由)もあり、日本人観光客が増加傾向にある地域だ。観光DXの分野では、日本のIT企業やフィンテック企業が持つ決済システム、多言語対応ソリューション、AR/VR観光コンテンツなどの技術は、ベトナム市場と高い親和性を持つ。JICAなど日本の政府系機関もベトナムのスマートシティ・観光DX支援に関与しており、官民連携でのビジネス機会は広がっている。

また、2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナムの格上げに向けて、ベトナム政府はデジタル化や透明性の向上を急いでいる。観光分野のDXもこうした国全体のデジタル化・近代化の一環として捉えることができ、格上げが実現すればベトナム市場全体への海外資金流入が加速し、観光関連セクターにも恩恵が波及する可能性がある。

フエの事例は、ベトナムの地方都市が「伝統」と「テクノロジー」を掛け合わせて新たな成長モデルを構築しようとする象徴的な動きである。観光大国を目指すベトナムの戦略において、DXがどこまで成果を生み出すか、引き続き注視していきたい。


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出典: 元記事

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