こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。
2026年12月15日から、ベトナムのマンションに大きなルール変更が施行されます。建設大臣が発布した通達第31号により、集合住宅における電気自動車(EV)の駐車・充電スペースの確保が法的に義務付けられることになりました。
ちょっと待って、と思う方もいるかもしれません。「ベトナムでEV?」と。
そういうことなんです。これ、実はかなり本格的な話なんです。
ハノイの街で電動バイクが「普通」になった日
ちょっと脱線させてください。
ハノイに暮らして13年になります。タイ湖(Tay Ho)周辺に住んでいるのですが、ここ数年で街の景色がじわじわと変わってきていることを肌で感じています。
数年前まで、電動バイクといえば「ちょっとおしゃれな若者が乗るもの」くらいの印象でした。でも最近は本当に違う。朝の通勤ラッシュを見ていると、VinFastの緑のロゴが入った電動バイクがいたるところを走っている。露店のおばちゃんも電動バイクで買い物に来るし、デリバリーの兄ちゃんも電動に切り替えている。
要するに、ベトナムのEV化は「政策」というより、もうすでに「現実」として進行中なのです。
今回の法改正は、その現実を建物の設備面でも追いつかせようという動きだ、と私は理解しています。
2026年12月から何が変わるのか
今回の通達で決まった主な内容をお伝えします。
まず大きなポイントは、電気自動車・電動バイク・電動スクーター・電動自転車それぞれに、専用の駐車スペースを設けることが求められる点です。つまり、EVとガソリン車を同じスペースに雑然と停めておくのはNGになります。
充電エリアの設置場所についても優先順位が定められました。屋外、地上1階、半地下、地下1階という順番で、できるだけ地上に近い場所に設けることが原則です。地下に設置するのは最後の手段、ということですね。
地下や半地下に充電エリアを設ける場合の制限も細かく決まっています。地下階では電気自動車の充電スポットは最大25か所、電動バイク等は50か所まで。地上階であれば電気自動車30か所、電動バイク等80か所が上限です。
防火区画の面積制限も注目です。地上階の充電エリアは最大1,500平方メートル、地下・半地下は1,200平方メートル以内。これは万が一の火災リスクを考慮した設計上の制約です。実はリチウムイオンバッテリーの火災は一般的な消火方法では難しく、世界中で対策が進んでいます。ベトナムでも近年マンションでの電動バイク火災が社会問題になっていましたから、この規制は「待ってました」という声も多いでしょう。
充電設備機器の定格電力にも上限が設けられ、地下室での充電ステーションは22kW以下とされています。また、充電設備には一酸化炭素(CO)およびフッ化水素(HF)の警報装置の設置が義務付けられます。
自動火災報知システムと24時間体制の監視カメラも必須です。
既存のマンションオーナーや管理組合も無関係ではありません。通達施行後6か月以内に現状を確認・審査し、基準を満たしていない場合は修繕・改修が必要になります。
投資家として見たときの視点
さて、ここからはベトナム株投資の観点からも少し考えてみたいと思います。
まず、この規制が直接的な追い風になりうるプレーヤーがいくつか頭に浮かびます。
EVインフラ(充電設備・監視システム)の設計・施工に関わる建設関連企業、防火・消防設備メーカー、そして当然ながらVinFastを擁するVinGroupのエコシステムです。
もちろんだからといって「今すぐどこかの株を買え」という話ではありません(念のため)。法律が施行されれば需要が生まれるのは事実ですが、各社の競争力や財務状況、実際の施工スケジュールなど、見極めるべき要素は多い。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。
一方でリスクも見ておく必要があります。既存マンションのオーナーや管理組合にとっては、改修費用の負担が生じます。特に古い集合住宅では電気設備の容量自体が不足しているケースもあり、コストが想定を大幅に上回る可能性があります。
また「規制はできたが実際の取り締まりはゆるい」というベトナムあるあるの展開も、過去の経験上、まったく否定できません。施行後の現場の動きを観察していく必要があります。
ベトナムのEV化、どこまで本気か
個人的な感覚として、今回の法改正は本気だと思っています。
VinFastという国民的EVブランドが生まれ、政府はその後押しに力を入れている。主要都市のバスのEV化も着々と進んでいる。そして今回のような建物規制の整備。これらはバラバラな動きではなく、明らかに一つの方向に向かっています。
ハノイの街で電動バイクが「普通」になったのと同じように、数年後にはマンションの地下駐車場でEVが充電される光景も「普通」になっているのかもしれません。
そういうことなんです。
インフラが整備されれば普及が加速し、普及が加速すれば需要が生まれ、需要が生まれれば産業が育つ。ベトナムのEV化は、その好循環の入口に立ちつつある、というのが私のハノイからの見立てです。
引き続き現地での動きをウォッチしながら、皆さんにお伝えしていきます。
いかがでしたでしょうか。今回のベトナムEV駐車場義務化について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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