Amazon・Walmart・JD.comが「即時配送」で激突——ベトナムでも消費者の62%が当日配送を希望

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世界の小売業界が「即時小売(インスタント・リテール)」の時代に突入している。米国ではTarget、Amazon、Walmartが配送スピードで激しく火花を散らし、中国のJD.comは欧州市場へ進出。一方、ベトナムでも消費者の62%が「当日配送」を望んでおり、ホーチミン市ではドローン配送の試験計画が進む。小売の勝敗を左右する「ラストワンマイル」競争の最前線を詳報する。

目次

Targetが翌日配送を20都市圏へ拡大——売上140億ドルの即日配送エコシステム

米大手小売のTarget(ターゲット)は、翌日配送サービス(Next-Day Delivery)を新たに20の都市圏へ拡大すると発表した。対象地域にはカリフォルニア州、フロリダ州、オハイオ州、テネシー州、テキサス州など複数の州が含まれる。35ドル以上の注文、Target Circle 360会員の注文、またはCircle Cardでの決済であれば翌日配送が無料となる。

同社のジム・リー副社長兼最高財務責任者(CFO)によれば、米国人口の約75%がTargetの店舗から10マイル(約16キロメートル)圏内に居住しており、全米約2,000店舗のネットワークを「フルフィルメント拠点」として活用することで、オンライン注文の迅速な処理を実現しているという。実際、店頭で販売される商品の約85%が翌日配送の対象となっている。

注目すべきは、翌日配送はTargetの配送エコシステムの一部に過ぎないという点である。同社の即日配送(Same-day Delivery)サービスは前年に140億ドル超の売上を記録し、これはオンライン総売上の約3分の2に相当する。残りのオンライン売上も、主に翌日配送対応地域から生まれている。つまりTargetのEコマース売上のほぼ全量が「翌日以内」の配送によって支えられている構図だ。

Amazonは1時間・3時間配送を9万点以上に拡大、30分配送も試験中

Amazon(アマゾン)は3月17日、米国内で9万点以上の商品を対象に「1時間配送」および「3時間配送」サービスを開始したと発表した。対象商品は日用品、家庭用品、ヘルスケア・美容製品、市販薬、電子機器、玩具、衣料品、家具・インテリアなど幅広いカテゴリーに及び、スーパーセンター型量販店の品揃えに匹敵する。

CEOのアンディ・ジャシー氏は以前、即日配送がAmazonで最も成長が速い分野だと述べており、2025年の即日配送注文数は前年比で約70%増加したとされる。さらに同社は一部地域で「Amazon Now」という30分配送サービスを試験運用中だ。生鮮食品や生活必需品を中心に展開しており、ロボット工学、AI(人工知能)、地域別配送ネットワークの組み合わせによってこの超高速配送を実現しているという。

Walmartは「3時間以内で人口の95%をカバー」

Walmart(ウォルマート)も黙ってはいない。同社は現在、米国人口の95%に対して3時間以内の即日配送が可能だと公表しており、物理的な店舗数の圧倒的な規模を武器に「配送スピード戦争」を主導している。Target、Amazon、Walmartの三つ巴の競争は、もはや単なる価格競争ではなく、「どれだけ速く届けられるか」という時間の争いへと変質しつつある。

JD.comが欧州に上陸——Amazon Primeの半額以下で即日配送

中国のEC大手JD.com(京東集団)は、国際ブランド「Joybuy(ジョイバイ)」を通じて欧州6市場へ同時進出した。英国とドイツという二大市場を含む展開である。

JD.comの戦略は、AliExpress(アリエクスプレス)やTemu(テム)のように中国から直接商品を発送するモデルとは一線を画す。現地にウェアハウス(倉庫)とロジスティクス網を構築し、配送時間の大幅短縮とサービス品質の管理を両立させる方針だ。欧州では午前11時までの注文で当日配送が可能となっている。

英国市場では29ポンド以上の注文で送料無料。さらに月額3.99ポンドのサブスクリプションに加入すれば、配送料が無制限で無料になる。これは英国におけるAmazon Primeの月額8.99ポンドの半額以下であり、価格面でも攻勢をかけている形だ。英国Joybuy責任者のマシュー・ノブス氏がこの料金体系を明らかにした。

中国ではドローン・自動運転トラックが配送の「常識」に

CNBCの報道によれば、中国は世界でもっともドローンによるフードデリバリー・即時配送が普及した国の一つとなっている。深圳(シェンチェン)、上海、北京、広州といった大都市のみならず、万里の長城の観光エリアでもドローン配送が実用化されている。

中国最大級のフードデリバリーおよびローカルサービスプラットフォームであるMeituan(美団)は、ドローン配送の先駆者として知られる。同社広報のヤン・ヤン氏は「従来の配達と比較して、配送時間をほぼ半分に短縮できる」と説明している。同社はドローンが配達員に取って代わるのではなく、配達員の業務効率を高めるためのツールと位置づけている。

Alibaba(アリババ)傘下のEle.me(ウーラマ)は、複数都市で200以上のドローン配送ルートを運用しており、15〜20分での配達が可能だ。積載量は約2.3〜2.5キログラム、配送半径は5キロメートル。ラストワンマイルは地上の配達員と連携して完結させる仕組みである。

さらに中国では無人配送トラックの実用化も進んでいる。フロントガラスも運転席も持たないこれらの小型車両は、安徽省合肥(ホーフェイ)市などで300〜500個の荷物を積載して住宅街の交差点まで走行し、そこから電動バイクの配達員や町内会に引き継ぐ仕組みが構築されている。

ベトナム——消費者の62%が「当日配送」を希望、理想は3.2時間

こうしたグローバルな「即時配送」トレンドは、ベトナム市場にも確実に波及している。2025年にMilieu Insight(ミリュー・インサイト)が実施した調査では、ベトナムのオンラインショッピング利用者の約40%が「配送時間を短縮するために追加料金を払う意思がある」と回答した。

また、調査会社StateGlobe(ステートグローブ)の直近の統計では、ベトナムの消費者の約62%が「注文した商品を当日中に届けてほしい」と回答。さらに、オンライン注文における消費者の「期待配送時間」はわずか約3.2時間にまで短縮されているという。

ホーチミン市では、市当局が管理区域内でのドローン配送・救助活動の試験計画を策定中だ。スマート農業や都市管理との連携も視野に入れている。ただし、ドローンが実際に配送チェーンに組み込まれるためには、規制手続きの簡素化、インフラ投資の拡充、大都市における試験運用モデルの拡大が不可欠であり、実用化までにはまだ課題が残る。

投資家・ビジネス視点の考察

このグローバルな「即時配送」競争は、ベトナムの株式市場および経済にいくつかの重要な示唆を与える。

1. ベトナムの物流・EC関連銘柄への追い風:消費者の配送スピードへの期待が急速に高まる中、ベトナム国内でラストワンマイル物流やコールドチェーンに投資する企業は恩恵を受ける可能性がある。ホーチミン市証券取引所(HOSE)に上場するViettel Post(VTP)、Giao Hang Nhanh(GHN)を運営するSun Asterisk系企業、さらにはEC大手Tiki、Shopee(Sea Limited傘下)のベトナム事業などが注目に値する。

2. 日系企業への影響:ベトナムに進出している日系小売・物流企業——イオン(AEON)、セブン&アイ、ヤマト運輸、佐川グローバルロジスティクスなど——にとって、ベトナム消費者の「3時間配送」への期待は無視できない。現地パートナーとの連携強化やダークストア(配送専用拠点)への投資判断が求められる局面だ。

3. FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に予定されるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げ判定は、海外からの資金流入を大きく左右する。EC市場の急成長と物流インフラの高度化は、ベトナムの「消費市場としての魅力」を裏付ける材料となり、格上げ後の内需関連銘柄への資金流入を後押しする可能性がある。

4. テクノロジー投資の加速:Amazon がAIとロボットで30分配送を実現し、中国がドローンと自動運転トラックで物流を革新する中、ベトナムもFPT(ベトナム最大手IT企業)やViettel(軍系通信・テクノロジー大手)がAI・ドローン分野で存在感を高めている。ホーチミン市のドローン配送試験が本格化すれば、関連するテクノロジー銘柄にも思惑買いが入る可能性がある。

「速く届ける」ことが小売の競争力そのものとなる時代。ベトナムは人口約1億人、中央年齢30歳台前半、スマートフォン普及率80%超という好条件を持つ。グローバルな即時配送競争の波がこの国にどう押し寄せ、どの企業がその波を捉えるか——ベトナム投資家にとって、注視すべきテーマである。


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出典: 元記事

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