Pop Mart売上185%増もLabubu依存に懸念──ベトナムでも人気爆発の中国トイ企業の死角とは

Nỗi lo Pop Mart quá phụ thuộc vào Labubu
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中国発のデザイナーズトイ企業Pop Mart(ポップマート、香港証券取引所上場)が2025年通期決算で売上高185%増という驚異的な成長を記録した。しかし、投資家の間ではその成長の持続可能性に対する懸念が強まっている。理由は、同社の急成長が人気キャラクター「Labubu(ラブブ)」に過度に依存しているという構造的な問題にある。

目次

Pop Martの驚異的成長とLabubuブーム

Pop Martは2010年に中国・北京で創業されたデザイナーズトイ(アートトイ)企業である。ブラインドボックス(中身がわからない箱に入ったフィギュア)という販売手法を武器に、若年層を中心にカルト的な人気を獲得してきた。同社は2020年12月に香港証券取引所に上場し、その後アジア各国への海外展開を加速させている。

2025年の売上高は前年比185%増という爆発的な伸びを見せた。この成長の最大のエンジンとなったのが、タイのデザイナーが手がけたキャラクター「Labubu」である。Labubuは、尖った耳と大きな口、愛嬌のある表情が特徴的な妖精のようなキャラクターで、2024年頃からSNSを中心に東南アジア全域で爆発的な人気を獲得した。

特にベトナムでは、Labubuブームは社会現象といっても過言ではない規模に達している。ホーチミン市やハノイの大型商業施設にあるPop Mart店舗には連日長蛇の列ができ、人気シリーズは発売と同時に完売するのが常態化している。転売市場では定価の数倍の値段で取引されるケースも珍しくない。ベトナムの若年層(Z世代やミレニアル世代)の可処分所得が増加する中、こうしたコレクタブル玩具への支出意欲は高まっており、Pop Martにとってベトナムは最も成長余地の大きい市場の一つとなっている。

投資家が懸念する「一本足打法」のリスク

しかし、この急成長の裏側で投資家たちが注視しているのは、売上構成におけるLabubuへの集中度の高さである。Pop Martは「Molly(モリー)」「Dimoo(ディムー)」「Skull Panda(スカルパンダ)」など複数のIPキャラクターを保有しているが、2025年の成長を牽引したのは圧倒的にLabubuシリーズであった。

キャラクタービジネスにおいて、単一IPへの過度な依存は大きなリスク要因となる。流行の移り変わりが激しい消費財市場では、ある日突然ブームが終焉を迎える可能性が常に存在する。過去にも、世界的に爆発的な人気を博したキャラクター商品が数年で急速に失速した事例は枚挙にいとまがない。たとえば、2010年代後半に世界的なブームを巻き起こした「フィジェットスピナー」は、わずか1年足らずで市場が縮小した。キャラクタービジネスではやや時間軸が長いものの、同様のサイクルリスクは無視できない。

Pop Martの経営陣も当然この問題を認識しており、新規IPの開発やライセンス提携の拡大に力を入れている。ディズニーやユニバーサルスタジオなど世界的なエンターテインメント企業とのコラボレーション商品も積極的に展開しているが、現時点ではLabubuの売上貢献度を大幅に引き下げるには至っていない。

東南アジア市場の拡大と競争環境

Pop Martの成長戦略において、東南アジア市場は極めて重要な位置を占めている。タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアなど、若年人口が多く消費意欲が旺盛な市場での店舗展開を急速に進めている。特にベトナムは、約1億人の人口のうち半数以上が30歳以下という人口構成を持ち、中間層の拡大に伴うエンターテインメント消費の伸びが期待される市場である。

一方で、競争環境も変化しつつある。Pop Martの成功を目の当たりにした中国のライバル企業や、東南アジアのローカル企業がブラインドボックス市場に続々と参入している。市場の拡大と同時に競争が激化すれば、Labubuブームの恩恵だけで高成長を維持することは一層困難になる。

投資家・ビジネス視点の考察

Pop Martは香港証券取引所上場銘柄(9992.HK)であり、直接ベトナム株式市場の銘柄ではないが、同社の動向はベトナム経済・消費市場を読み解くうえで複数の示唆を含んでいる。

ベトナム消費市場の成熟度を示すバロメーター:Pop Martのようなプレミアム価格帯のコレクタブル商品がベトナムで飛ぶように売れている事実は、同国の消費市場が「生活必需品中心」のステージから「嗜好品・体験型消費」へと移行しつつあることを裏付けている。これは、ベトナムで小売・消費財セクターに投資する際の重要な判断材料となる。ベトナム上場企業では、モバイル・ワールド・インベストメント(MWG)やPNJジュエリーなど、中間層向けの消費関連銘柄の成長ポテンシャルを改めて評価する材料になるだろう。

日本企業への示唆:日本はキャラクタービジネスの先進国であり、バンダイナムコやサンリオなどが膨大なIP資産を保有している。Pop Martの東南アジアでの成功は、日本企業にとってもベトナム市場でのキャラクター商品展開の可能性を示唆している。実際にサンリオはベトナムでの認知度が高く、ライセンス事業の拡大余地は大きい。

FTSE格上げとの関連:ベトナム株式市場は2026年9月にFTSE新興市場指数への格上げが決定される見通しであるが、Pop Martの事例が直接的に格上げに影響することはない。ただし、Pop Martの急成長が示すベトナム消費市場のポテンシャルは、海外投資家がベトナム市場全体を評価する際のプラス材料の一つとなり得る。格上げが実現すれば、消費関連セクターへの外国資金流入が加速する可能性がある。

リスク面の教訓:Pop Martの「Labubu依存」問題は、特定の製品やトレンドに依存する企業への投資リスクを改めて認識させるものである。ベトナム株式市場においても、不動産ブームに過度に依存した企業が市況悪化で苦境に陥った事例は記憶に新しい。投資家としては、成長率の高さだけでなく、売上の分散度やIPポートフォリオの厚みといった質的な要素を精査することが重要である。


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出典: 元記事

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