こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。
英系不動産サービス大手のナイト・フランク(Knight Frank)が2026年版「ザ・ウェルス・レポート」を発表し、ベトナムに関してなかなか刺激的な数字が飛び出してきました。今回はその中身をじっくり読み解いてみたいと思います。
発表された数字の中身
まず、今回のレポートで定義されている「超富裕層(UHNWI)」とは何かを確認しておきます。ナイト・フランクの基準では、純資産3,000万USD以上——日本円にして約47億円以上を保有する人々を指します。
その超富裕層の人口について、2026年から2031年までの5年間における増加率予測で、ベトナムは世界4位にランクインしました。増加率は+59.0%で、2026年時点の1,233人から2031年には1,960人へと拡大する見通しです。
上位の顔ぶれも興味深いものがあります。1位はインドネシア(+81.7%)、2位はサウジアラビア(+63.2%)、3位はポーランド(+62.6%)、ベトナムに次いで5位にはオーストラリア(+58.5%)が続きます。上位5か国の中でASEAN勢が2か国を占めているという事実は、冷静に受け止める必要があります。
「加速」という言葉の意味
ここで個人的に注目しているのは、成長の「スピードが上がっている」という点です。
2021年から2026年までの直前5年間のベトナムの超富裕層増加率は+29.2%でした。それが今後5年では+59.0%と、ほぼ倍のペースになる見通しです。
ちょっと立ち止まって考えてほしいのですが、富の増加率が倍になるというのはどういうことかというと、単なる経済成長の線形延長ではないということです。富の蓄積には「加速する段階」があって、一定の水準を超えると自己増殖のスピードが上がる。ベトナムがその段階に入りつつあるというのが、このデータが示唆しているものだと私は理解しています。
少し余談になりますが、私がハノイに住み始めた13年前、タイ湖周辺にはまだ空き地が目立っていました。今は高層コンドミニアムが林立して、週末のカフェには若い富裕層が当たり前のように高級外車で乗りつけてくる。肌感覚として「富の蓄積が加速している」という印象はずっと持っていたので、今回の数字はむしろ「そりゃそうだよな」という感じで受け止めました。
富が集まる国に何が起きるか
超富裕層の人口増加は、単なる社会統計ではなく、経済の構造変化のシグナルでもあります。
富裕層の資産は消費に向かうだけでなく、不動産投資や金融投資、あるいは自国企業への出資というかたちで国内に循環します。つまり超富裕層が増えるということは、国内の投資マネーのボリュームが拡大するということでもある。
あわせて、海外からの資本も「富が集まる国」に引き寄せられます。ここ数年のベトナムへのFDI(外国直接投資)の流入継続、そして2026年9月から始まるFTSE Russell二次新興国市場への段階的組み入れというタイミングは、この「富の集積」という大きな流れと無縁ではないと私は考えています。
私がよく言う「富の南下」というフレームで捉えると、今回のデータはその具体的な証拠のひとつです。経済の重心が南に移動するというのは、抽象的な話ではなく、こういった数字として現れてくる。第一教義の「富の重心は南へ移動する」が、ナイト・フランクというグローバルな不動産調査機関のデータで裏打ちされた形です。(「富の南下」シリーズ詳細はこちら→ https://note.com/gonviet/m/m88eefc2a6c74 )
投資家として何を読むか
今回の数字をそのまま「だからベトナム株を買え」という話にするつもりはありません。投資判断は皆さん自身の責任においてご検討いただくものです。
ただ、情報として整理しておきたいのは次の点です。超富裕層の急増は、特定のセクターに恩恵をもたらしやすいという傾向があります。高級不動産(Vinhomesのような高級住宅分譲)、プレミアムリテール、金融サービス(プライベートバンキング需要の拡大)、そして富裕層の資産運用先となる金融市場全体の拡大です。VN-Indexが今後どう動くかという短期的な話よりも、こうした構造変化の方向性を把握しておくことが、長期的な視点での情報の質に直結すると私は考えています。
1,233人が1,960人になるとき、彼らの資産がどこに向かうか。そこに注目し続けることが、ベトナム市場を読む上での大事な視点になるでしょう。そういうことなんです。
いかがでしたでしょうか。今回のナイト・フランクのレポートについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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