こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。
ちょっとこれ、見過ごしてほしくないニュースなんです。
フンイエン省で進行中のタイビンLNG火力発電所プロジェクトが、いよいよ建設フェーズへの移行を視野に入れた重大な局面を迎えました。総投資額は47兆VND超、日本円に換算すると約2,820億円規模です。しかも、このプロジェクトのコンソーシアムに東京ガスと九電インターナショナルグループが名を連ねているという事実——日本人投資家として、これは素通りできません。
ハノイに13年いると、ベトナムのエネルギーインフラがどれだけの勢いで整備されてきたか、肌感覚でわかります。10年前にはとても想像できなかったスケールの案件が、今や淡々と動いています。タイビン案件もその一つです。
何が明らかになったのか
5月11日、フンイエン省人民委員会のレ・クアン・ホア副委員長が現地を視察し、プロジェクト関係者に対して具体的な指示を出しました。
設計容量1,500MWというこのプロジェクト、全体で約80ヘクタールの土地が必要なところ、すでに50ヘクタール以上の造成が完了しています。省の指導部が発したメッセージは明快でした。「土地が整地され次第、直ちに建設を開始せよ」というものです。土地造成から実際の着工まで無駄な時間を作るな、という強い意思表示です。
スケジュール面での目標も具体的に示されています。干潟地域の造成を5月中に完了させ、6〜7月に土地転換地域、そして9月までに移転地域を含む全体の造成を終わらせるという計画です。このペースが維持されれば、年内に本格的な建設着工という絵が現実味を帯びてきます。
日本企業が入っているということ
東京ガスと九電インターナショナルグループ、そしてベトナム地場のチュオンタイン工業のコンソーシアム——この顔ぶれに、私は改めて注目しています。
LNG発電所というのは、単に発電施設を作るというだけでなく、燃料の長期調達契約、液化設備、受け入れターミナル、運転・保守のノウハウが一体となった複合事業です。東京ガスがここに参画しているということは、日本のLNGサプライチェーンとの接続も含めた長期的な事業関与を意味します。ベトナムにとっても、日本側にとっても、エネルギー安全保障の観点から意味のある案件です。
政策面でも追い風が吹き始めた
もう一つ見逃せない動きがあります。
産業貿易省が検討している政令改正案において、LNG発電プロジェクトの「最低長期契約電力出力(Qc)」の仕組みが見直されることになりました。現行の65%から75%への引き上げ、そして適用期間も最長10年から15年に延長する方向です。
これ、投資家目線でいうと非常に大きい話です。Qcというのは電力購入契約において発電事業者に最低限の収益を保証するパラメータで、比率が高く期間が長ければ長いほど、金融機関からの融資がつきやすくなります。2,820億円規模のインフラ案件で、返済原資の見通しが立ちやすくなるということは、プロジェクトファイナンスの実現可能性が高まるということです。
要するに、タイビン案件は地方政府のプッシュと中央政府の政策整備の両輪が回り始めた状態にある、ということです。
ベトナムのエネルギー問題という文脈
ここで少し俯瞰して考えてみたいのですが、ベトナムはここ数年、電力不足が深刻な経営リスクになっていました。北部では2023年に輪番停電が起き、工業団地の稼働に支障が出たこともあります。ハノイに住んでいると、夏場のピーク時の電力需給の逼迫は、ニュースの話ではなく生活の実感として伝わってきます。
その文脈で見ると、1,500MWというこのプロジェクトの規模感が重く響きます。これはベトナム全体の電力需要の増加を支える柱の一本として計画されているわけで、国家戦略に組み込まれたプロジェクトだということです。省の副委員長が「国家の重要なエネルギープロジェクト」と明言したのも、単なる修辞ではないと思っています。
投資家として気にすべき点
このニュースを受けて私が「注目」と感じているセクターがいくつかあります。あくまで個人的な観点として、参考までに共有させてください。
まず、ベトナムの電力・エネルギーインフラ関連銘柄全般への資金流入という流れが考えられます。GAS(PetroVietnam Gas)はLNGの取り扱いにも関与しており、エネルギーインフラの拡充は事業環境の追い風になりえます。
次に、工業団地関連銘柄です。フンイエン省はハノイ近郊の工業地帯として既に多くの外資系企業が進出しています。KBC(Kinh Bac City Development)などは北部工業団地に強みを持つ銘柄ですが、電力インフラの整備が進めば工業用地の需要にもポジティブな影響が出うる、というロジックです。
ただ、現時点では省レベルの視察と指示の段階であり、プロジェクトファイナンスの正式組成や本格着工の確認はこれからです。計画の遅延リスクや政策変更リスクも存在します。投資判断はご自身の責任においてご判断ください。
「富の南下」の教義から読む
このプロジェクトは、私がずっとお伝えしてきた「富の南下」という大きな流れの中に、きれいに収まります。
先進国の成熟した電力インフラとは対照的に、ベトナムは今まさに基礎インフラを積み上げている段階です。1,500MWのLNG発電所が稼働すれば、それが工場の電力となり、雇用となり、消費となる。この国のファンダメンタルズが一つ一つ積み重なっていくサイクルを、私はリアルタイムで目撃しています。
富の南下については、以下のシリーズでも詳しく解説しています。 「富は、南へ下る」第1回
そういうことなんです。数字だけ見ていると「大きなインフラ案件が一つ動き始めた」で終わりますが、ハノイから見ると、これはベトナムという国が次のステージに上がるためのピースの一つなんです。
いかがでしたでしょうか。今回のタイビンLNG案件について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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