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ベトナム、7月1日から金地金の譲渡所得税は「まだ課税せず」—財政省が方針表明

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ベトナム財政省は、2025年7月1日から施行される新たな個人所得税法の枠組みにおいて、金地金(ヴァンミエン)の譲渡に対する個人所得税については「まだ課税しない」との方針を正式に表明した。具体的な課税ルールは、今後政府が別途定める個別の法令文書を待つことになる。金価格の高騰が続くベトナムで、金の売買差益に対する課税がどうなるかは多くの個人投資家にとって最大の関心事であり、今回の発表は市場に一定の安心感を与えるものとなった。

目次

財政省の公式見解:「7月1日からの即時課税はない」

ベトナム財政省(Bộ Tài chính)は6月30日、金地金の譲渡にかかる個人所得税について公式見解を発表した。2025年7月1日に施行される改正個人所得税関連の規定において、金地金の譲渡所得は課税対象として法的には位置づけられているものの、実際の徴収開始時期や税率、計算方法などの具体的な運用ルールについては、政府(Chính phủ)が別途発出する専用の法令文書(văn bản riêng)に委ねるとした。つまり、7月1日の法施行と同時に自動的に課税が始まるわけではなく、政府がその詳細規定を公布するまでは課税されないということである。

背景:ベトナムにおける金地金取引の特殊性

ベトナムにおける金地金は、単なる投資商品にとどまらず、文化的・歴史的に極めて重要な資産保全手段である。ベトナム戦争後の激しいインフレや通貨の不安定さを経験した国民にとって、金は「最後の砦」としての信頼が根強い。特にSJC金地金(ベトナム国家銀行が独占的にブランド管理する公認金地金)は、不動産取引の際の決済手段としても長年用いられてきた歴史がある。

近年、国際的な金価格の急騰を受けてベトナム国内の金価格も歴史的高値圏で推移しており、SJC金地金は1タエル(約37.5グラム)あたり1億ドンを大きく超える水準で取引されている。こうした状況下で、金の売買による差益(キャピタルゲイン)が巨額に上るケースも増えており、国家財政の観点から課税の必要性が議論されてきた。

なぜ「即時課税」を見送ったのか

財政省が即時課税を見送った背景には、いくつかの実務的な課題がある。まず、金地金の取得原価の証明方法が確立されていない点が挙げられる。ベトナムでは金地金の売買が銀行窓口だけでなく、街中の金販売店(tiệm vàng)でも広く行われており、過去の購入価格を証明する領収書やデータが残っていないケースが多い。取得原価が不明な場合、譲渡益をどのように算出するかという技術的な問題が解決されていない。

また、金地金の個人間売買が依然として現金ベースで行われることが多く、取引の捕捉が困難であるという課題もある。課税の公平性を担保するためには、取引情報の電子化やトレーサビリティの確保など、インフラ整備が先行する必要があるとの判断があったとみられる。

さらに、金価格が高騰する中での課税開始は、個人投資家の急激な売却を誘発し、市場の混乱を招く恐れがある。ベトナム国家銀行(Ngân hàng Nhà nước、中央銀行に相当)が金価格の安定化に腐心している状況で、財政省としても慎重な姿勢を取らざるを得なかったと考えられる。

今後のスケジュールと注目点

政府が具体的な課税規定をいつ公布するかは現時点では明らかにされていない。ただし、改正法の枠組みには金地金譲渡所得の課税が明記されているため、将来的な課税は既定路線である。市場関係者の間では、政府が取得原価の証明方法や、みなし取得原価の設定、さらには簡易課税方式(譲渡価格の一定割合を一律課税するなど)の導入を検討しているとの見方が広がっている。

今後注目すべきは、政府がどの程度の税率を設定するか、そして「みなし課税」方式を採用するかどうかである。現行のベトナムの個人所得税法では、不動産の譲渡に対しては譲渡価格の2%が課税されるシンプルな仕組みが採用されており、金地金についても同様の簡易方式が導入される可能性がある。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の「課税先送り」は、短期的にはベトナムの金市場および関連セクターにとってポジティブなニュースである。金地金を保有する個人投資家にとっては、売却のタイミングを急ぐ必要がなくなり、パニック的な売り圧力が回避される。

株式市場への影響としては、直接的な波及は限定的であるが、間接的な影響はいくつか考えられる。金地金への課税が本格化すれば、個人投資家の資金が金から株式市場へシフトする可能性がある。逆に、課税が先送りされている現状では、金が引き続き有力な資産保全手段として選好され、株式市場への資金流入がやや抑制される可能性もある。宝飾・貴金属関連の上場企業(PNJ=フーニュアンジュエリー(ベトナム最大手の宝飾チェーン)など)にとっては、金地金取引の活発さが維持されることはプラス材料となり得る。

FTSE新興市場指数への格上げ(2026年9月決定見込み)との関連では、直接的な影響は薄いものの、ベトナム政府の税制改革が「市場フレンドリー」かつ「段階的・慎重」に進められているという印象は、外国人投資家からの信頼感向上に寄与する可能性がある。新興市場格上げの審査においては、市場の透明性や制度の予見可能性が重視されるため、「拙速な課税開始を避けた」という今回の判断は、制度運営の成熟度を示すシグナルとしてポジティブに受け止められるだろう。

日本企業・在越日本人への影響としては、ベトナムに駐在する日本人の中にもSJC金地金を資産保全目的で保有しているケースがある。今回の課税先送りにより、当面は売却時の税負担を気にせず保有を継続できるが、将来的な課税開始に備えて取得時の証拠書類(領収書など)を保管しておくことが重要である。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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出典: 元記事

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