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ベトナム政府が「電子識別・認証法(Luật Định danh và xác định điện tử)」の審査会合を開催し、デジタル社会における個人・法人の識別基準の原則を明確化すべきとの意見が相次いだ。民法上の財産権や知的財産権との切り分けを求める声も上がり、同法の制度設計が本格的な議論段階に入っている。
法案審査の経緯と論点
今回の審査会合では、電子識別(eID)と電子認証に関する法的枠組みの整備が議題となった。ベトナムでは2021年から国民IDカード(CCCD)のICチップ化が進められ、VNeIDアプリを通じた電子本人確認が急速に普及している。こうしたデジタルインフラの拡大に伴い、法的な裏付けとなる包括的な法律の制定が急務とされてきた。
会合で出された主要な意見として、以下の点が挙げられる。
- 識別基準の原則を明文化すべき——何をもって「電子的に個人・法人を識別する」とするのか、その基準(tiêu chí định danh)を法律上の原則として定める必要がある。
- 財産権の分離——民法(Bộ luật Dân sự)に基づく財産権と、電子識別によって紐づけられる資産情報は明確に区別されるべきである。
- 知的財産権との整理——知的財産法に基づく権利についても、電子識別の枠組みとは別個に扱うべきとの提言がなされた。
ベトナムのデジタル化政策との関連
ベトナム政府は「2025年までにデジタル政府を実現する」という目標を掲げ、行政手続きのオンライン化、電子署名の普及、データ連携基盤の構築を推進してきた。電子識別・認証法はこうした政策の法的支柱となるものであり、同法の成立はデジタル経済全体のガバナンス強化に直結する。
特に金融分野では、eKYC(電子本人確認)の法的根拠が強化されることで、銀行口座開設や証券口座の非対面手続きがさらに円滑化すると見込まれる。現在、ベトナム国家銀行(中央銀行)はeKYCに関する通達を個別に発出しているが、上位法としての電子識別法が整備されれば、制度の一貫性と信頼性が大きく向上する。
投資家・ビジネス視点の考察
本法案は直接的に特定の上場企業の業績を左右するものではないが、ベトナムのデジタルインフラ整備の進展を示すシグナルとして重要である。以下の観点で注目に値する。
1. FTSE新興市場指数への格上げとの関連——2026年9月に決定が見込まれるFTSE格上げの条件の一つに「市場インフラの整備」がある。証券口座のeKYC普及や電子認証基盤の法制化は、外国人投資家のアクセス改善として評価される可能性が高い。
2. IT・フィンテック関連銘柄への追い風——FPT(ベトナム最大手IT企業)やCMG(CMCグループ)など、政府のデジタル化案件を受注するIT企業群にとって、法整備による市場拡大は中長期的なプラス材料である。
3. 日本企業への影響——ベトナムに進出している日系金融機関や製造業にとって、電子識別の法的枠組みが明確になることは、現地での契約手続きや人事管理のデジタル化を後押しする。NEC、富士通、NTTデータなど、ベトナム政府のデジタル化プロジェクトに参画する日本企業にとっても商機となり得る。
ベトナムは「デジタル後発国の利」を活かし、先進国を上回るスピードで電子政府化を進めている。今回の法案審査はその制度的基盤を固める一歩であり、中長期的な投資テーマとして引き続き注視すべきである。
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出典: 元記事












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