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ベトナムでカフェ・レストランの音楽著作権料が本格徴収へ—計算方法と飲食業界への影響を解説

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ベトナムでカフェやレストランなど飲食店におけるBGM使用に対する音楽著作権料の徴収が本格化しつつある。著作権料は店舗の営業面積に基づく具体的な計算式で算出されることが明確に定められており、これまで曖昧だったルールの運用が厳格化される方向にある。飲食業界のコスト構造に直接影響する動きであり、ベトナムで事業展開する日系企業にとっても無視できないテーマである。

目次

音楽著作権料の計算方法—面積ベースの算定式

ベトナムにおけるカフェ・レストランでの音楽著作権料は、店舗の「営業面積(kinh doanh diện tích)」を基準に算出される仕組みとなっている。これは国際的にも採用されている方式の一つで、座席数や売上高ではなく、実際にBGMが流れる空間の広さによって使用料が決まるという考え方である。

ベトナムでは音楽著作権の管理を担う主要団体として、VCPMC(ベトナム音楽著作権保護センター、Trung tâm Bảo vệ quyền tác giả âm nhạc Việt Nam)が存在する。VCPMCはベトナム音楽家協会の傘下にあり、楽曲の公衆使用に対するライセンス管理と著作権料の徴収を行っている。同センターが定める料金体系に基づき、店舗の面積区分ごとに具体的な単価が設定されている。

従来、ベトナムでは個人経営の小規模カフェや路上店舗が圧倒的に多く、BGMとしてスピーカーから音楽を流す行為が日常的に行われてきたにもかかわらず、著作権料の支払いはほぼ行われていなかったのが実態である。しかし近年、ベトナム政府は知的財産権の保護強化を政策の柱の一つに掲げており、2023年に施行された改正知的財産法をはじめ、著作権に関する法的枠組みの整備が急速に進んでいる。

なぜ今、著作権料の徴収が注目されるのか

背景には複数の要因がある。第一に、ベトナムが国際的な通商協定(CPTPP、EVFTA、RCEPなど)に加盟する中で、知的財産権の保護水準を引き上げることが求められている点である。特にEU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)では知的財産の保護が重要な条件とされており、音楽著作権を含むソフトな知財の管理強化はその文脈で不可避の流れである。

第二に、ベトナム国内の音楽産業自体が急成長していることが挙げられる。SpotifyやApple Musicといったグローバルプラットフォームの普及に加え、Zing MP3やNhaccuatuiといった国内プラットフォームの拡大により、ベトナムのアーティストやレーベルが正当な対価を求める声が強まっている。VCPMCの徴収活動もここ数年で積極化しており、大手チェーン店だけでなく中小規模の店舗にも支払い要請が広がっている。

第三に、飲食業界の企業化・チェーン化が進んでいることも見逃せない。ベトナムではハイランズ・コーヒー(Highlands Coffee)、フックロン(Phúc Long)、ザ・コーヒーハウス(The Coffee House)といったカフェチェーンが急速に店舗網を拡大しており、こうした法人経営の店舗に対しては著作権料の請求がより容易であるためだ。

飲食店経営者への実務的影響

面積ベースの算定方式は、小規模店舗にとっては比較的負担が軽い一方、大型レストランや広い面積を持つカフェにとってはコスト増要因となり得る。特にベトナムでは、テラス席や屋外スペースを広く取る店舗が多いため、「音楽が聞こえる面積」の定義をめぐって実務上の解釈が分かれる可能性がある。

また、ベトナムの飲食業は利益率が決して高くない業態も多い。家賃、人件費、食材費に加えて新たな固定費として著作権料が加わることは、特に薄利の個人店にとっては無視できない負担である。一方で、著作権フリーの楽曲やライセンス済みのBGMサービスを利用することでコストを抑える選択肢も今後広がっていくと見られる。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の動きは、ベトナム株式市場に直接的なインパクトを与えるニュースではないものの、以下の複数の観点から注目に値する。

1. 知的財産保護の強化はFTSE格上げにもプラス材料
ベトナムは2026年9月にFTSE新興市場指数への格上げ判定を控えている。格上げの評価項目には市場インフラや法制度の整備状況が含まれるが、広義の意味で知的財産権の保護体制強化は、ベトナムが「成熟した新興市場」として認められるための基盤整備の一環と位置づけられる。直接的な評価項目ではないにせよ、国際社会からの信頼醸成に寄与する動きである。

2. 飲食チェーン関連銘柄への影響
ホーチミン証券取引所に上場するノヴァ・グループ(NVL)傘下の飲食事業や、マサングループ(MSN)が展開するフォングイ(Phở Người)関連事業など、飲食チェーンを手掛ける上場企業にとっては、著作権料が新たなコスト項目として計上される可能性がある。ただし、全体の営業コストに占める割合はごく小さいと見られ、業績への影響は限定的であろう。

3. 日系飲食企業への影響
ベトナムには丸亀製麺、すき家、CoCo壱番屋など多くの日系外食チェーンが進出している。これらの企業は日本国内で著作権処理に慣れているため、ベトナムでの対応も比較的スムーズに進むと予想される。むしろ、日系企業にとってはルールが明確化されることで、ローカル競合との条件が公平になるというポジティブな側面もある。

4. デジタルコンテンツ・音楽配信市場の成長
著作権意識の高まりは、ベトナムにおけるデジタル音楽市場の健全な成長を後押しする。FPTグループ傘下のFPTテレコムが提供する音楽・エンタメサービスや、VNG(ベトナム大手テック企業)が運営するZing MP3など、関連するテクノロジー企業にとっては中長期的に追い風となり得る。

総じて、今回の音楽著作権料に関する制度整備は、ベトナム社会がより法治主義的かつ国際基準に近づいていく過程の一断面と言える。飲食業界への短期的なコストインパクトは限定的だが、知的財産保護の進展という大きな文脈の中で捉えるべきニュースである。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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出典: 元記事

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