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韓国ロッテグループ傘下のロッテマート・ベトナムが、第25回「ゴールデンドラゴン賞(Rồng Vàng 2026)」において「グリーン転換先駆FDI企業トップ10(2025〜2026年)」に選出された。同社は屋上太陽光発電の大規模導入や、レジ袋削減・電子レシートの全店展開など、小売チェーンとしてのグリーン戦略を着実に進めており、ベトナムにおけるESG経営の具体的な先行事例として注目される。
ゴールデンドラゴン賞とは
ゴールデンドラゴン賞は、ベトナム経済科学協会と経済誌「VnEconomy(Vietnam Economic Times)」が共催する年次表彰プログラムである。今回で25回目を迎え、ベトナム国内で事業を展開する外国直接投資(FDI)企業の中から、成長性、デジタル転換、グリーン転換、社会貢献の各分野で顕著な成果を上げた企業を選出・表彰している。ベトナム政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」目標に沿い、近年は特にグリーン転換部門の注目度が高まっている。
ロッテマート・ベトナムの受賞と経営陣のコメント
ロッテマート・ベトナムのシン・ジュバック(Shin JuBack)氏は、「ゴールデンドラゴン賞でサステナビリティ関連の表彰を受けるのは2年連続であり、これは短期的な活動ではなく、運営・顧客サービス・サプライヤーとの協力・地域貢献すべてにおける一貫したコミットメントの証だ」と述べた。さらに、「この受賞を励みに、環境に配慮した責任ある現代的な小売モデルへの投資を継続していく」と意欲を示している。
具体的なグリーン施策の全容
1. 屋上太陽光発電システムの導入
ロッテマート・ベトナムは、全国のショッピングセンター8拠点で屋上太陽光発電システムの設置を完了した。これにより年間約137億ドン(13,7 tỷ đồng)のエネルギーコスト削減を実現し、CO₂排出量を年間3,041トン削減する見込みである。同社によれば、この削減量は成木約138,236本が吸収するCO₂量に相当するという。スマートエネルギー管理システムの導入やクリーンエネルギーの活用も並行して進めている。
2. レジ袋削減プログラムの拡充(2026年〜)
同社は以前からワンウェイのビニール袋削減に取り組んできたが、2026年にはその取り組みをさらに強化している。具体的には以下の施策を展開中である。
- 会員カード保有者が30万ドン以上の買い物でエコバッグを使用した場合、会員ポイント3,000点を即時付与
- 毎月9日の「L-Day(会員デー)」に100万ドン以上の買い物をした会員に、再利用可能なエコバッグ「Re:Earth」(Lサイズ)を1枚進呈
3. 電子レシートの全店導入
2026年4月1日より、全国15店舗のロッテマートで電子レシートを全面導入した。会員はアプリ「LOTTE MART Online」上でレシートを確認でき、非会員も紙の伝票に印刷されたQRコードをスキャンすることで購入内容を閲覧できる。従来の感熱紙レシートはリサイクルが困難であり、その大量削減は環境負荷の低減に直結する施策である。
サプライチェーン全体での持続可能性
シン・ジュバック氏は「サステナビリティは個別の活動ではなく、小売バリューチェーン全体に統合された経営方針だ」と強調した。具体的には、廃棄ロスの削減、商品流通効率の向上、在庫管理の最適化、ロス抑制といったオペレーション面の改善に加え、店舗レベルでの省エネ推進、使い捨てプラスチック削減、環境配慮型商品の拡充を進めている。
投資家・ビジネス視点の考察
ロッテマート・ベトナム自体は非上場だが、本件はベトナム小売セクターおよびFDI動向を見る上でいくつかの示唆を含んでいる。
①ESG対応がFDI企業の「ライセンス・トゥ・オペレート」に:ベトナム政府は2050年カーボンニュートラルを国際公約しており、外資企業にもグリーン転換への具体的アクションが求められる時代に入っている。ゴールデンドラゴン賞のような公的表彰制度は、政府・メディア・消費者からの評価に直結するため、日系を含む在越外資企業もESG施策の可視化を急ぐ必要がある。
②ベトナム小売市場の競争激化とグリーン差別化:イオン、セントラルリテール(タイ系)、ウィンコム(ベトナム地場)など競合がひしめく中、サステナビリティを差別化軸に据える動きは今後一層加速するとみられる。ホーチミン証券取引所(HOSE)上場のベトナム小売関連銘柄(MWG、FRTなど)においても、ESGスコアが機関投資家の投資判断に影響を与える場面が増えるだろう。
③FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に最終判定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、グローバルなESGファンドからの資金流入が期待される。その際、グリーン転換やサステナビリティへの取り組み実績は、ベトナム市場全体の「投資適格性」を補強する材料となる。ロッテマートのような外資大手の事例蓄積は、市場全体のESG評価底上げに間接的に貢献する。
④日本企業への示唆:ベトナムで小売・流通・製造に携わる日系企業にとって、感熱紙レシートの廃止や屋上太陽光といった施策はコスト面でもメリットがあり、比較的導入ハードルが低い。ベトナム消費者の環境意識も都市部を中心に高まっており、グリーン施策はブランド価値向上にもつながる。ロッテマートの事例は、実践的なベンチマークとして参考になるだろう。
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