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ベトナムの粉ミルクメーカーが米国に工場? ヌティフードの”逆輸出”戦略を読む

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

「ベトナム企業が米国に工場を建てる」というニュースを読んだとき、少し止まりました。

いつも話の流れは逆じゃないですか。「米国企業がベトナムに工場を作る」「中国リスクでベトナムへ製造が移管される」——そういう方向の話しか出てこなかったベトナムの製造業が、今度は自ら先進国市場に投資に行くわけです。

ヌティフード(NutiFood)が米国で有機酪農場に投資し、粉ミルク加工工場を建設することを検討しているというニュースが入ってきました。単なる海外進出の話として流すにはもったいないと思っています。

この動きの出発点にあるのは「特許」です。

ヌティフードは米国特許商標庁(USPTO)から粉ミルクに関する新たな特許を取得しました。その粉ミルクは、子どもの消化器疾患や呼吸器感染症のリスクを軽減する可能性があるとされています。「作れる」「売れる」だけでなく、「科学的に証明された」製品を持つ段階に到達したということです。ベトナムのメーカーが米国特許の基準をクリアする——これ自体が、業界としてひとつの大きな節目です。

この特許取得を機に、ヌティフードは米国で事業会社「NutiFood America Nutrition Science」を設立しました。パートナー企業と共同で有機酪農場に約300万ドルを投資し、次のステップとして米国内に粉ミルク加工工場を建設。現地産の生乳を使って製品を作り、ベトナムへ輸出するという逆ルートを構築する計画です。

「逆輸出」という構図が面白い点で、通常は「ベトナムで安く作って先進国へ売る」が定石です。ヌティフードがやろうとしているのはその逆で、「先進国の優良素材で作って、品質と信頼性を証明したうえでベトナム市場に還元する」戦略です。ホーチミン市駐在のメリッサ・ブラウン米国総領事がヌティフードを評価し、米国農産物輸出の上位市場としてベトナムを挙げたのも、この構図と無関係ではないでしょう。米越双方にメリットがある形になっているのが、この話を絵空事ではなく現実的なものにしています。

実は、ヌティフードは今回が初めての海外投資ではありません。すでにスウェーデンには総投資額約2,000万ドル、年産約1万5,000トンの工場に50%出資しており、機能性食品会社Cawellsの株式51%も保有しています。オーストラリアでは合弁会社ViPlus Nutritional Australiaの70%を保有し、初期投資額は300万ドル超。オーストラリア・スウェーデンという2拠点を積み上げたうえで、いよいよ米国へ——というステップです。

会社の規模感も確認しておきましょう。ヌティフードは創業から25年以上の歴史を持ち、6つの工場、約2,000人の従業員を抱えます。2025年の売上高見通しは約14,225tỷ VND(853億円相当)、税引き後純利益は約1,463tỷ VND(88億円相当)。純利益率にして約10%で、食品メーカーとして健全な収益構造を持っています。さらに現在の年間生産量は5,000トンを超えており、スウェーデン工場の1万5,000トンを加えると、グローバルな生産能力はかなりの規模になります。

ここで少し立ち止まって考えたいのですが、この動きは「富の南下」の文脈でとても興味深いんです。

富の南下という観点でいつも話しているのは、資金や産業が先進国から新興国へ流れる流れです(詳しくはこちらのシリーズをどうぞ→ https://note.com/gonviet/m/m88eefc2a6c74)。ヌティフードのケースは、ある意味でその更に先の話です。新興国企業が先進国に工場を建て、科学的な知見と特許を取得して、自国市場に還元する。資金と技術が一方向に流れる時代が終わりつつあることを示しています。FPTソフトウェアが欧米に開発拠点を構えて逆輸入するエンジニアリング力と、構造としてよく似ています。

なお、ヌティフードは非上場企業のため、直接の投資対象にはなりません。ただ、ベトナムの食品・栄養セクター全体の成熟度を測る参考として、上場している同業のビナミルク(VNM)などを観察する際の材料に使えると思っています。

ハノイに13年住んでいて気づくのは、ベトナム企業の「外への動き方」が明らかに変わってきているということです。工場を誘致される側だった国が、工場を建てに行く側になっている。その変化のスピードに、正直なところ驚かされています。

そういうことなんです。

いかがでしたでしょうか。今回のNutiFood米国進出計画について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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