ベトナム・ハノイ旧市街でガソリンバイク配車サービス禁止へ——2026年7月から段階的に低排出ゾーン導入

Xe ôm công nghệ chạy xăng có thể bị dừng hoạt động tại vùng lõi Hoàn Kiếm từ 1/7/2026
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ベトナムの首都ハノイが、歴史的中心部であるホアンキエム区(Hoàn Kiếm、旧市街・ホアンキエム湖周辺を含む観光の中心地)において、ガソリンバイクを使ったライドヘイリング(配車バイク)サービスを2026年7月1日から全面的に停止する方針を打ち出した。GrabやBeといったアプリ配車バイクが日常の足として定着しているベトナムにおいて、極めてインパクトの大きい規制である。

目次

低排出ゾーン(LEZ)構想の全体像

ハノイ市人民委員会がハノイ市人民評議会(地方議会に相当)に提出した議案によると、ヴァンダイ1(Vành đai 1、環状1号線)の内側エリアを対象に「低排出ゾーン」を設定し、化石燃料車両を段階的に排除する計画である。この議案は2025年5月12日開会の専門会期で審議される予定だ。

ロードマップは3段階に分かれている。

第1フェーズ(2026年7月1日〜12月31日)

対象はホアンキエム坊(phường Hoàn Kiếm)の中核エリアで、チャンティエン(Tràng Tiền)、ハンカイ(Hàng Khay)、レータイトー(Lê Thái Tổ)、ハンダオ(Hàng Đào)、ハンガン(Hàng Ngang)、ハンブオム(Hàng Buồm)、マーマイ(Mã Mây)、ハンバック(Hàng Bạc)、ハンマム(Hàng Mắm)、グエンフーフアン(Nguyễn Hữu Huân)、リータイトー(Lý Thái Tổ)の11通りが含まれる。いずれもハノイ旧市街36通りの中心部や、ホアンキエム湖畔の観光名所に位置する。居住人口は約2万人。

この区域では、配車アプリのバイク(xe ôm công nghệ)のうちガソリン車は全面的に営業禁止となる。一般のガソリンバイクについては、金曜18時〜24時、土曜・日曜6時〜24時に通行が制限される。配車バイク以外の住民は、オンラインで地方政府に車両転換計画を届け出る必要がある(届出期間は2026年7月1日〜10月1日)。

第2フェーズ(2027年1月1日〜12月31日)

対象がホアンキエム坊およびクアナム坊(Cửa Nam)に拡大され、グエンズー(Nguyễn Du)、ハントゥエン(Hàn Thuyên)、チャンフンダオ(Trần Hưng Đạo)、チャンニャットズアット(Trần Nhật Duật)、ディエンビエンフー(Điện Biên Phủ)、ハンボン(Hàng Bông)、クアナム(Cửa Nam)、レーズアン(Lê Duẩn)など14通りが囲む範囲となる。対象人口は約13万6,900人に拡大する。

第3フェーズ(2028年〜2029年末)

ヴァンダイ1の内側全域、9つの坊が低排出ゾーンとなる。ホアンカウ(Hoàng Cầu)、デーラタイン(Đê La Thành)、サーダン(Xã Đàn)、ダイコーヴィエット(Đại Cồ Việt)、チャンカットチャン(Trần Khát Chân)、グエンコアイ(Nguyễn Khoái)、イエンフー(Yên Phụ)、アウコー(Âu Cơ)、ラックロンクアン(Lạc Long Quân)、カウザイ(Cầu Giấy)などの幹線道路で囲まれるエリアで、対象人口は約62万5,000人に達する。

トラックにも厳格な排ガス規制

バイクだけでなく、貨物トラックにも厳しい規制が適用される。2トン未満のトラックは排ガス基準レベル4(ユーロ4相当)を満たさなければ低排出ゾーン内の通行が禁止され、レベル4適合車もラッシュアワーは走行不可となる。2〜3.5トンのトラックは21時から翌6時までのみ、かつ公安(警察)の許可が必要。3.5トン超のトラックは全面禁止の方針である。

現状の課題——ガソリンバイク比率94〜97%

ハノイ市人民評議会の都市委員会によると、ヴァンダイ1内側の9坊における登録バイク台数は坊ごとに1,700台〜8万5,000台と幅があり、ホアンキエム坊だけで約8万9,000台に上る。そのうちガソリンバイクが94〜97%を占めており、電動バイクへの転換はほとんど進んでいないのが実情だ。

都市委員会は、その原因として①十分な財政支援策の欠如、②充電・バッテリー交換インフラの未整備、③グリーン交通に対する優遇制度の不在、を挙げている。同委員会は、電動車両への登録税・ナンバープレート取得費の優遇、財政補助金の早期導入、明確な車両転換ロードマップの策定を市に提言している。

監視・取締り体制とグリーンインフラ整備

ハノイ市建設局によれば、低排出ゾーンの実効性を担保するため、ANPR(自動ナンバープレート認識)カメラの設置、交通標識の整備、違反データ管理システムの構築が計画されている。同時に、電動バス、都市鉄道(メトロ)、公共レンタサイクル、公共電動バイク、充電ステーション、バッテリー交換ステーションなどグリーン交通インフラの集中整備が進められる。

投資家・ビジネス視点の考察

この政策は複数のセクターに波及する。

①電動二輪メーカー:最大の恩恵を受けるのはビンファスト(VinFast、ティッカー:VFS/米ナスダック上場)である。同社は電動バイク「VF」シリーズを展開しており、ハノイ中心部でのガソリンバイク規制は販売促進の強力な追い風となる。ベトナム国内の電動二輪市場ではVinFastのほか、ヤディア(Yadea、中国系)、ペガ(Pega、ベトナムローカル)などが競合しており、市場拡大が見込まれる。

②配車プラットフォーム:Grab(非上場だがベトナム事業比率大)やBe Group(ベトナムローカル配車大手)は、ドライバーの車両電動化コストを誰が負担するかという課題に直面する。リースモデルやバッテリーサブスクリプションなど新たなビジネスモデルが求められるだろう。

③充電・エネルギーインフラ:充電ステーション、バッテリー交換ステーションの設置需要が急増する。日本企業ではパナソニックやENEOS、住友商事などがベトナムのEVインフラ分野で事業機会を模索しており、ハノイの低排出ゾーン政策は参入の後押しとなる可能性がある。

④FTSE新興市場指数格上げとの関連:ベトナムは2026年9月にもFTSE新興市場指数への格上げが決定される見込みだが、こうしたESG・環境政策の推進は、海外機関投資家がベトナム市場を評価する際のプラス材料となり得る。持続可能な都市交通への転換は、ESGスコアリングの観点からも注目される。

⑤日系進出企業への影響:ハノイ旧市街周辺にはホテル、飲食、小売など日系企業の拠点も多い。物流面ではトラック規制により配送時間帯の制約が生じるため、サプライチェーンの見直しが必要になるケースも出てくるだろう。一方、ホンダやヤマハといった日系バイクメーカーにとっては、ベトナム最大市場であるガソリンバイクの需要縮小リスクを意味し、電動化戦略の加速が求められる局面である。

ハノイの低排出ゾーン構想は、東南アジアの大都市としては先進的な取り組みであり、成功すればホーチミン市やダナンなど他都市への波及も予想される。2026年7月の第1フェーズ開始まであと1年余り。政策の実効性と市場への影響を注視していきたい。


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出典: 元記事

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