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ベトナム・バクマイ病院とヴィエトドゥック病院の建設不正で元保健大臣ら10人裁判—国家資金が「凍結状態」に

Sai phạm tại dự án Bệnh viện Bạch Mai, Việt Đức (cơ sở 2) khiến tiền "đứng im"
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
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ベトナムの二大国立病院であるバクマイ病院(Bệnh viện Bạch Mai)とヴィエトドゥック病院(Bệnh viện Việt Đức)の第2基幹施設建設プロジェクトをめぐり、元保健大臣のグエン・ティ・キム・ティエン(Nguyễn Thị Kim Tiến)被告を含む10人が裁判にかけられている。投資された国家資金が「đứng im(凍結・塩漬け状態)」となり、病院が長年にわたり稼働できなかった責任が問われている。公共投資の規律とガバナンスに関わる重大事案として、ベトナムの政治・経済に注目する投資家にとっても見逃せない裁判である。

目次

事件の概要—何が起きたのか

2025年5月20日から22日にかけて、ハノイ人民裁判所はバクマイ病院およびヴィエトドゥック病院の第2基幹施設(cơ sở 2)建設プロジェクトにおける投資・建設上の不正行為について、10人の被告に対する一審公判を開いた。バクマイ病院は内科系、ヴィエトドゥック病院は外科系でそれぞれベトナム最高峰の国立病院であり、いずれもハノイ市中心部に位置する。患者の過密状態を解消する目的で、北部のハナム省(Hà Nam)に第2施設を建設する大型国家プロジェクトとして計画されたものだ。

検察側の主張によれば、問題の核心は海外コンサルタントの選定プロセスにある。海外コンサルタントを起用するという方針そのものは正当であり、元保健大臣ティエン被告の提案によるものでもなく、誰も海外コンサルタントの選定を禁じてはいなかった。しかし、コンサルタント選定の「実施手続き」が現行法令に適合しておらず、それが一連の違反行為の連鎖を引き起こした。契約は締結されたものの支払い処理ができず、資金の支出(ディスバースメント)も実行不能となり、施工業者は工事を停止。プロジェクト全体が長期間にわたって停滞する結果を招いたのである。

「国家資金の凍結」—検察が強調した浪費の本質

裁判の過程で、一部の弁護士や被告側は「投資された資金はそのまま残っている」と主張し、実質的な損害はないとの論理を展開した。これに対し検察側は強く反論した。

検察によれば、本件の投資資金はもともと国家資本投資経営総公司(SCIC=State Capital Investment Corporation、ベトナムの国家資産を管理・運用する政府系機関)が管理しており、通常は銀行に預けられていた。2つの病院建設プロジェクトの投資方針が決定された後、この資金は保健省傘下の重点医療委員会(Ban Y tế trọng điểm)に移管された。

しかし被告らの違法行為により契約の支払いが滞り、施工業者は工事を中断、プロジェクトは長期間放置された。検察は「この資金は国家予算法に基づき計上された国家投資であり、投資・運用のために拠出されたものであって個人資産ではない。被告らの違法行為により国家資金が本来の目的に使われず、カネが投入されたまま『凍結状態』となり、2つの病院施設を稼働させることができなかった」と強調した。

検察はさらに、「一部の弁護士は『5つ星、7つ星のホテルのようなもの』と表現したが、現状は客が入らず周囲に草が生い茂っている状態だ。一般市民でさえ、被告らの違法行為がもたらした浪費と資源の無駄遣いに憤りを感じている」と述べ、被害の深刻さを訴えた。

浪費罪の法的根拠と損害の算定

弁護側からは損害額の算定方法に疑義が呈されたが、検察はこれにも明確に反論している。浪費に関する犯罪はベトナム刑法(Bộ luật Hình sự)に従来から規定されており、最近公布された通達第11号(Thông tư số 11)は、過去の裁判実務を集約し各地方に損害額算定の統一的なガイドラインを示したものにすぎず、「2025年になって初めて浪費に関する規定ができたわけではない」と検察は強調した。この点は、法の遡及適用ではないかとの弁護側の論理を封じる重要な論点である。

元保健大臣ティエン被告の最終陳述

最終陳述において、グエン・ティ・キム・ティエン元保健大臣は「党、国民、友人、家族に対し、管理上の過失により国家資産の損失・浪費を招いた責任を認める」と述べた。同時に「厳しい判決は全国の建設プロジェクト管理における教訓であり、国家資金は効率的に使われなければならない」と語った。さらに「現在、バクマイ病院およびヴィエトドゥック病院の第2施設はすでに竣工し運用が開始されている。すべての国民が利用できる近代的な病院という自分たちの切なる夢が実現したことは、せめてもの慰めだ」と心境を吐露した。

その他の被告らは、主観的な判断や法律知識の不足から、一連の違法行為の「一つの歯車」になってしまったと弁明している。

政府の対応—議決第34号による事態収拾

プロジェクトの長期停滞を受け、ベトナム政府は議決第34号(Nghị quyết 34)を発出。関係省庁が連携して困難の打開と被告らの行為がもたらした後遺症の解消にあたり、プロジェクトの継続と病院の運用開始にこぎつけた。この経緯は、ベトナムにおける公共投資プロジェクトが政治的意思決定によって救済されるメカニズムを示す典型例でもある。

投資家・ビジネス視点の考察

本件は直接的に上場企業の株価に影響を与える案件ではないが、ベトナムの公共投資環境を理解するうえで極めて重要な示唆を含んでいる。

公共投資の規律強化トレンド:ベトナム共産党は近年、「反腐敗・反浪費」キャンペーンを加速させており、本件はその象徴的な裁判である。元大臣級の高官が浪費罪で裁かれること自体が、公共投資におけるガバナンス強化の本気度を示している。公共事業に関連する建設・インフラセクター(例:コテックコン(Coteccons)、ホアビン建設(Hoa Binh Construction)など)にとっては、コンプライアンスコストの上昇要因となり得る一方、長期的には透明性向上による海外投資家の信頼獲得につながる。

SCIC関連の資金管理への注目:SCICはベトナム政府が保有する上場企業株式の管理・売却を担う機関であり、ビナミルク(Vinamilk)やFPTなど有力企業の大株主でもある。本件でSCIC管理下の資金が不適切に使用された事実は、SCICのガバナンス体制にも改善圧力をかける可能性がある。

FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げにとって、制度面の透明性・法の支配は重要な評価要素である。政府が高官の不正を厳格に裁く姿勢は、格上げ審査においてプラス材料と評価される可能性がある。

日本企業への示唆:ベトナムの公共事業や医療インフラ分野に参入を検討する日本企業にとって、本件はコンサルタント選定や調達手続きにおける法令遵守の重要性を改めて示すケーススタディである。特に海外コンサルタントの起用自体は問題ないが、選定プロセスの手続き的瑕疵が致命的なリスクになり得るという教訓は、実務上極めて重要である。


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出典: 元記事

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