ベトナム・ホーチミン市、全長54kmの高速鉄道ベンタイン〜カンゾー線と幹線道路拡幅を同時整備へ

TP.HCM: Đề xuất mở rộng đường Nguyễn Tất Thành đồng bộ với tuyến metro Bến Thành - Cần Giờ
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ホーチミン市都市計画・建築局が、設計速度350km/hの高速鉄道「ベンタイン〜カンゾー線」の建設に合わせ、幹線道路グエンタットタイン通りの拡幅を同時に進めるよう市人民委員会に提案した。都市南部への経済圏拡大を見据えた大型インフラ計画が動き出している。

目次

高速鉄道ベンタイン〜カンゾー線の全容

ホーチミン市都市計画・建築局は、市人民委員会に対し、鉄道プロジェクト「ベンタイン〜カンゾー線」のルート・施設位置の承認を求める文書を提出した。同路線は全長約53.8〜54km、複線電化方式で軌間1,435mm(標準軌)、設計速度350km/h、軸重17トン/軸という本格的な高速鉄道規格である。

ルートの起点はホーチミン市1区の象徴的存在であるベンタイン市場(Chợ Bến Thành)付近に設定される。そこから南東方向にキーコン通り(Ký Con)を進み、ベンゲー運河(Rạch Bến Nghé)を越えてヴィンカイン(Vĩnh Khánh)へ渡り、ホアンジエウ通り(Hoàng Diệu)を横切ってグエンタットタイン通り(Nguyễn Tất Thành)に入る。

タントゥアン2橋(Cầu Tân Thuận 2)付近でグエンヴァンリン通り(Nguyễn Văn Linh、ホーチミン市南部を東西に貫く主要幹線)に転じ、フーミー橋(Cầu Phú Mỹ)のインターチェンジを経由し、グエンルオンバン通り〜15B号線〜D1号線を通ってラックジア川(Sông Rạch Đĩa)を渡りニャーベー県(Nhà Bè)に至る。さらにフースアン(Phú Xuân)を経てソアイラップ川(Sông Soài Rạp)を越えビンカイン(Bình Khánh)に到達する。

ビンカインからは、現在建設が進むベンルック〜ロンタイン高速道路(Bến Lức – Long Thành)と並行して走り、Km18+800地点で同高速道路を越え、ルンサック通り(Đường Rừng Sác、カンゾー地区を南北に貫くメインロード)を経由。アントイドン社(An Thới Đông)を通過し、アンギア川(Sông An Nghĩa)、ロイザン川(Sông Lôi Giang)、ディンバー川(Sông Dinh Bà)を越えてカンゾー(Cần Giờ)に到達する。最終区間はルンサック通りに沿ってズエンハイ通り(Đường Duyên Hải)との交差点まで進み、39ヘクタールの用地で終点となる。

特筆すべきは、ルートがカンゾー生物圏保護区(ユネスコが2000年に認定した「世界生物圏保護区」)の緩衝地帯を通過するものの、核心地帯には一切入らない設計となっている点である。環境保全と開発の両立が図られている。

第1期計画と主要駅の配置

第1期では、起点のベンタイン駅と終点のカンゾー駅の2つの主要駅が設置される予定である。評価によれば、本路線は公共交通網の発展方針および都市経済圏の南方拡大という方向性に基本的に合致しているとされる。

地下区間をめぐる議論

ホーチミン市人民委員会のブイ・スアン・クオン(Bùi Xuân Cường)副主席は、歴史的価値の高いニャーロン港(Nhà Rồng、ホーチミン元主席が1911年にフランスへ旅立った地として知られる)周辺のカインホイ(Khánh Hội)地区について、地下トンネル方式を検討するよう指示していた。地上に出る移行地点はグエンヴァンリン通り付近とし、そこに駅を併設する案が示されている。

しかし、事業主体側はKm3+284地点(グエンタットタイン通り上)から高架方式で建設する当初案を維持する立場を崩していない。事業主体は、経済性・技術面・景観面を総合的に検討した結果であり、国家・投資家・住民の利益のバランスを考慮した方案だと主張している。この地下vs高架の議論は、コストと都市景観の両面から今後の焦点となりそうである。

グエンタットタイン通りの同時拡幅提案

都市計画・建築局は、もう一つ重要な提案を行っている。グエンタットタイン通り(ホーチミン市4区・7区を結ぶ主要道路)の拡幅工事を、高速鉄道建設と同時に実施すべきだという点である。同通りの拡幅計画はまだ市人民委員会の承認を得ていないため、建設局に早急に検討を指示し、市人民評議会(HĐND、地方議会に相当)に投資方針の決定を諮るよう求めている。

道路拡幅と鉄道建設を別々に行えば、二重の工事期間による住民生活への影響、コスト増大、完成後の整合性の欠如といった問題が生じる。同時施工によって投資の同期性(đồng bộ)を確保するという発想は、ベトナムのインフラ整備でしばしば課題となってきた「ちぐはぐな開発」を回避する狙いがある。

投資家・ビジネス視点の考察

本プロジェクトは複数の観点から注目に値する。

不動産セクターへの影響:カンゾー地区はホーチミン市唯一の海に面した県であり、ノバランド(Novaland、銘柄コード:NVL)が大規模リゾート開発「アクアシティ」に隣接するカンゾーでの事業展開を模索してきた。また、ヴィンホームズ(Vinhomes、銘柄コード:VHM)をはじめとするデベロッパーもニャーベー〜カンゾー方面の開発に関心を寄せている。高速鉄道の開通はこれらの地域の地価上昇要因となり得る。

建設・インフラ関連銘柄:大型インフラ案件の増加は、FECON(銘柄コード:FCN)やホアビン建設(銘柄コード:HBC)、コテックコン(Coteccons、銘柄コード:CTD)といったゼネコン系銘柄への受注期待につながる。鉄道の電化設備や信号システムについては、日本企業を含む海外技術の導入可能性も高い。

日本企業との関連:ベトナムの都市鉄道整備では、ホーチミン市メトロ1号線(ベンタイン〜スオイティエン)で日本のODA資金と技術が活用されてきた。今回のベンタイン〜カンゾー線でも、日本の鉄道技術や建設ノウハウが求められる可能性がある。JICAやJBIC経由の資金支援、あるいは日本の鉄道車両メーカー・信号システムメーカーにとっての商機となり得る。

FTSE新興市場指数との関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げにおいて、大型インフラ投資の進展は「経済の構造的成長力」を示す材料となる。鉄道網の整備は物流効率化や都市圏の拡大を通じてGDP成長に寄与し、海外投資家のベトナムに対する中長期的な評価を押し上げる要因となる。

リスク要因:ベトナムの大型インフラプロジェクトは、用地取得の遅延や予算超過が常態化してきた歴史がある。ホーチミン市メトロ1号線も当初2018年開業予定が大幅に遅延した。今回も地下vs高架の方針未決定、道路拡幅の未承認など、計画段階での不確定要素が残っており、実現までには相当の時間を要する可能性がある点は留意すべきである。


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出典: 元記事

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