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ベトナム・ホーチミン市で大規模な違法東洋医薬品の製造・販売ネットワークを摘発—被害額10億ドン超

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ホーチミン市公安局は2026年5月30日、大規模な違法東洋医薬品(漢方薬)の製造・販売ネットワークを摘発したと発表した。2024年3月以降の販売総額は10億ドン超に達しており、ベトナム国内の医薬品管理体制の脆弱性と、伝統医薬品市場に潜むリスクを改めて浮き彫りにした事件である。

目次

事件の全容——「宝清堂」を拠点とした全国規模の違法販売網

ホーチミン市公安局経済警察課は、情報収集と捜査活動を通じて、東洋医薬品(漢方薬)の大規模な違法製造・販売ネットワークの存在を把握した。この組織は複数の関係者が関与し、ベトナム全国の多くの省・市にまたがって活動を展開していたという。公安当局は専門案件として捜査体制を確立し、摘発に向けた作戦を展開した。

捜査の結果、違法薬品の製造・販売拠点として特定されたのが、東洋医薬店「宝清堂(バオ・タイン・ドゥオン/Bảo Thanh Đường)」である。同店はグエン・ダン・トゥ(Nguyễn Đăng Thu、1971年生まれ、ビンロイチュン街区在住)とグエン・ダン・ハイ(Nguyễn Đăng Hải、1960年生まれ、タンディン街区在住)の2名が経営していた。

経済警察課の複数の捜査チームが同時に各拠点への立ち入り検査・家宅捜索を実施し、2名の容疑者を逮捕。現場からは1億8,000万ドン超相当の東洋医薬品が押収された。さらに、専門案件チームは北部各省・市にも捜査班を派遣し、2名が製造・販売した薬品の流通先の追跡調査を行った。

販売総額は10億ドン超——2年以上にわたる違法活動

捜査の結果、2024年3月から摘発に至るまでの約2年間で、トゥとハイが市場に流通させた違法東洋医薬品の総額は10億ドン超に上ることが確認された。2026年5月29日、ホーチミン市公安局捜査機関は両名に対し、「禁制品の製造・販売」の容疑で起訴決定および逮捕・勾留令状を発付した。

当局は今後、原材料の供給元や各地の販売協力者についても追跡捜査を継続し、法に基づいて処理する方針を示している。

ベトナムにおける伝統医薬品市場の構造的問題

ベトナムでは東洋医学(y học cổ truyền)が古くから広く信頼されており、漢方薬や伝統的な生薬を用いた治療は国民の日常に深く根付いている。特に農村部や高齢者層を中心に、西洋医学よりも漢方薬を好む消費者は少なくない。しかし、その高い需要の裏で、許可を得ずに製造・販売される違法薬品の問題は根深い。

正規の東洋医薬品はベトナム保健省の管轄下で登録・品質検査を経て流通するが、無許可の製品は成分や品質が不明であり、重金属やステロイドなどの有害物質が混入しているケースも過去に多数報告されている。今回の事件について当局も「極めて危険な行為であり、世論の強い憤りを招くとともに、医療制度への国民の信頼を損ない、病と闘う患者の健康・生命を深刻に脅かすものだ」と厳しく批判している。

ホーチミン市公安局経済警察課は市民に対し、以下の点を呼びかけている。

  • 使用する薬品の出所・由来に十分な注意を払うこと
  • 正規の医療機関・許可を持つ薬局でのみ薬を購入すること
  • パッケージ、ラベル、使用期限を購入前に必ず確認すること
  • オンライン販売や出所不明の薬品を購入しないこと

投資家・ビジネス視点の考察

今回の事件は直接的に上場企業の株価を動かす性質のものではないが、ベトナムの医薬品・ヘルスケアセクターに関心を持つ投資家にとっていくつかの示唆を含む。

第一に、ベトナム政府が医薬品の品質管理・流通規制を強化する方向に動いていることの証左である。2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数への格上げ判定を控え、ベトナム当局は各分野でのガバナンス強化を進めている。医薬品分野における取り締まり強化は、正規の製薬企業やドラッグストアチェーンにとっては競争環境の改善を意味する。ホーチミン市証券取引所に上場するドゥオック・ハウザン(DHG)やチャン・フー・フン(TRA)といった大手製薬企業、あるいはロンチャウ薬局チェーンを展開するFPTリテール(FRT)などは、違法業者の排除による市場の健全化の恩恵を受ける可能性がある。

第二に、日本企業のベトナム医薬品市場進出においても、現地パートナーの選定やサプライチェーンの透明性確保がいかに重要かを再認識させる事例である。大正製薬やロート製薬など、すでにベトナム市場で事業を展開する日本企業にとって、違法製品との差別化とブランド信頼性の訴求は引き続き重要な戦略課題となる。

第三に、伝統医薬品市場そのものは依然として大きな成長ポテンシャルを持つ。ベトナムの人口約1億人、急速な高齢化の進行、そして健康意識の高まりを背景に、正規の伝統医薬品・健康食品市場は今後も拡大が見込まれる。規制強化とセットで市場が整備されれば、中長期的には同セクターへの投資機会が広がる可能性がある。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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出典: 元記事

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