ベトナム・ホーチミン市への海外送金が17%減少—2025年第1四半期に約20億ドルへ急落、その背景と投資への影響

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ベトナム最大の経済都市ホーチミン市への海外送金(キューホイ)が、2025年第1四半期に約20億ドルと前年同期比で約17%の大幅減少を記録した。ベトナム経済の「隠れた支柱」ともいわれる海外送金の減速は、不動産市場や個人消費を中心に実体経済へ波及する懸念がある。

目次

ホーチミン市への海外送金、年初に大幅減少

報道によると、2025年1月から3月までの3カ月間にホーチミン市(旧サイゴン、ベトナム南部の商業・経済の中心地)に送金された海外送金額は約20億ドルにとどまり、2024年同期と比較して約17%の減少となった。ホーチミン市はベトナム全体の海外送金の約半分を受け取る主要受取地であり、同市への送金減少はベトナム全体の送金動向を占ううえでも重要なシグナルとなる。

「キューホイ」とは何か——ベトナム経済を支える海外送金の存在感

ベトナム語で「キューホイ(Kiều hối)」と呼ばれる海外送金は、海外に居住するベトナム人(越僑=ヴィエットキュー)が母国の家族や親族に送る資金を指す。世界銀行の統計によれば、ベトナムは世界でもトップクラスの海外送金受取国であり、2024年通年の受取総額は約190億ドルに達したとみられている。

ホーチミン市が全国の送金の大部分を集める背景には歴史的要因がある。1975年のサイゴン陥落以降、旧南ベトナム政権関係者やその家族を中心に大量のベトナム人がアメリカ、フランス、オーストラリアなどに移住した。いわゆる「ボートピープル」の子孫も含め、海外のベトナム人コミュニティ(約600万人と推計)の多くがホーチミン市とその周辺に家族の拠点を持っており、送金もこの地域に集中する構造になっている。

キューホイはベトナムの外貨準備の安定にも寄与するほか、不動産購入や中小企業への出資、家族の生活費・教育費など多様な用途に使われる。GDPに占める割合は約5〜6%とされ、FDI(外国直接投資)やODA(政府開発援助)と並ぶ重要な外貨流入源である。

なぜ送金が減少したのか——考えられる背景

今回の17%減少の要因について、元記事では詳細な分析は示されていないが、複数の構造的・一時的な要因が考えられる。

第一に、米国を中心とした主要送金元国の経済環境の変化である。2025年に入り、米国ではトランプ政権の関税政策をめぐる不透明感が強まり、景気減速懸念が台頭している。在米ベトナム人コミュニティはキューホイ全体の6割以上を占めるとされており、米国経済の減速は送金余力に直接影響する。

第二に、ベトナム国内の不動産市場の調整局面がある。キューホイの相当部分が不動産投資に流れてきたが、ホーチミン市の不動産価格が高止まりし、投資妙味が薄れつつあるとの見方がある。法的手続きの遅延やプロジェクト認可の停滞も、海外からの投資意欲を抑制している可能性がある。

第三に、為替要因も無視できない。米ドルに対してベトナムドンが相対的に安定しているものの、送金手数料や為替レートの条件次第で送金のタイミングが後ろ倒しになることもある。年初は旧正月(テト)の後であり、テト前に前倒しで送金が行われた反動という季節的要因も考慮すべきである。

ホーチミン市経済・不動産市場への影響

キューホイの減少は、ホーチミン市の消費経済と不動産市場に対してダブルパンチとなる可能性がある。家計の可処分所得が減ることで小売・サービス業への支出が鈍化するほか、不動産の購入資金が細ることで市場のさらなる冷え込みにつながりかねない。

ホーチミン市は2024年にGDP成長率7%超を達成し、2025年も高い目標を掲げているが、送金減少が長期化すれば成長の下振れリスクとして意識される局面が出てくるだろう。

投資家・ビジネス視点の考察

ベトナム株式市場への影響:キューホイの減少は、直接的には上場企業の業績に影響するものではないが、不動産セクターや消費関連セクターの需給に間接的な下押し圧力を与える。ホーチミン市に多くの物件を抱えるヴィンホームズ(VHM)やノバランド(NVL)などの不動産デベロッパー、ホーチミン市の小売需要に依存する消費関連銘柄は、送金減少の長期化シナリオでは注視が必要である。

日本企業・ベトナム進出企業への示唆:キューホイの減速はベトナム国内の個人消費トレンドを読むうえでの先行指標ともいえる。特にホーチミン市で消費財や小売事業を展開する日系企業(イオンベトナム、ファミリーマートベトナムなど)は、消費者の購買力の変化に敏感に対応する必要がある。一方で、FDI自体は依然堅調であり、製造業を中心とした進出には大きな変化はないとみられる。

FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナムの格上げにとって、海外送金の減少は直接的な判断材料にはならない。格上げの焦点はあくまで市場のアクセシビリティ(プレファンディング問題の解消、外国人投資枠、決済制度など)であるが、マクロ経済の安定性という観点では、外貨流入減少が国際収支やドン相場に影響を及ぼせば間接的に市場評価に波及しうる。現時点ではその水準には至っていないが、今後の四半期データの推移を注視すべきである。

ベトナム経済全体のトレンドにおける位置づけ:ベトナムは輸出主導型の成長を志向しつつも、キューホイやFDIといった外貨流入チャネルの多様性が強みであった。送金減少はその一角が揺らいでいることを示唆する。ただし、1四半期のデータのみで趨勢を判断するのは早計であり、2025年通年ではテト前の前倒し送金の反動が剥落すれば回復する可能性も十分にある。2025年第2四半期以降のデータが、真のトレンドを見極めるうえで決定的に重要となるだろう。


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出典: 元記事

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