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ベトナム・ホーチミン市トゥーティエム駅上部に大型商業複合施設を検討—TOD開発で都市交通の要に

Nghiên cứu tổ hợp thương mại, dịch vụ phía trên ga Thủ Thiêm
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ホーチミン市は、3本の鉄道路線が交わるトゥーティエム駅(Ga Thủ Thiêm)の上部に、大規模な商業・サービス複合施設を開発する方針を打ち出した。いわゆる「TOD(Transit-Oriented Development=公共交通指向型開発)」モデルを採用し、駅と商業エリアを一体化させる構想であり、ホーチミン市の都市開発戦略にとって極めて重要な一手となる。

目次

3路線が交差する「トゥーティエム駅」とは何か

トゥーティエム駅は、ホーチミン市2区(現トゥードゥック市)のトゥーティエム新都市区に位置する鉄道ターミナルである。同地区はサイゴン川の対岸に広がる大規模再開発エリアで、「ホーチミン市の新たな中心地」として長年にわたり計画が進められてきた。かつては低層住宅や農地が広がっていたが、2000年代以降、行政主導で都市インフラの整備が加速し、現在では高層マンションやオフィスビルが立ち並ぶエリアへと変貌を遂げつつある。

今回の計画の前提として、ホーチミン市は3本の鉄道路線をトゥーティエム駅に接続する方案を確定させた。具体的には、ホーチミン市メトロ(都市鉄道)の路線に加え、南北方面や近郊都市を結ぶ路線が合流するハブ駅として位置づけられている。複数の鉄道路線が一つの駅で交差することにより、1日あたりの利用者数は将来的に膨大な規模になると見込まれている。この乗降客の流れを最大限に活用するため、駅の上部空間に商業・サービス機能を集約するTOD型の複合開発を検討するというのが今回の構想の骨子である。

TODモデルとは—東京や香港の成功事例がベトナムに波及

TOD(公共交通指向型開発)は、鉄道駅やバスターミナルなどの公共交通拠点を核として、その周辺に商業施設、住宅、オフィスなどを高密度に配置する都市開発手法である。日本では東京の渋谷駅再開発や大阪のグランフロントなどが代表例であり、香港のMTR(香港地下鉄)が駅上部に大規模商業施設やマンションを展開する「Rail+Property」モデルは世界的に有名だ。

ベトナムにおいてもTODは近年急速に注目を集めており、特にホーチミン市はメトロ1号線(ベンタイン〜スオイティエン間)の2024年開業を契機に、各駅周辺でのTOD開発を積極的に推進している。ハノイでも都市鉄道カットリン〜ハドン線の沿線で同様の動きが見られるが、ホーチミン市は「駅の上部に直接商業複合施設を建設する」という、より踏み込んだ形での開発を志向している点が特徴的である。

トゥーティエム新都市区の開発動向

トゥーティエム新都市区は、総面積約657ヘクタールに及ぶホーチミン市最大級の再開発プロジェクトである。1990年代に計画が始動して以降、用地の収用問題や住民との補償交渉、世界金融危機の影響などで度々遅延してきた経緯がある。しかし、2020年代に入り開発が本格化し、外資系企業のオフィス進出や国内大手デベロッパーによるマンション・商業施設の建設が相次いでいる。

同地区にはすでに、国内不動産大手のビングループ(Vingroup、ベトナム最大手のコングロマリット)が「ヴィンホームズ・ゴールデンリバー(Vinhomes Golden River)」などの高級マンションプロジェクトを展開しているほか、韓国・日本を含む海外資本による投資案件も増加している。トゥーティエム駅の上部に大型商業施設が実現すれば、同地区の都市機能は飛躍的に向上し、不動産価格のさらなる上昇も見込まれる。

ホーチミン市の鉄道整備とインフラ投資の全体像

ホーチミン市は現在、メトロ1号線に続き、メトロ2号線(ベンタイン〜タムルオン間)の建設を進めている。さらに、ホーチミン市とカントー市を結ぶ南部高速鉄道や、ホーチミン市〜ブンタウ間の鉄道なども計画段階にあり、こうした複数路線がトゥーティエム駅に接続する構想が今回の発表の背景にある。

ベトナム政府は2025年から2030年にかけて、全国のインフラ整備に巨額の公共投資を注ぎ込む方針を示しており、鉄道・高速道路・空港を三本柱とする交通インフラ拡充が国家戦略の中核に位置づけられている。トゥーティエム駅の複合開発構想はこうした大きな流れの中で具体化したものであり、単なる一駅の開発にとどまらず、南部ベトナムの経済圏全体の結節点を創出する試みと捉えるべきである。

投資家・ビジネス視点の考察

本ニュースは、ベトナム株式市場において複数のセクターに影響を及ぼす可能性がある。

不動産セクター:トゥーティエム新都市区の開発加速は、同地区に土地バンクを持つデベロッパーにとって直接的な追い風となる。ビングループ傘下のビンホームズ(Vinhomes、ティッカー:VHM)、ノバランド(Novaland、ティッカー:NVL)など、ホーチミン市南東部に大規模プロジェクトを抱える企業の中長期的な資産価値向上につながる可能性がある。

建設・インフラセクター:鉄道インフラ建設に携わるゼネコンや建設資材メーカーへの受注増加も期待される。コテコンス(Coteccons、ティッカー:CTD)やホアビン建設(Hoa Binh Construction、ティッカー:HBC)など、大型プロジェクトの施工実績を持つ企業は注目に値する。

日本企業への影響:ベトナムの鉄道整備には日本のODA(政府開発援助)やJICA(国際協力機構)が深く関与しており、メトロ1号線も日本の円借款で建設された。トゥーティエム駅の複合開発においても、日本の鉄道運営ノウハウや駅ナカ商業施設の運営経験は極めて高い親和性を持つ。JR東日本や東急(ベトナムでビンズン省の都市開発「東急ビンズオンガーデンシティ」を手がけている)など、すでにベトナムに進出している日本企業にとって新たなビジネス機会が生まれる可能性がある。

FTSE新興市場指数との関連:ベトナムは2026年9月にFTSE新興市場指数への格上げ判定が見込まれている。格上げが実現すれば、海外機関投資家からの大量の資金流入が予想されるが、その際にインフラ投資の進捗状況や都市開発の実績は、ベトナム市場全体の「成長ストーリー」を裏づける重要な材料となる。トゥーティエム駅のTOD開発のような象徴的なプロジェクトが前進していることは、投資家心理にとってもプラス材料である。

リスク要因:一方で、トゥーティエム地区の開発は過去に何度も遅延・停滞した歴史がある。用地問題や行政手続きの遅れ、資金調達の不確実性などは引き続き留意すべきリスクである。現時点では「研究段階(nghiên cứu)」であり、具体的な事業者選定や着工時期はまだ明らかになっていない点にも注意が必要だ。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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出典: 元記事

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