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ホーチミン市(以下HCM市)の東部エリア(クードン)が、ソウルの江南(カンナム)や上海の浦東(プードン)に匹敵する戦略的成長拠点として急速に台頭している。市全体の面積のわずか3%にもかかわらず、将来的にHCM市GDPの約30%を担うと期待される同エリアの変貌を、インフラ開発と不動産市場の両面から読み解く。
ソウル江南・上海浦東に学ぶ「都市の重心移動」
記事が最初に引き合いに出すのは、韓国ソウルの江南地区である。1960〜70年代、漢江(ハンガン)の南側はほぼ農村地帯だった。韓国政府は旧市街の過密解消と都市再構築を目的に、江南を新たな都市成長極として選定。漢江を跨ぐ橋梁群、テヘランロ(金融・IT大通り)、地下鉄網の整備という「接続・軸形成・波及」の三本柱で開発を推進した。40年を経て、江南はソウル全体の面積の3%未満ながらGDPの約25%を生み出す象徴的エリアとなった。
上海の浦東新区はさらに短い30年で同様の飛躍を遂げた。黄浦江を越える橋梁・トンネル、浦東国際空港、陸家嘴(ルージアーズイ)金融センター、近代的な地下鉄ネットワークといったインフラ先行投資により、上海全体の5分の1の面積で約30%のGDPを叩き出すまでに成長した。
HCM市東部——「メガシティの新たな核心」へ
HCM市はいま、まさに同じ戦略をクードン(東部エリア)で実行している。その起点となったのはトゥーティエム・トンネル(Thủ Thiêm Tunnel)の開通で、サイゴン川の東西を結ぶ人流の大動脈が生まれた。続いてハノイ・ハイウェイ(Xa Lộ Hà Nội)、マイチートー通り(Mai Chí Thọ)、ヴォーチーコン通り(Võ Chí Công)の拡幅・整備、HCM市〜ロンタイン〜ザウザイ高速道路、そしてメトロ1号線(ベンタイン〜スオイティエン)の開業と、インフラの連鎖的な整備が進んできた。
2026年には、アンフー・インターチェンジ(nút giao An Phú)、ミートゥイ・インターチェンジ(Mỹ Thủy)、そして環状3号線(Vành đai 3)が相次いで完成予定である。これらは旧市街中心部の交通負荷を緩和すると同時に、東部エリアを新たな都市成長極として確立するための「ダブルレバレッジ」として機能する。
完成したインフラ網は、エンジニア・専門家・高度知識人材、さらには数千人規模の外国人専門家の流入を加速させている。クードンは「都市経済」「製造・工業」「物流・港湾」という三つの戦略軸が交差する「発展の交差核(コア)」へと変貌を遂げつつある。北東にはビンズオン省(Bình Dương)の工業集積、南東にはドンナイ省(Đồng Nai)・バリアブンタウ省(Bà Rịa Vũng Tàu)の港湾・物流拠点が控え、西にはクアン1区(旧中心部)・トゥーティエム新都心が隣接するという地政学的優位性がある。
Masterise Homesが描く高級不動産の系譜
こうしたインフラ整備の恩恵を最も早く見抜き、東部エリアの居住水準を引き上げてきたデベロッパーの一つが、マスタリーズ・ホームズ(Masterise Homes、ベトナムを代表するブランデッドレジデンス開発企業)である。同社はクードンの発展段階に応じて、段階的にプロジェクトを展開してきた。
第1段階:Masteri Collection——ヴォーグエンザップ通り(Võ Nguyên Giáp)沿いに「マステリ・タオディエン(Masteri Thảo Điền)」と「マステリ・アンフー(Masteri An Phú)」を開発。国際色豊かなコミュニティの原型を形成した。
第2段階:LUMIÈRE Series——「リュミエール・リバーサイド(LUMIÈRE Riverside)」「リュミエール・ブールバード(LUMIÈRE Boulevard)」で、グリーンリビングや心身の再生をコンセプトとした、より深みのある居住体験を提供。メトロ1号線の沿線に位置し、交通利便性も高い。
第3段階:The Global City——117.4ヘクタールの広大な敷地に、英国の世界的建築事務所フォスター・アンド・パートナーズ(Foster + Partners)が設計を手がける国際都市区。文化・エンターテインメント・アートイベントの拠点としても機能し、「人間中心」の都市計画思想を体現する。
第4段階:The Rivus——川沿いの希少な立地に展開するブランデッド邸宅群。フランスの高級メゾン、エリー・サーブ(ELIE SAAB)のデザインエッセンスを取り入れ、風水的にも「双龍戯珠・明堂聚水」と称される吉相の地に位置する。プライバシーと開放感を両立させた超高級セグメントで、東部エリアがグローバル水準のラグジュアリー居住地として認知される象徴的存在となっている。
投資家・ビジネス視点の考察
不動産・建設セクターへの影響:環状3号線やアンフー・インターチェンジの2026年完成は、東部エリアの地価上昇と取引活性化を後押しする公算が大きい。HCM市上場の不動産デベロッパーやインフラ建設企業にとって追い風となる。Masterise Homesの親会社であるマスターグループ関連銘柄、および東部エリアに土地バンクを持つ上場企業には注目が集まるだろう。
日系企業への示唆:東部エリアはビンズオン・ドンナイの工業団地群と港湾物流を結ぶハブであり、すでに多くの日系製造業が進出している。インフラ整備の進展は、駐在員の生活利便性向上とともに、サプライチェーン効率の改善にも直結する。住宅・オフィス需要の拡大は、日系不動産・内装・設備関連企業にとっても商機となり得る。
FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外機関投資家の資金流入が加速する。不動産セクターはベトナム株式市場の時価総額の大きな部分を占めており、HCM市東部のような大型開発が進むエリアは、格上げ後の投資テーマとして特に注目度が高い。
マクロ的位置づけ:HCM市はベトナムGDPの約2割を占める経済の心臓部である。その市内で「面積3%・GDP30%」を目指す東部エリアの台頭は、ベトナム全体の都市化・高付加価値化トレンドを象徴する動きであり、中長期の投資テーマとして注視すべきである。
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