ベトナム・ホーチミンTOD開発の要衝「ハンサイン」—CIIが用地補償問題の解決策を提示

Sếp CII nêu lời giải cho bài toán mặt bằng TOD Hàng Xanh
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ホーチミン市で計画が進むTOD(公共交通指向型開発)の中でも最大級の注目案件である「ハンサイン(Hàng Xanh)TODプロジェクト」について、事業主体であるCII(ホーチミン市インフラ投資株式会社、銘柄コード:CII)のトップが、最大の障壁とされてきた用地収用・住民補償問題に対する具体的な解決方針を示した。補償価格の適正化と、立ち退き住民への合理的な住居再配置を柱とする方針であり、長期にわたって足踏みしてきた同プロジェクトが前進する可能性が出てきた。

目次

ハンサインTODプロジェクトとは何か

ハンサイン交差点は、ホーチミン市ビンタイン区(Bình Thạnh)に位置する交通の要衝である。市中心部の1区と、東部の新都市エリアであるトゥードゥック市(旧2区・9区・トゥードゥック区が合併)を結ぶ幹線道路が交わるこの地点は、ホーチミン市メトロ1号線(ベンタイン〜スオイティエン線)の駅設置予定地でもある。メトロ1号線は2024年末に開業し、沿線の不動産価値が急騰している。TOD開発とは、鉄道駅やバスターミナルなど公共交通の結節点を中心に、商業施設・住宅・オフィスを一体的に開発する手法であり、日本では東急電鉄の渋谷再開発などが代表例として知られる。ハンサインTODは、メトロ駅を核として周辺一帯を大規模に再開発する構想であり、ホーチミン市の都市計画の中でも極めて重要なプロジェクトに位置づけられている。

最大の課題は「用地収用」——ベトナム特有の土地問題

ベトナムでは憲法上、すべての土地は「全人民の所有」とされ、国家が一元管理する仕組みとなっている。個人や企業が保有するのは「土地使用権」であり、開発事業者が用地を確保するには、行政による収用手続きと住民への補償が必要となる。しかし、この補償額が市場価格と大きく乖離するケースが多く、住民の反発や長期化する交渉がベトナムのインフラ・不動産開発における最大のボトルネックとなってきた。2024年に施行された改正土地法では、補償額の算定基準が市場価格に近づけられたものの、実務上の運用はなお模索が続いている状況である。

ハンサインTODプロジェクトにおいても、交差点周辺は古くからの住宅密集地であり、多数の住民が居住している。用地の解放(ベトナム語で「giải phóng mặt bằng」)は、プロジェクトの実現を左右する最大の関門であった。

CII幹部が示した解決の方向性

CIIのトップは、ハンサインTODの用地収用にあたって、2つの柱を重視する方針を明らかにした。

第一に、補償価格の適正化である。住民が納得できる水準の補償額を提示することで、交渉の長期化を回避する狙いがある。改正土地法の枠組みの下、市場実勢に即した価格を基準とすることが想定される。

第二に、立ち退き住民への住居再配置(tái bố trí nhà ở)の合理性確保である。単に金銭補償を行うだけでなく、代替住居を適切に用意し、住民の生活基盤を維持することを重視する。これは過去のベトナムの大型開発で繰り返し問題となってきた「補償金だけ渡されて行き場を失う住民」という事態を避けるための重要な施策である。

CIIとしては、この2つの基準を満たすことで、住民との合意形成を円滑に進め、プロジェクトのスケジュール遅延リスクを最小化したい考えである。

CII(ホーチミン市インフラ投資株式会社)の企業概要

CII(銘柄コード:CII、ホーチミン証券取引所上場)は、ホーチミン市のインフラ開発を主力とする企業で、高速道路、橋梁、上下水道などの都市インフラ事業を幅広く手がけてきた。近年は不動産開発やTOD事業への参入を加速させており、ハンサインTODプロジェクトはその象徴的な案件である。ホーチミン市人民委員会(市行政府)との関係も深く、公共事業の受託において強みを持つ。

投資家・ビジネス視点の考察

今回のニュースは、以下の点で投資家やベトナム進出企業にとって注目に値する。

1. CII株への影響:ハンサインTODは同社の将来収益を左右する大型案件であり、用地問題の具体的な解決方針が示されたことはポジティブなシグナルである。ただし、実際の用地収用の進捗が株価に反映されるのはこれからであり、交渉が難航すれば再びリスク要因となり得る。

2. ベトナム不動産・インフラセクター全体への波及:改正土地法の下でのTOD用地収用が成功モデルとなれば、ホーチミン市内の他のTOD案件(メトロ2号線沿線など)にも波及する。不動産大手であるビングループ(Vingroup)やノバランド(Novaland)、キャピタランド(CapitaLand、シンガポール系)など、都市再開発に関与する企業群にとっても追い風となる。

3. 日本企業への示唆:日本のゼネコンや鉄道会社はベトナムの都市開発・TODに高い関心を持っており、実際にJICA(国際協力機構)の支援でメトロ建設が進められてきた。用地問題が解消に向かえば、日本企業が設計・施工やコンサルティングで参画する機会が広がる可能性がある。

4. FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げは、海外からの資金流入を加速させる。インフラ・不動産セクターはその恩恵を最も受けやすい分野の一つであり、TOD関連銘柄への注目度は今後さらに高まるとみられる。大型プロジェクトの進捗が可視化されることは、海外投資家に対するベトナム市場の信頼性向上にもつながる。

ベトナムの都市開発は「土地問題をいかに解決するか」がすべての出発点である。CIIが提示した方針が実行段階で機能するかどうか、今後の進捗を注視していきたい。


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出典: 元記事

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