ベトナム・マサン傘下の鉱物会社が利益200倍超を計画—タングステン価格急騰が追い風

Công ty khoáng sản của Masan đặt mục tiêu lãi gấp 200 lần
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ベトナムの巨大コングロマリット・マサングループ(Masan Group、ホーチミン証券取引所上場:MSN)傘下の鉱物事業会社マサン・ハイテク・マテリアルズ(Masan High-Tech Materials、ティッカー:MSR)が、2026年度の税引後利益目標を最大2,500億ドンに設定した。これは2025年実績の実に200倍超という驚異的な伸びであり、背景にはタングステン(ベトナム語:vonfram)の国際価格急騰がある。

目次

マサン・ハイテク・マテリアルズとは何者か

マサン・ハイテク・マテリアルズ(MSR)は、マサングループの鉱物・素材部門を担う中核企業である。主力事業はタングステンの採掘・精錬・加工で、ベトナム北部タイグエン省(Thái Nguyên)のヌイファオ(Nui Phao)鉱山を運営している。ヌイファオ鉱山は世界有数のタングステン多金属鉱山として知られ、タングステンのほかフッ素(蛍石)、ビスマス、銅なども産出する。MSRは過去にドイツのH.C.シュタルク(現在はMasan High-Tech Materials傘下のブランド)を買収するなど、川上の採掘から川下の加工・販売まで一貫したバリューチェーンを構築してきた。ベトナム国内はもちろん、グローバルなタングステンサプライチェーンにおいても重要なプレイヤーである。

利益200倍超の根拠——タングステン価格の急騰

今回の野心的な利益目標の最大の根拠は、タングステンの国際市場価格の急騰である。タングステンは融点が金属中で最も高く(約3,422℃)、超硬合金や半導体製造装置、軍事・航空宇宙分野など幅広い先端産業で不可欠な希少金属(レアメタル)だ。近年、中国が世界のタングステン供給の約80%を占める中、中国政府による輸出規制強化やレアメタルの戦略的管理政策が相次いでおり、中国外の供給源であるMSRのヌイファオ鉱山の戦略的価値が急速に高まっている。

2025年後半から2026年にかけて、タングステン価格は国際市場で急上昇を続けており、MSRの収益環境を大幅に改善させた。2025年度のMSRの税引後利益は極めて低水準にとどまっていたが、価格上昇の恩恵をフルに享受する2026年度は、税引後利益が最大2,500億ドンに達するとの見通しを同社は示している。前年比で200倍超という数字はインパクトが大きいが、これは2025年度の利益水準が非常に低かった(ほぼ損益分岐点付近)ことの裏返しでもある点には留意が必要である。

マサングループ全体の戦略における位置づけ

マサングループ(MSN)は、食品・飲料(Masan Consumer)、小売(WinCommerce=旧ビンコマース、WinMartチェーン運営)、金融(Techcombank株保有)、そして鉱物(MSR)という4本柱で事業を展開するベトナム最大級の民間コングロマリットである。近年はWinMartの収益化に経営資源を集中させてきたが、鉱物部門はタングステン価格の低迷により業績が伸び悩んでいた。今回の価格急騰は、グループ全体の利益構成を大きく変える可能性がある。MSRの業績改善は親会社MSNの連結業績にも直結するため、マサングループの株価にとってもポジティブ材料となる。

投資家・ビジネス視点の考察

ベトナム株式市場への影響

MSR株は、タングステン価格の上昇期待を織り込む形ですでに注目を集めている。ただし、利益200倍超というヘッドラインは印象的だが、絶対額としての2,500億ドンという水準がMSRの時価総額に対してどの程度のインパクトを持つかを冷静に評価する必要がある。また、タングステン価格は国際情勢(特に米中関係、中国の輸出規制動向)に大きく左右されるため、価格の持続性がリスク要因となる。親会社MSNへの波及効果も含め、マサン関連銘柄全体に買い材料となり得る。

日本企業・サプライチェーンへの示唆

日本はタングステンの主要消費国であり、超硬工具メーカーや半導体装置メーカーなどが大量に使用している。中国依存のリスク低減策として、ベトナム・ヌイファオ鉱山からの調達を検討する日本企業にとって、MSRの生産拡大・業績改善は追い風と言える。一方、タングステン価格の高騰はコスト増要因でもあり、日本の製造業にとっては両面的な影響がある。

FTSE新興市場指数格上げとの関連

2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げは、ベトナム株式市場全体への資金流入を促す大きなカタリストである。マサングループ(MSN)はホーチミン証券取引所の時価総額上位銘柄の一つであり、FTSE格上げが実現すれば、海外機関投資家の買い対象となる可能性が高い。MSRの業績改善がMSNのファンダメンタルズ向上に寄与すれば、格上げ後の資金流入局面でより大きな恩恵を受けることが期待される。

ベトナム経済全体のトレンド

ベトナム政府は近年、鉱物資源の付加価値化を国家戦略として推進しており、レアメタルの原鉱輸出から加工品輸出への転換を目指している。MSRのようなハイテク素材企業の成長は、この政策方針と合致するものであり、政府からの支援・優遇措置が期待できる領域でもある。タングステンをはじめとするレアメタルの地政学的重要性が高まる中、ベトナムが「中国代替」の供給源として国際的なプレゼンスを強める流れは、同国の経済多角化にとっても好材料である。


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出典: 元記事

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