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ベトナム不動産市場、賃貸住宅の本格整備へ—都市部の住宅供給構造が変わる可能性

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ベトナム不動産協会(VNREA)副会長であり、ベトナム不動産仲介協会会長、ベトナム不動産市場研究評価院院長を兼務するグエン・ヴァン・ディン氏が、経済誌VnEconomyのインタビューに応じ、賃貸住宅市場の体系的な発展が住宅供給構造の調和に不可欠であるとの見解を示した。大都市における住宅価格の高騰が深刻化するなか、賃貸住宅セグメントの整備は市場の構造転換を促す重要な論点として注目される。

目次

賃貸住宅整備の必要性と現状の課題

ベトナムでは伝統的に「持ち家志向」が極めて強く、賃貸住宅市場は制度面でも供給面でも未成熟な状態が続いてきた。ハノイやホーチミン市といった大都市では、マンション価格がここ数年で急騰しており、一般的な勤労世帯の購買力を大幅に超える水準に達している。ディン氏はこうした状況を踏まえ、賃貸住宅を体系的に発展させることで、多数の国民の支払い能力に見合った住宅供給を大幅に拡充できると指摘する。

「安住の出発点」としての賃貸住宅

ディン氏が強調したのは、大都市において賃貸住宅が「安住の出発点(chốn an cư khởi đầu)」として機能する重要性である。地方から都市部へ流入する若年労働者や、新たに家庭を形成する世帯にとって、いきなり住宅を購入することは現実的でないケースが多い。質の高い賃貸住宅が十分に供給されれば、新規世帯の形成を後押しし、都市部の労働力を維持し、ひいては長期的な持続可能な発展の原動力となる——というのがディン氏の主張である。

この考え方は、シンガポールのHDB(住宅開発庁)による公共住宅政策や、日本のUR賃貸住宅制度とも通底するものであり、ベトナムが都市化率の上昇(現在約40%)に伴い、住宅政策を「所有」一辺倒から「所有と賃貸のバランス」へと転換しようとしている流れを反映している。

市場構造の調和に向けた方向性

ベトナムの不動産市場はこれまで、高級マンションや投機的な土地取引に偏重する傾向があり、中低所得層向けの住宅供給が慢性的に不足していた。2023年に改正された住宅法や不動産事業法では、社会住宅(低所得者向け住宅)の供給促進が盛り込まれたが、賃貸住宅についてはまだ制度的な枠組みが十分とは言えない。ディン氏の提言は、売買用住宅と賃貸住宅を「同期的(đồng bộ)」に発展させることで、市場全体の構造をより調和のとれたものにするという方向性を示したものである。

投資家・ビジネス視点の考察

賃貸住宅市場の制度整備が進めば、ベトナム不動産セクターに複数の影響が想定される。

関連銘柄への影響:社会住宅・賃貸住宅の開発に強みを持つデベロッパーにとっては追い風となる可能性がある。ビンホームズ(VHM、ビングループ傘下の不動産大手)やナムロン投資(NLG)など、中価格帯住宅に注力する企業の動向が注目される。一方、高級セグメント偏重のデベロッパーには戦略転換の圧力がかかる可能性もある。

日本企業への示唆:日本の不動産・住宅関連企業にとって、ベトナムの賃貸住宅市場は有望な進出先となりうる。すでに大和ハウスや住友林業などがベトナムで住宅開発を手掛けているが、賃貸住宅の制度整備が進めば、管理・運営ノウハウを持つ日系企業の参入機会が広がる。

FTSE新興市場指数との関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場への格上げに向け、ベトナムは資本市場の透明性向上が求められている。不動産市場の構造改革は、市場全体の健全性を高めるシグナルとして海外投資家にもポジティブに映る可能性がある。

マクロ経済との位置づけ:ベトナムは2025年のGDP成長率目標を8%以上に設定しており、都市化と内需拡大が成長の柱となる。賃貸住宅の整備は、都市部への人口集中を円滑に吸収し、消費基盤を安定させるインフラ投資の一環として位置づけられる。


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出典: 元記事

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