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ベトナム全国の公共投資(đầu tư công)の執行額が、2025年6月25日時点で約30万兆ドン(300.000 tỷ đồng)に達したことが明らかになった。これは首相が割り当てた年間計画の29%超に相当する。公共投資の加速はベトナム政府が掲げる経済成長目標の柱であり、下半期に向けた執行ペースの加速が喫緊の課題となっている。
公共投資の執行状況:半年で約30万兆ドン
ベトナム政府の発表によると、2025年の年初から6月25日までに全国で執行された公共投資資金は約30万兆ドンに上る。この金額は、首相(Thủ tướng)が各省庁・地方政府に割り当てた年間計画額に対して29%超の進捗率となっている。
公共投資とは、国家予算を原資としたインフラ整備や公共事業への投資を指し、高速道路、鉄道、港湾、空港、工業団地のインフラ、病院、学校など幅広いプロジェクトが含まれる。ベトナムでは毎年、公共投資の執行率の低さが構造的な課題として指摘されてきた。年末に駆け込みで執行が集中する傾向があり、これが投資効率の低下や工事品質の問題につながるとの批判も根強い。
29%という進捗率をどう評価するか
半年経過時点で29%という進捗率は、例年と比較すると決して低い水準ではない。ベトナムでは上半期の公共投資執行率が30%前後にとどまるのが常態化しており、年後半に一気に加速して最終的に70〜80%台に持ち込むパターンが繰り返されてきた。しかし、2025年はベトナム政府がGDP成長率目標を8%以上と高く設定しており、首相自らが各省庁・地方政府の責任者に対して執行の加速を繰り返し要請している。
特にグエン・フー・チョン(Nguyễn Phú Trọng)前書記長の時代から続く反汚職キャンペーンの影響で、各地方の行政官が責任追及を恐れて投資案件の承認・執行に慎重になる「不作為」(sợ sai)の問題が深刻化していた。現在のトー・ラム(Tô Lâm)書記長体制では、行政改革と併せてこの問題への対処も進められているが、末端レベルでの意識改革にはなお時間を要する。
注目される大型プロジェクトの進捗
2025年のベトナム公共投資で最も注目されるのは、南北高速道路(đường bộ cao tốc Bắc – Nam)の全線開通に向けた工事の進捗である。総延長約2,000kmに及ぶこの高速道路ネットワークは、ハノイからホーチミン市を縦断するベトナムの大動脈であり、完成すれば物流コストの大幅削減と地方経済の活性化が期待されている。
さらに、ロンタイン国際空港(Sân bay quốc tế Long Thành、ドンナイ省)の第1期工事も2025年の重点プロジェクトに位置づけられている。同空港はホーチミン市のタンソンニャット空港の過密状態を解消する目的で建設が進められており、完成後は年間旅客処理能力2,500万人を見込む。
加えて、ハノイ都市鉄道(メトロ)の追加路線やホーチミン市メトロ2号線の建設なども公共投資の重要案件として挙げられる。これらの大型インフラプロジェクトは、セメント、鉄鋼、建設機械、電力設備などの関連産業に直接的な需要をもたらすため、民間経済への波及効果も大きい。
公共投資加速の背景:行政改革と「スーパー委員会」の統合
2025年のベトナムは、省庁統合をはじめとする大規模な行政改革の渦中にある。従来の18省庁が統合・再編され、意思決定の迅速化と行政手続きの簡素化が図られている。公共投資の執行においても、これまで複数の省庁にまたがっていた許認可手続きが一元化されることで、プロジェクトの着工までのリードタイムが短縮されることが期待されている。
また、ファム・ミン・チン(Phạm Minh Chính)首相は、公共投資の執行が遅れている地方政府の責任者に対し、直接的な叱責や人事上の措置も辞さない強い姿勢を示してきた。これは、下半期に向けた執行ペースの加速を促す上で一定の効果があると見られている。
投資家・ビジネス視点の考察
公共投資の進捗は、ベトナム株式市場にとって重要なファンダメンタルズ指標の一つである。以下の観点から、今回のニュースの影響を考察する。
■ 関連銘柄への影響
公共投資の加速は、建設セクター(CTD:コテックコン、HBC:ホアビン建設など)、セメント・建材セクター(HT1:ハティエンセメント、BCC:ビンディンセメントなど)、鉄鋼セクター(HPG:ホアファットグループ、HSG:ホアセングループなど)にとってポジティブな材料である。特にホアファットグループ(HPG)は建設用鉄鋼の国内シェア首位であり、公共投資の執行加速による需要増の恩恵を最も受けやすい銘柄の一つである。
■ 日本企業への影響
ベトナムのインフラ開発には多くの日本企業が関与している。ODA(政府開発援助)案件としてはハノイ都市鉄道やホーチミン市メトロ1号線に日本の技術・資金が投入されており、大成建設、清水建設、住友商事などがプロジェクトに参画してきた。公共投資全体の拡大は、こうした日本企業のベトナム事業にとっても追い風となる。
■ FTSE新興市場指数への格上げとの関連
ベトナムは2026年9月にFTSE(フッツィー)新興市場指数への格上げが決定される見込みである。格上げが実現すれば、海外機関投資家からの資金流入が大幅に増加すると期待されている。公共投資を通じたインフラ整備の進展は、ベトナム経済の成長ポテンシャルを裏付ける要素として、格上げ判断にもプラスに作用する。経済成長率の維持・向上は、格上げに向けた「ベトナム経済の信認」を高める重要な材料だからである。
■ ベトナム経済全体における位置づけ
ベトナム政府は2025年のGDP成長率目標を8%以上と設定しており、公共投資はその達成に向けた重要なエンジンの一つである。輸出の鈍化や世界的な景気減速リスクがある中で、政府が直接コントロール可能な公共投資の拡大は、内需を下支えし、雇用を創出するための政策的な切り札でもある。下半期に執行ペースが加速すれば、第3四半期以降のGDP成長率を押し上げる効果が見込まれる。
ただし、注意すべきリスクもある。年末に向けた駆け込み執行は、工事品質の低下や不正行為の温床となりかねない。また、急速な執行が建設資材価格の高騰を招き、民間建設セクターのコスト増加につながる可能性もある。投資家としては、単に執行額の増加を好材料として捉えるだけでなく、その「質」にも注目すべきである。
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出典: 元記事












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