ベトナム公安省がUID制度を提案──偽造品撲滅へ全商品にデジタルID付与、輸出競争力にも直結

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ベトナム公安省は、偽造品・模倣品の横行に歯止めをかけるため、すべての商品に固有のデジタル識別コード「UID(Unique Identification)」を付与する制度の導入を提案した。国家プラットフォーム上で自動生成されるこのコードにより、製品単位またはロット単位でのトレーサビリティが実現する。CPTPP・EVFTA・RCEPなど主要貿易協定への対応、さらにEUが導入を進める「デジタル製品パスポート(DPP)」との互換性確保という観点からも、極めて重要な政策転換である。

目次

法整備の背景──分散する規制と巧妙化する偽造手口

2025年5月5日、ベトナム司法省は公安省が起草した「製品・商品の識別・認証・トレーサビリティに関する政令」の審査書類を公開した。公安省によれば、現行のトレーサビリティ・商品識別に関する規定は複数の法令に分散しており、技術標準やデータ標準、電子情報の認証に関する統一的な規定が欠如している状態にある。

市場では、産地偽装、偽造トレーサビリティシール、データと紐づかない重複QRコードといった問題が年々深刻化している。公安省は「毎年、関係当局が数万件の違反を摘発・処分している」と指摘。偽造品・低品質品は医薬品、食品、日用消費財など幅広い分野に及び、国民の健康を脅かすだけでなく、消費者の信頼と「ベトナムブランド」の評価を著しく毀損していると強調した。

さらに、違反者の手口は高度化しており、ECプラットフォームやSNSを通じた偽造品流通、倉庫の隠匿など、取り締まりを困難にする手法が横行している。

UID制度の仕組み──ブロックチェーン基盤の国家プラットフォーム

提案された政令案は全8章40条から構成される。その核となるのが「UID(mã UID)」と呼ばれる製品識別コードである。UIDは「国家識別・認証・トレーサビリティプラットフォーム」上で自動生成され、個別の製品単位または製造・流通ロット単位で付与される。ベトナムの技術基準に準拠しつつ国際標準とも互換性を持ち、デジタル環境およびサプライチェーン全体での情報の識別・収集・共有・検証を可能にする設計である。

制度はリスクベースで運用される。具体的には以下の通りである。

  • 高リスク製品:個別製品単位での識別・認証・トレーサビリティが義務化される。各分野の管轄省庁がロードマップを策定・公布する。
  • 中リスク・低リスク製品:ロット・バッチ単位での識別・認証は任意(自主的参加)とする。

また、国家ブロックチェーンプラットフォームに参加する各組織・個人には、国家データセンターが固有の「DID(分散型識別子)」を1つ発行し、秘密鍵・公開鍵を付与する。これにより、分散型の識別認証、デジタル証拠の生成、製品のトレーサビリティが実現する仕組みである。

国際通商上の緊急性──DPP時代への対応

公安省がこの政令の必要性を強く訴える背景には、ベトナムが参加するCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、EVFTA(EU・ベトナム自由貿易協定)、RCEP(地域的な包括的経済連携)、WTO TBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)といった多国間・二国間の通商枠組みが求める製品情報の透明性・トレーサビリティ・原産地詐称防止への対応がある。

とりわけ、EU、米国、日本といったベトナムの主要輸出先市場では「デジタル製品パスポート(Digital Product Passport=DPP)」の導入や製品のデジタル識別義務化が進んでいる。EUでは2027年以降、バッテリーや繊維製品などを皮切りにDPPの義務化が段階的に始まる見通しである。公安省は「ベトナムがこれに対応する法的枠組みを持たなければ、輸出時に障壁に直面し、競争上の優位を失う」と明言している。

投資家・ビジネス視点の考察

この政令案は、ベトナム市場に関わる投資家や日本企業にとって複数の重要な示唆を含んでいる。

1. IT・ブロックチェーン関連企業への追い風:国家規模のブロックチェーンプラットフォーム構築が明記されたことで、FPTコーポレーション(FPT)やCMCコーポレーション(CMG)といったベトナムIT大手、さらにブロックチェーン技術を持つスタートアップにとっては巨大な受注機会となり得る。

2. 消費財・食品・医薬品セクターへのコスト影響:高リスク製品に分類される医薬品や食品の製造・流通企業は、UID対応のための設備投資やシステム改修が必要となる。短期的にはコスト増要因だが、中長期的にはブランド保護と輸出競争力の強化に寄与する。ビナミルク(VNM)、マサングループ(MSN)、モバイルワールド(MWG)などの大手消費財企業の対応状況に注目したい。

3. FTSE新興市場指数格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向けて、ベトナムは市場の透明性向上を急いでいる。商品トレーサビリティの国家制度化は、市場インフラの信頼性を高める一要素として海外機関投資家にポジティブに映る可能性がある。

4. 日系企業への影響:ベトナムに製造拠点を持つ日系企業にとって、UID制度はサプライチェーン管理の負担増となる一方、偽造品による自社ブランド毀損リスクの低減というメリットもある。特に食品・化粧品・自動車部品など偽造被害が多い分野では、制度導入を歓迎する声も出るだろう。日本が先行するDPP対応のノウハウを活かせる場面も増えると考えられる。

総じて、この政令案はベトナムが「世界の工場」から「信頼されるサプライチェーンの一翼」へと進化するための重要な一歩である。政令の最終化・施行時期、高リスク製品の具体的な指定リスト、そして国家プラットフォームの技術パートナー選定が今後の注目ポイントとなる。


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出典: 元記事

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