ベトナム国会が税制改正法を可決、個人事業主の免税基準を5億ドンから10億ドンへ引き上げへ

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ベトナム第16期国会の第1回会期において、個人所得税法・付加価値税(VAT)法・法人所得税法・特別消費税法の一部改正法案が可決された。最大の注目点は、個人事業主・事業世帯の課税基準額(免税上限)を法律で固定せず、政府に決定権限を委任する仕組みへ移行したことである。政府は現行の年間5億ドンから10億ドンへの引き上げを予定しており、約500万の事業世帯にとって大きな負担軽減となる。

目次

国会閉幕、税制改正が最大の関心事に

2025年4月24日、第16期国会第1回会期の閉幕直後、国会事務総長兼国会事務局長のレ・クアン・マイン(Lê Quang Mạnh)氏が記者会見を主催し、会期の成果を発表した。同氏は、今会期が立法・監督・法執行の三位一体での国会改革を推進する姿勢を示したと強調。第14回共産党大会の精神、とりわけトー・ラム(Tô Lâm)党書記長兼国家主席が掲げる「法整備の思考刷新、制度改革、資源の解放、人間中心の経済社会発展」という方針が色濃く反映された会期であったと述べた。

国会事務局副局長のグエン・ヴァン・ヒエン(Nguyễn Văn Hiển)氏によれば、今会期では9本の法律と31本の決議(うち重要な規範的決議5本)が可決され、新任期の国会として異例の重責を果たした。憲法に基づく国家機構の整備と、党大会決議の制度化を同時に進める野心的な会期であった。

免税基準の柔軟化——「固定値」から「政府裁量」へ

今回の改正で最も注目すべきは、個人事業主・事業世帯に対する課税の「閾値(しきいち)」を法律に固定せず、政府が経済情勢に応じて機動的に設定できるようにした点である。国会経済財政委員会の専従議員ファム・ティ・ホン・イエン(Phạm Thị Hồng Yến)氏は記者会見で以下の3点が政府の裁量に委ねられると説明した。

  • 個人所得税法における個人・事業世帯の「所得税非課税となる売上高の水準」
  • VAT法における個人・事業世帯の「VAT非課税となる売上高の水準」
  • 法人所得税法における企業・協同組合の「法人税免除となる売上高の水準」

これらはマクロ経済指標や財政収支のバランス、各時期の経済社会状況を踏まえて決定される。従来は法律本文に「年間売上高5億ドン」と明記されていたため、変更には国会での法改正が必要であり、経済環境の変化に迅速に対応できないという構造的な問題があった。

免税基準は5億ドンから10億ドンへ倍増の見通し

イエン議員によると、政府は個人・事業世帯の個人所得税の非課税売上高を現行の5億ドンから10億ドンへ引き上げる方向で検討している。この10億ドンという水準は、電子インボイスの使用義務が生じる売上高基準とも統一される予定であり、制度間の整合性確保と事務負担の軽減を同時に実現する設計となっている。VAT非課税の売上高基準も同様に統一される見込みである。

ベトナムには約500万の事業世帯(hộ kinh doanh)が存在する。路上の飲食店から小規模製造業まで、ベトナム経済の草の根を支える存在であり、これらの層に対する税負担軽減は消費の下支えと資本蓄積を促進する効果が期待される。イエン議員は「生計の確保、社会保障、政策適用の公平性を担保し、事業世帯から企業への転換を促すことで経営の規模と効率を高める」と法案の意義を説明した。

背景——世界経済の不透明感とベトナム内需の重要性

今回の税制改正は、世界経済の減速リスクや米中対立の長期化、さらにベトナム国内の製造業・サービス業が直面する需要減退という二重の逆風の中で打ち出された。ベトナム政府は2025年以降、GDP成長率8%以上を目標に掲げているが、外需依存型の成長モデルだけでは限界がある。内需の厚みを増すためには、経済の底辺を構成する個人事業主・中小零細企業の活力を引き出すことが不可欠であり、今回の措置はその文脈に位置づけられる。

また、ベトナムでは事業世帯が正式な企業登記を行わないまま営業を続けるケースが多く、税務・統計の両面で「見えない経済」の問題が指摘されてきた。免税基準の引き上げと電子インボイス制度との連動は、事業世帯の「企業化」を後押しし、経済の透明性向上にも寄与すると見られる。

投資家・ビジネス視点の考察

ベトナム株式市場への影響:今回の税制改正は直接的に上場企業の業績を左右するものではないが、内需消費関連セクター(小売、食品、消費財)にとっては中長期的な追い風となる。約500万の事業世帯が税負担を軽減されれば、可処分所得の増加を通じて消費が底上げされる構造となるためである。

日系企業への影響:ベトナムに進出している日系中小企業やフランチャイズ事業者にとっても、現地パートナーである事業世帯の経営安定化はサプライチェーンの強靭化につながる。また、事業世帯の企業転換が進めばB2B取引の透明性が高まり、日系企業にとって取引コストの低減が期待できる。

FTSE新興市場指数との関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向けて、ベトナムは市場の制度インフラ整備を急いでいる。税制の柔軟化・合理化は、投資環境の改善を示すシグナルとして海外機関投資家にポジティブに評価される可能性がある。特に経済の「フォーマル化(公式経済への移行)」が進むことは、GDP統計の信頼性向上にもつながり、格上げ審査にとって好材料となり得る。

ベトナム経済全体の位置づけ:トー・ラム体制下で加速する制度改革の一環として、今回の税制改正は「規制緩和と成長促進」を両立させる象徴的な政策である。党大会決議の迅速な制度化という点でも、新国会の実行力を内外に示す意味合いが大きい。


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出典: 元記事

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