ベトナム家電最大手テーゾイジードン、純利益78%増で過去最高を更新──2025年1〜3月期の躍進を読む

Thế Giới Di Động lãi kỷ lục
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ベトナム最大の家電・モバイル小売チェーンであるテーゾイジードン(Thế Giới Di Động、ホーチミン証券取引所ティッカー:MWG)が、2025年1〜3月期に過去最高の四半期利益を記録した。純利益は約2,758億ドンに達し、前年同期比で78%の大幅増益となっている。コロナ禍後の消費回復や積極的な多業態展開が結実した形であり、ベトナム小売セクターの力強さを象徴するニュースである。

目次

過去最高益の中身──約2,758億ドン、前年同期比78%増

テーゾイジードン(日本語では「モバイルワールド」とも訳される)は、2025年第1四半期(1〜3月)の純利益が約2,758億ドン(tỷ đồng=10億ドン)に達したと発表した。これは前年同期と比べて78%の増加であり、同社にとって四半期ベースで過去最大の利益水準である。ベトナムの小売業界において、ここまで急速な回復と成長を同時に達成した例は近年でも稀であり、市場関係者の注目を集めている。

テーゾイジードンとは何者か

テーゾイジードンは、2004年にホーチミン市で創業されたベトナム最大級の小売企業グループである。もともとは携帯電話の専門ショップとしてスタートしたが、その後「ディエンマーイサイン(Điện Máy Xanh=家電量販)」「バックホアサイン(Bách Hóa Xanh=食品・日用品スーパー)」「アンカーン(An Khang=ドラッグストア)」など複数の小売業態へと多角化を進めてきた。現在、全国に数千店舗を展開するベトナム有数の流通コングロマリットであり、ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場するMWGはベトナム株式市場でも時価総額上位の主要銘柄に位置付けられている。

同社の創業者であるグエン・ドゥック・タイ(Nguyễn Đức Tài)氏は、ベトナムのビジネス界では「ベトナムのジャック・マー」とも称される立志伝中の人物で、積極的なM&Aや業態革新で知られる。日本のビックカメラやヤマダ電機のような家電量販と、イオンやドン・キホーテのような生活雑貨・食品スーパーの両方を兼ね備えた存在と言えば、日本の読者にはイメージしやすいだろう。

業績回復の背景──消費マインドの改善と構造改革の成果

テーゾイジードンは2022年後半から2023年にかけて、ベトナム全体の消費低迷や不動産市場の冷え込みの影響を受け、業績が大きく落ち込んだ時期があった。特に家電やスマートフォンなどの耐久消費財は、景気後退局面で真っ先に買い控えが起きるカテゴリーであり、同社の売上・利益は一時急減した。

しかし2024年後半からベトナム経済は回復基調に入り、GDP成長率も7%台を回復。政府による公共投資の加速、FDI(外国直接投資)の堅調な流入、そして国内消費の持ち直しが追い風となった。テーゾイジードンにとっては、不採算店舗の整理やバックホアサイン事業の収益改善など、景気低迷期に進めた「体質改善」が花開いたタイミングでもあった。

加えて、2025年初頭はテト(旧正月)商戦が1月末〜2月にかけてピークを迎える時期であり、ベトナムでは家電やスマートフォンの買い替え需要が一年で最も高まる。こうした季節要因も第1四半期の好業績を後押ししたと考えられる。

バックホアサイン(食品スーパー)の黒字化が鍵

同社の業績を語る上で欠かせないのが、食品・日用品スーパー「バックホアサイン」の動向である。この事業は長年にわたり大規模な先行投資を続け、赤字を垂れ流してきたことで知られる。ベトナム全土に展開する数千店舗の運営コストが重く、株式市場でもMWGの株価を押し下げる最大の要因と見なされてきた。

しかし2024年以降、店舗あたりの売上効率の改善や仕入れコストの最適化が進み、バックホアサイン事業の損益は劇的に改善している。このセグメントの赤字幅縮小、あるいは黒字転換が、グループ全体の利益を押し上げる最大のドライバーとなった可能性が高い。ベトナムの近代的スーパーマーケット市場は、伝統的な市場(チョー)やパパママストアからの移行が今も続いており、中長期的な成長余地は依然として大きい。

投資家・ビジネス視点の考察

ベトナム株式市場への影響

MWGはVN-Indexの構成銘柄の中でも時価総額上位に位置しており、同社の好決算はベトナム株式市場全体のセンチメント改善に寄与する。特に小売セクターの回復は、ベトナム国内消費の底堅さを示すバロメーターであり、FPTリテール(FRT)やピー・エヌ・ジェー(PNJ=宝飾小売大手)といった同業銘柄にも波及効果が期待できる。

FTSE新興市場指数への格上げとの関連

2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げは、海外からの機関投資家資金の大量流入を促すと予想されている。MWGは外国人保有比率の上限に近い銘柄の一つであり、市場の流動性と透明性が一段と高まる中で、こうした大型消費関連銘柄への注目度はさらに増すだろう。格上げが実現すれば、MWGのようなベトナムを代表する内需株は、グローバルファンドのポートフォリオに組み込まれる有力候補となる。

日本企業・投資家へのインプリケーション

ベトナムの消費市場が成熟期に入りつつあることは、日本の消費財メーカーや小売業にとっても重要なシグナルである。イオンやユニクロ(ファーストリテイリング)、無印良品(良品計画)など、すでにベトナムに進出している日本企業にとって、テーゾイジードンの好業績はベトナム国内購買力の回復を裏付けるデータとなる。一方で、テーゾイジードンの急速な多業態展開は、ベトナム市場での競争激化も意味しており、日系小売・流通企業は差別化戦略の精緻化が求められる局面に入っていると言えよう。

ベトナム経済全体のトレンドにおける位置づけ

ベトナムはGDP成長率7%前後を維持し、人口約1億人の若い労働力を背景に「ポスト中国」の製造拠点としてだけでなく、巨大な消費市場としても存在感を高めている。テーゾイジードンの過去最高益は、輸出主導型成長から内需主導型成長への構造転換が着実に進んでいることの証左でもある。2025年はベトナム経済にとって「消費元年」とも呼べる転換点になる可能性があり、投資家は引き続き同国の内需関連セクターに注目すべきだろう。


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出典: 元記事(VnExpress)

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