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ベトナム小売2強の出店競争——WinMartは農村、バックホアサインは北部へ各1,000店超計画

Winmart và Bách Hóa Xanh đang mở rộng mạng lưới cửa hàng ra sao?
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
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ベトナムの近代小売(モダントレード)市場で二大チェーンと目されるWinMart(ウィンマート)とBách Hóa Xanh(バックホアサイン)が、2025年にそれぞれ1,000店舗超の新規出店を計画していることが明らかになった。しかし両者の拡大戦略は対照的だ。WinMartが地方農村部への浸透を最優先に掲げる一方、バックホアサインは南部の地盤を固めつつ北部への進出を加速させている。ベトナム小売市場の覇権争いは新たな局面に入った。

目次

WinMart——「農村を制する者が市場を制す」

WinMartを運営するのは、ベトナム最大級のコングロマリットであるマサングループ(Masan Group、HOSE上場・ティッカー:MSN)。同社は傘下のWinCommerce(ウィンコマース)を通じて、WinMart(旧VinMart)およびWinMart+(小型店舗フォーマット)を全国展開している。

WinMartが今年掲げる成長の柱は「農村部への面的拡大」である。ベトナムでは人口約1億人のうち、依然として約6割が農村・地方に居住している。都市部ではコンビニエンスストアやミニスーパーの競争が激化しているが、農村部ではいまだに伝統的な「チョ(市場)」や個人商店が流通の中心を占める。WinMartはこの広大な未開拓市場を狙い、小型フォーマットのWinMart+を武器に出店を加速させる方針だ。

WinMart+は食品・日用品を中心に品揃えをコンパクトに絞り込み、50〜100平方メートル程度の小規模店舗で展開できるモデルである。農村部の狭い商業スペースや低い賃料水準に適合しやすく、サプライチェーンの効率化と組み合わせることで、従来は採算が取りにくいとされた地方でも黒字化を目指す。マサングループは2024年にWinCommerceの損益が大幅改善したと公表しており、店舗あたりの収益性が向上した段階で一気に出店数を引き上げるという戦略的判断とみられる。

バックホアサイン——南部の覇者が北部へ本格進出

一方のBách Hóa Xanh(バックホアサイン)は、ベトナム最大の家電量販チェーンThế Giới Di Động(テーゾイジードン、HOSE上場・ティッカー:MWG)が展開する食品・日用品スーパーである。もともとホーチミン市を中心に南部で急拡大し、生鮮食品の品揃えと低価格戦略で消費者の支持を得てきた。

バックホアサインが2025年に打ち出した最大のテーマは「北部市場への本格参入」である。これまで同チェーンの店舗網は南部・中南部に偏重しており、首都ハノイを含む北部での存在感は限定的であった。北部はWinMartの牙城でもあるため、バックホアサインの北上はWinMartとの直接対決を意味する。

ベトナムの南北は気候・食文化・消費習慣が大きく異なる。北部は四季があり、生鮮食品の仕入れルートや消費者が好む食材のラインナップも南部とは異なる。バックホアサインにとって、南部で培った生鮮サプライチェーンのノウハウをどこまで北部に適用できるかが成否を分けるポイントとなる。MWGの経営陣は2024年決算説明会で、バックホアサイン事業の黒字転換を報告し、2025年は積極出店に転じると表明していた。今回の「1,000店超」という出店目標は、その方針を具体化したものである。

ベトナム小売市場の構造的背景

ベトナムの小売市場は総額で2,000億ドル規模とも推計され、ASEAN域内でもインドネシアに次ぐ成長ポテンシャルを持つ。しかし近代小売(スーパー、コンビニ、ミニスーパー等)の浸透率はまだ全体の10〜15%程度にとどまり、タイ(約40%)やマレーシア(約50%)と比べると大幅に低い。裏を返せば、それだけ成長余地が大きいということである。

この「近代小売の浸透余地」をめぐって、WinMartとバックホアサインだけでなく、韓国系のEmart(イーマート)、日系のイオン(AEON)やミニストップ、さらにはローカルのCo.opmart(コープマート)なども競い合っている。ただし店舗数で見ると、WinMart系列とバックホアサインが圧倒的な二強であり、今回の両者による各1,000店超の出店計画は、この二極構造をさらに固定化する可能性がある。

また注目すべきは、両チェーンが「都市 vs 農村」「南部 vs 北部」とエリアを棲み分ける形で拡大を進めている点だ。直接的な激突を完全に避けることはできないが、当面は市場全体のパイを広げる効果が大きいとみられる。農村部の伝統的市場が近代小売に置き換わるプロセスは、東南アジアの他国でも見られた構造変化であり、ベトナムでもその流れが加速するフェーズに入ったと言える。

投資家・ビジネス視点の考察

関連銘柄への影響:WinMartの親会社であるマサングループ(MSN)と、バックホアサインの親会社であるMWGは、いずれもHOSE(ホーチミン証券取引所)の主要大型株である。両社とも2024年に小売事業の黒字化・収益改善を達成しており、2025年の積極出店計画は「攻めの投資」として市場から前向きに評価される可能性が高い。ただし、出店加速に伴う先行投資コスト(賃料、人件費、物流網構築)が短期的に利益率を圧迫するリスクには留意が必要である。

日本企業への示唆:イオンベトナムは大型ショッピングモール形式で存在感を示しているが、ミニスーパー・食品スーパー領域ではWinMartやバックホアサインとの規模差が大きい。日系食品メーカーや日用品メーカーにとっては、この二大チェーンの棚(シェルフ)をいかに確保するかが、ベトナム市場での売上拡大のカギとなる。特に農村部への流通網が広がることで、日本ブランドの地方浸透という新たな商機が生まれる可能性がある。

FTSE新興市場指数との関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、MSNやMWGといった大型銘柄への海外資金流入が加速する。小売セクターは内需の代表格であり、GDP成長率と連動しやすいため、外国人投資家にとっても分かりやすい投資テーマとなる。格上げを見据えた先回り買いが、両銘柄の株価を下支えする展開も想定される。

ベトナム経済全体の文脈:ベトナム政府は2025年のGDP成長率目標を8%以上に設定しており、内需拡大は重要な成長ドライバーである。農村部への近代小売の浸透は、地方消費の底上げと物流インフラの発展を同時に促す効果があり、マクロ経済的にもポジティブなトレンドと位置づけられる。


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出典: 元記事

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