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ベトナム展示会センター株式会社(Công ty Cổ phần Trung tâm Hội chợ Triển lãm Việt Nam)が2025年度の業績を公表し、純利益が1万5,000億ドンを超える過去最高を記録したことが明らかになった。東南アジア最大規模を誇る展示会コンプレックスの本格稼働が、この飛躍的な業績を支えた格好である。
東南アジア最大の展示場が稼働——業績急伸の背景
同社が開発・運営する大型展示会コンプレックスは、2025年中に本格的な商業運営フェーズに入った。ベトナムではこれまで、国際水準の大規模展示施設が不足していることが長年の課題とされてきた。ハノイの国際展示場(ICE)やホーチミン市のSECC(サイゴン展示会議センター)は一定の規模を持つものの、中国やタイ、シンガポールといった近隣諸国の施設と比べると面積・設備の両面で見劣りする状況が続いていた。そうした中、同社が手がけた「東南アジア最大」を標榜する新施設の誕生は、ベトナムのMICE(会議・報奨旅行・コンベンション・展示会)産業にとって画期的な出来事といえる。
展示会・見本市ビジネスは、施設の稼働率が収益に直結するモデルである。新コンプレックスの開業により、国内外から大型の国際展示会や見本市の誘致が加速し、稼働初年度にもかかわらず利益1万5,000億ドン超という異例の数字を叩き出した。ベトナムでは製造業の集積が進む中、各種産業見本市(機械、食品、IT、繊維など)の需要が年々高まっており、施設供給が追いついていなかったという構造的な追い風も大きい。
ベトナムのMICE産業と不動産開発の交差点
注目すべきは、この展示会センター事業が単なるイベント運営にとどまらない点である。ベトナムの大型インフラ・不動産プロジェクトでは、展示施設を核としながら周辺にホテル、商業施設、オフィスなどを複合的に配置する「コンプレックス型開発」が主流となりつつある。同社の新施設も、展示会場単体の賃貸収入だけでなく、付帯する商業・サービス収入が利益の押し上げに寄与しているとみられる。
ベトナム政府はMICE産業を観光戦略の柱の一つに位置づけており、2025年にはビザ緩和策の拡充やダナン・フーコックなど主要観光都市での施設整備を推進してきた。こうした政策的な後押しもあり、国際会議や展示会の誘致件数は過去5年で大幅に増加している。同社の好業績はこのトレンドを象徴する事例である。
ベトナム不動産・インフラ関連銘柄の中での位置づけ
ベトナム株式市場においては、不動産デベロッパーやインフラ関連銘柄が時価総額の大きな割合を占めている。ビングループ(Vingroup、ベトナム最大手のコングロマリット)やノバランド(Novaland)、ビンホームズ(Vinhomes)などが市場の注目を集めてきたが、展示会・コンベンション分野に特化した銘柄は相対的にニッチな存在であった。今回の記録的な利益計上は、同セクターへの投資家の関心を高める契機となる可能性がある。
同社が上場企業である場合、1万5,000億ドン超の純利益はPER(株価収益率)の観点からも市場の評価を大きく変え得る水準である。特にベトナムでは、製造業のサプライチェーン再編(いわゆる「チャイナ・プラスワン」)に伴い、工業系見本市や商談会の開催ニーズが構造的に拡大しており、同社の収益基盤は中長期的にも安定が見込まれる。
投資家・ビジネス視点の考察
1. ベトナム株式市場への影響:展示会インフラ関連という新たな成長テーマが意識される可能性がある。ベトナムのVN-Indexは2025年後半にかけて回復基調にあり、内需・サービス関連銘柄への資金流入が続く中、MICE関連は「次の注目セクター」として浮上し得る。
2. 日本企業への影響:日本からベトナムへの製造業進出が加速する中、日系企業がベトナム国内の展示会・見本市に出展する機会は増加の一途をたどっている。大型施設の整備は日系企業の出展環境を改善し、BtoBマッチングの場としてのベトナムの存在感を高めるだろう。JETRO(日本貿易振興機構)が定期的にベトナムで開催する展示会も、こうした新施設を活用する可能性が高い。
3. FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げは、海外からの機関投資家マネーの大量流入を促すとみられている。格上げが実現すれば、流動性の高い大型株だけでなく、成長性の高い中小型株にも注目が集まる。同社のように急成長を遂げた企業は、格上げ前後の「銘柄発掘」の対象となりやすい。
4. ベトナム経済全体のトレンド:ベトナムはGDP成長率7%前後を維持する中、経済構造のサービス産業化が進んでいる。MICE産業の成長は、製造業一辺倒からの脱却を象徴する動きであり、都市部の高付加価値サービス需要の拡大を如実に示している。展示会ビジネスの活況は、ベトナム経済が「量から質」への転換を着実に進めている証左といえるだろう。
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