ベトナム建設大手ホアビン、受注残約1兆ドン規模で「夜明け」到来か──レ・ヴィエット・ハイ氏が語る復活の兆し

Ông Lê Viết Hải: Bình minh đã ló dạng ở Xây dựng Hòa Bình
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ベトナムを代表する総合建設企業ホアビン建設(Xây dựng Hòa Bình、ティッカー:HBC)の創業者であるレ・ヴィエット・ハイ(Lê Viết Hải)氏が、2026年の繰越契約(バックログ)総額が約1兆ドン(10,000 tỷ đồng=1万億ドン)に達したことを明らかにした。さらに、かつて同社を離れた多くの人材が復帰しつつあることを受け、「ホアビン建設に夜明け(ビンミン)が差し始めた」と語った。数年にわたる業界低迷と経営危機を経て、同社が本格的な回復軌道に乗りつつある可能性を示す発言として注目される。

目次

ホアビン建設とは何者か──ベトナム建設業界の象徴的存在

ホアビン建設(Hòa Bình Corporation)は1987年にホーチミン市で設立され、ベトナムの建設業界においてトップクラスの実績を誇る総合建設会社である。オフィスビル、商業施設、高層マンション、リゾートホテルなど大型プロジェクトを数多く手掛けてきた。ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場しており、ティッカーは「HBC」。ベトナム株式市場においても建設セクターの代表銘柄として知られる。

創業者のレ・ヴィエット・ハイ氏は、ベトナム建設業界の「生き字引」的な存在であり、長年にわたり同社の成長を牽引してきた。しかし、2022年以降のベトナム不動産市場の急激な冷え込み、社債市場の混乱、そして建設業界全体の受注減少という三重苦に見舞われ、HBCは深刻な経営危機に陥っていた。債務問題や人材流出が相次ぎ、株価も大幅に下落した時期があった。

受注残約1万億ドン──回復を裏付ける具体的な数字

今回、ハイ氏が明らかにした2026年の繰越契約総額は約1万億ドン(約1兆ドン)に達するという。これは、同社がすでに契約を獲得し、今後施工・売上計上が見込まれるバックログの規模を示すものである。建設業において受注残(バックログ)は将来の売上を占う最も重要な先行指標であり、この数字が回復しているということは、同社のビジネスパイプラインが再び充実してきたことを意味する。

ベトナムの建設業界は2023年から2024年にかけて深刻な受注不足に苦しんだ。不動産デベロッパーの資金繰り悪化により新規プロジェクトの着工が大幅に遅延し、建設会社への発注が激減したためである。こうした状況下でHBCの受注残が1万億ドン規模にまで回復してきたことは、ベトナム不動産・建設市場全体の底入れを示唆するシグナルとしても読むことができる。

「人が戻ってきた」──人材回帰が示す企業再生の本質

ハイ氏が特に強調したのが、かつてホアビン建設を去った人材が再び戻ってきているという点である。ベトナムの建設業界では、経営危機に陥った企業からエンジニアやプロジェクトマネージャーが競合他社へ移籍するケースが頻繁に起きる。しかし、業績回復の兆しが見え始めると、待遇や企業文化に愛着のある元社員が復帰するという現象も珍しくない。

建設業は「人」がすべてと言われる労働集約型産業である。とりわけベトナムでは、経験豊富な現場監督やプロジェクトマネージャーの確保が企業の競争力を左右する。人材が戻ってきているという事実は、単なる感傷的なエピソードではなく、同社が大型案件を実際に施工できる体制を再構築しつつあることの証左である。ハイ氏が「夜明け(bình minh)が差し始めた」と表現した背景には、数字と人材の両面での回復実感があるのだろう。

ベトナム建設・不動産セクターの現在地

ホアビン建設の回復は、ベトナムの建設・不動産セクター全体の潮目の変化と密接に関連している。2022年後半から始まった不動産市場の調整は、社債問題(ヴァンティンファット事件など)を引き金に業界全体を凍りつかせた。しかし、2025年に入り、政府による土地法改正や不動産関連法規の整備、中央銀行の金融緩和政策などが徐々に効果を発揮し始めた。

特に2025年後半から2026年にかけて、ホーチミン市やハノイを中心に大型プロジェクトの認可・着工が再び活発化している。インフラ分野では、南北高速道路やロンタイン国際空港(ドンナイ省)の建設が加速しており、公共投資の拡大が建設業界に追い風をもたらしている。HBCは民間建築を主力としているが、市場全体の活況は間接的に同社にも恩恵をもたらす構図である。

投資家・ビジネス視点の考察

HBC株への影響:ホアビン建設(HBC)は、2022年から2024年にかけて株価が大幅に下落し、一時は上場廃止リスクすら取り沙汰された。しかし、受注残の回復と人材の再結集が確認されたことで、同社の業績反転への期待が高まる可能性がある。ただし、建設業は受注から売上計上までにタイムラグがあるため、2026年後半から2027年にかけての損益計算書に本格的に反映される点には注意が必要である。また、過去の債務問題がどの程度解消されているかも引き続き精査すべきポイントである。

ベトナム建設セクター全体:HBCの回復は、同セクターの他の上場企業(コテコン建設=CTD、レコン建設=RCDなど)にも波及的なポジティブシグナルとなり得る。特にCTDは外資系案件に強みを持ち、HBCとは異なるポートフォリオを有するが、業界全体のセンチメント改善は両社に恩恵をもたらすだろう。

日本企業への示唆:ベトナムの建設市場には、大林組、清水建設、大成建設など日系ゼネコンも進出している。ベトナム建設市場全体の回復は、日系企業がベトナムで手掛けるプロジェクト(工場建設、インフラ案件など)の増加にもつながる。また、HBCのようなベトナム地場ゼネコンとのJV(共同企業体)やサブコン連携の機会も増える可能性がある。

FTSE新興市場指数との関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げは、ベトナム株式市場全体への資金流入を促進する。建設セクターは不動産セクターと並んでベトナム経済の「内需の柱」であり、市場全体の流動性向上はHBCを含む中小型株にもプラスに作用する。格上げが実現すれば、海外機関投資家がベトナム建設セクターをより真剣に評価する契機となるだろう。

リスク要因:一方で、ベトナムの建設業界には構造的なリスクも残存する。不動産デベロッパーからの工事代金回収の遅延は慢性的な課題であり、HBCもこの問題に長年苦しんできた。また、建設資材価格の変動や人件費の上昇も利益率を圧迫する要因である。「夜明け」がそのまま「快晴」につながるかどうかは、今後の四半期決算で確認していく必要がある。


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出典: 元記事

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