MENU
24時間以内で読まれているベトナムニュース

ベトナム建設最大手コテコンス会長「価格競争では戦わない」—業界変革への挑戦と投資家への示唆

Chủ tịch Coteccons: Chúng tôi không muốn cạnh tranh bằng mọi giá
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
ハノイ在住13年の現地投資家による、より深い企業分析・投資戦略は👉 メンバーシップで公開中

ベトナム建設業界の最大手コテコンス(Coteccons、ホーチミン証券取引所上場・ティッカー:CTD)のボラット・ドゥイセノフ(Bolat Duisenov)会長が、「我々はあらゆる手段を使った価格競争はしない」と明言した。建設業界が長年陥ってきた「ゼロサムゲーム(利益の総和がゼロになる競争構造)」から脱却し、パートナーと共に業界の運営方法そのものを変革していく方針を打ち出したものである。コテコンスの戦略転換は、ベトナム建設セクター全体の構造変化を占ううえで極めて重要なシグナルといえる。

目次

コテコンス会長が語る「脱・価格競争」の真意

コテコンスのドゥイセノフ会長はカザフスタン出身の経営者で、2021年の経営権交代以降、同社の改革を主導してきた人物である。同氏は今回、建設業界が従来型の「価格を限界まで下げて受注を勝ち取る」モデルに固執し続けることの弊害を指摘した。こうした競争は、発注者・受注者の双方にとって利益の総和がゼロ、あるいはマイナスとなる「ゼロサムゲーム」であり、品質低下や工期遅延、ひいては業界全体の信頼失墜につながると警鐘を鳴らしている。

ドゥイセノフ会長が目指すのは、パートナー企業や発注者と「共同で価値を創造する」モデルへの転換である。具体的には、設計段階からゼネコンが関与するデザインビルド方式の拡大、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)をはじめとするデジタル技術の積極導入、そしてサプライチェーン全体での効率化によるコスト最適化などが柱となる。単純な価格の叩き合いではなく、プロジェクト全体の付加価値を高めることで、関係者全員が利益を享受できる「ポジティブサム」の関係構築を志向している。

ベトナム建設業界が抱える構造的課題

ベトナムの建設業界は、2010年代の不動産ブーム期に急成長を遂げたものの、その過程で深刻な構造問題を蓄積してきた。中小のゼネコンが乱立し、入札では価格の安さだけが決定要因となるケースが常態化。結果として利益率は極端に薄くなり、大手であっても粗利率が数パーセントにとどまることが珍しくなかった。

さらに、不動産市場の調整局面(2022〜2024年頃)では、デベロッパーの資金繰り悪化により建設会社への支払い遅延が頻発。コテコンス自身もかつてこの問題に直面し、売上高の大幅な減少を経験した時期がある。こうした業界の「負の連鎖」を断ち切るために、トップ企業自らがビジネスモデルの転換を宣言した意義は大きい。

ベトナム政府もインフラ整備を経済成長の柱と位置づけ、2025〜2030年にかけて高速道路網の拡充、新空港建設(ロンタイン国際空港など)、都市鉄道整備といった大型公共事業を相次いで推進している。こうした大型プロジェクトでは、単に安価な施工者ではなく、品質管理能力や技術力を備えたゼネコンへの需要が高まっており、コテコンスの戦略はこの潮流と合致するものである。

コテコンス(CTD)の現在地

コテコンスはベトナム最大手の民間ゼネコンとして知られ、ランドマーク81(ホーチミン市にある東南アジア有数の超高層ビル)をはじめ、数多くの大型商業施設、高級マンション、工場などの施工実績を持つ。ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場しており、ベトナム株式市場でも建設セクターの代表銘柄として注目度が高い。

2021年にクウェート系投資ファンドの支援を受けたドゥイセノフ氏が経営の実権を握って以降、同社は組織改革とガバナンス強化を進めてきた。一時は旧経営陣との対立や受注減少などの逆風にさらされたが、近年はベトナム不動産市場の回復基調に伴い、受注残の積み上げが進んでいるとされる。今回の「脱・価格競争」宣言は、量的回復だけでなく質的転換を目指す経営姿勢の表れといえる。

投資家・ビジネス視点の考察

ベトナム株式市場・関連銘柄への影響:コテコンス(CTD)の戦略転換が実を結べば、利益率の改善が期待できる。建設セクターは長らく「薄利多売」のイメージが強く、PER(株価収益率)も低水準に据え置かれてきたが、付加価値型モデルへの移行が数字として表れれば、セクター全体のバリュエーション見直しにつながる可能性がある。同業のホアビン建設(HBC)やレコンス(ROS関連の建設部門ではないが、建設セクター全般)など、他の上場ゼネコンの動向にも波及効果が見込まれる。

日本企業・ベトナム進出企業への影響:日系ゼネコンは従来からベトナム建設市場において「品質重視・技術力」で差別化を図ってきた。コテコンスのようなローカル大手が同様の方向に舵を切ることで、競争環境は変化する。一方で、日系企業がJVパートナーとしてコテコンスと組むケースも増える可能性があり、協業の余地は広がるだろう。製造業の工場建設や物流施設開発で日越の建設企業が協力する場面は今後さらに増えると見られる。

FTSE新興市場指数格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外からの資金流入が加速する。コテコンスのようなHOSE上場の時価総額上位銘柄は、インデックスファンドの組み入れ対象となり得る。ガバナンス改善や透明性向上を進めている点は、海外機関投資家の評価にもプラスに作用するだろう。

ベトナム経済全体のトレンドにおける位置づけ:ベトナムは2025〜2030年にかけてGDP成長率6〜8%を目標とし、インフラ投資がその牽引役となる。建設業界のトップ企業が「安かろう悪かろう」の競争から脱却し、品質・効率・テクノロジーを重視する方向へ進むことは、ベトナム経済全体の「質的成長」への転換を象徴する動きである。投資家としては、こうした構造変化の恩恵を受ける企業を見極めることが、中長期的なリターン獲得の鍵となる。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。

📊 ベトナム経済研究会メンバーシップ
ハノイ在住13年日本語で毎日配信。
✅ 個別銘柄の詳細分析 ✅ FTSE格上げ関連速報 ✅ 現地だからわかるリアルタイム情報
👉 月額980円でメンバーシップに参加する

出典: 元記事

noteメンバーシップのご案内

ベトテク太郎noteメンバーシップ
Chủ tịch Coteccons: Chúng tôi không muốn cạnh tranh bằng mọi giá

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次